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【プロ野球】

巨人・山口俊が史上79人目のノーノー! お立ち台で「泣いてませ~ん」

2018年7月28日 紙面から

ノーヒットノーランを達成し、ナインから祝福される巨人の山口俊(中央)=東京ドームで(河口貞史撮影)

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◇巨人5-0中日

 投打に沈黙した中日が山口俊に無安打無得点試合を許した。6回まで完璧に抑えられ、7回先頭で大島が四球で出塁も得点に結びつかなかった。巨人は2回にマルティネスの来日初本塁打、6回にマギーの適時打などで加点し、チームの連敗を6で止めた。

      ◇

 ヒールを決め込んだ男に涙はない。巨人は山口俊が自身初のノーヒットノーランを達成。FA移籍1年目の昨季、デビュー戦となった6月14日のソフトバンク戦(東京ドーム)で、6イニングを投げて継投でのノーヒットノーランを成し遂げてから1年。許した走者は四球の1人。今回は最後までマウンドを守り抜いた。

 お立ち台は渾身(こんしん)のボケで幕開けした。帽子のつばで隠した顔を現し「泣いてませーん」と大声でニヤリ。マジメな表情に戻ると「6回が終わったところで意識しました。プロに入ってノーヒットノーラン、完全試合は夢だったので一つ達成できて良かった」。唯一のピンチだった7回1死三塁は、平田の三ゴロに三走・大島が本塁憤死。「流れがある」と感じたという。

 1年前のデビュー戦では涙した。今回、泣かなかった理由を「去年は肩痛で出遅れました。今年は開幕から投げ続けているので」。もう一つの理由があった。昨年夏、暴行事件で出場停止処分を受けた。さらに球団からの契約年数の内容見直しをのみ、3年から2年に削られた。そのオフ、本社幹部に呼び出されて食事へ出かけた。

 「悔しいだろ?。悪者のキャラクターが定着したなら、それを貫き通せよ。巨人を見返すぐらいの覚悟を持て。契約が終わる時(今年オフ)に、球団から『これからも君が必要』と言わせてみろ」。この言葉に一瞬黙り「はい」とうなずいた。ヒールも受け入れ、安易な笑顔を捨てた。今季は鉄仮面。勝っても「チームの勝利に貢献できてよかったです」と繰り返すばかりだった。

 2014年5月の西武・岸(現楽天)以来、プロ野球史上79人目(90度目)の快挙で8勝目。チームの連敗も6で止まった。高橋監督も「1試合を平然と投げるタフさがある」と賛辞を贈った。ヒールを決め込む男の逆襲はまだまだ終わらない。 (川本光憲)

 

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