幼馴染
俺は、どこにでもいる唯の村人だ。
かつて、俺にはかわいい幼馴染がいた。
俺は彼女のことが好きだった・・・
幼い頃だが、結婚の約束をしたほどだ。
だが、俺が成人して間もなくの頃、俺の村は魔物の群れに襲われた。
たまたま、近くを通りががった勇者の一行が魔物の群れを撃退し、村を救った。
今にして考えてみると、その時既に俺の幼馴染は勇者に『魅了』されていたのかもしれない。
その後、村一番の弓の使い手だった彼女は何を思ったか、そのまま勇者付いて行くと言い出した。
最初は勇者たちは断っていたが、最後には彼女の熱意に打たれ、まさかの同行を許してしまった。
もちろん俺も必死に止めたが、彼女は首を縦に振ることはなかった。
「これは、村のみんなやアナタを守ることにもなるのよ!」
と彼女に言われてしまっては、何も言い返すことができなかった。
彼女が村を離れてから、俺は自分の手紙を彼女の両親の手紙に同封してもらう形で出し続けた。
当時はロクに字も書けず、教わりながら手紙を書いていた俺だが、今では簡単な文章を自分で書けるようになった。
そんな手紙のやり取りで3年を過ぎた頃、魔王討伐に成功し、もうすぐ王都に帰還することがわかった。
彼女の両親は、王都で待つということだったが、俺は一刻も早く会いたくて、彼女が拠点としてる城塞都市、最前線の街に向かうことにした。
駅馬車を乗り継いで、二週間ほどでかかったが、彼女の居る街に着いた。
彼女たち勇者一行は、魔物の王の子供がまだ数匹いるらしく、一匹でも残せば元の木阿弥になるということで全て掃討するらしく、王都に向かうのはあと数日かかるそうだ。
よく考えたら、手紙が届くのにかかる日数、俺の移動の日数を考えずに村を飛び出してきたことに気付いた。普通なら、行き違いになるところをだったのだから、今回は運がいいと思わずにはいられなかった。
早速、彼女に会いに領主様の館に会いに行ったが、門番に追い返されそうになった。
彼女からの手紙を見せると、なんとか取り次いでもらえることになった。
2話か3話で終わる予定です。