花咲徳栄のブラック労働、甲子園引率教員は手当0で1万円払う

花咲徳栄高校で教職員の『ブラック労働』が常態化か 教育現場を去った教員も

記事まとめ

  • 花咲徳栄高校は昨夏の甲子園で埼玉県に初めて優勝旗を持ち帰り、知名度を全国区にした
  • 夏連覇を目指す花咲徳栄に、教職員の『ブラック労働』が常態化との“内部告発”が浮上
  • 甲子園に引率する教職員はボランティアで、賛助金の名目で1万円が徴収されるという

花咲徳栄のブラック労働、甲子園引率教員は手当0で1万円払う

花咲徳栄のブラック労働、甲子園引率教員は手当0で1万円払う

甲子園出場を決めた花咲徳栄

 昨夏の甲子園で、埼玉県に初めて優勝旗を持ち帰り、その知名度を全国区にした花咲徳栄高校(加須市)。今年も北埼玉大会を制し、史上6校目の夏連覇を目指している。そんな最中、教職員の「ブラック労働」が常態化しているという“内部告発”が上がった。文武両道を掲げて拡大路線を突き進む有名私立校で何が起きているのか──。

 7月24日、花咲徳栄高校が6度目の甲子園出場を決めた直後、テレビ画面に映る教え子たちの歓喜の輪を見つめていた同校の現役教師A氏が、重い口を開いた。

「頑張った生徒たちを褒めてあげたい半面、素直には喜べない。“甲子園優勝校”の金看板の裏で、ブラック労働が横行している。『甲子園に引率する余裕なんかない』と話す同僚もおり、見切りをつけて教育現場を去った教員もいます」

 花咲徳栄は、埼玉県内で1大学・4高校などを運営する一大学園グループ「佐藤栄学園」(本部・さいたま市)の一角をなす。今回の甲子園出場は、教員たちにとっても“厳しい戦い”だとA氏は語る。

「これから学年ごとに“ゼロ泊3日”の応援ツアーが組まれます。1学年600人を超える生徒と職員が30台ほどのバスで甲子園まで往復します」

 この酷暑の下、応援し、着替える暇もなくバスへ──生徒の体調管理に神経を使う教員も激務だ。

「引率する教職員には1円の手当も出ないボランティアで、学園グループの教職員は一律、賛助金の名目で1万円が徴収される。数年前までは弁当代や移動費として6000円ほどのお金も自腹で負担していました。もちろん野球部員の晴れ舞台だから、応援したい気持ちはあります。

 ですが、そうしたやり方には“生徒のため”という異論を挟みにくい掛け声のもと、無茶な働き方を強いる今の花咲徳栄の体質を感じてしまうのです」(A氏)

◆17連勤の職員も

 教員の間に“厭戦気分”が漂う背景には、長時間労働の常態化があるという。

 同校が生徒募集用に作成した2018年度版のパンフレットでは、カリキュラムは週6日制で、うち4日は「0時限~8時限」まで授業があると説明している。

「生徒の卒業単位になるのは1~6時限ですが、大学受験に備えた補講として0時限と、7、8時限が設けられており、ほとんどの教師はこの時間まで勤務しています。さらに一部のクラスでは週1回、18時40分まで9時限目が設定されています」(A氏)

 0時限の開始は7時50分、8時限が終了するのは17時40分。教員にはその後に試験の採点や部活指導などの仕事が山積している。

「授業とは無関係の仕事も少なくありません。午後5時で帰ってしまう司書の代わりに8時まで出退室や貸し出しを行なう“図書館業務”や、1時間をかけて広大な校舎の戸締まりチェックをする“日直業務”など、さまざまな役割が順番に回ってきます。

 さらに10~12月になると、受験生向けの学校説明会が学校主催のものだけで月に3回、それ以外にも県内各地の学習塾主催の説明会にも派遣されるので、平日夜だけでなく土日も次々と業務が入ってしまう。昨年の休日出勤は約20日ありました」(A氏)

 同校の教員に配られた「平成29年度10月行事予定」を見ると、授業も行事も入っていない日は、土日祝日を含めて4日のみ。同月後半には米国への修学旅行があり、17連勤のスケジュールとなる教員もいた。

※週刊ポスト2018年8月10日号

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