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【格闘技】

伊藤雅雪、判定大差 米国で37年ぶり新王者

2018年7月30日 紙面から

クリストファー・ディアスに判定勝ちし、喜ぶ伊藤雅雪=キシミーで(ゲッティ・共同)

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◇WBO世界スーパーフェザー級王座決定戦

 WBOスーパーフェザー級王座決定戦が28日、米フロリダ州キシミーで行われ、同級2位で世界初挑戦の伊藤雅雪(27)=伴流=が1位のクリストファー・ディアス(23)=プエルトリコ=に3-0で判定勝ちし、新王座に就いた。ジャッジ3人の採点は116-111、117-110、118-109と大差がついた。日本選手が本場米国で世界王座に就くのは、1981年の三原正以来で37年ぶり。昨年12月にネバダ州ラスベガスで行われたIBFスーパーフェザー級王座決定戦で尾川堅一が勝ったが、薬物違反で無効試合となった。

 伊藤の端正な顔が、歓喜の涙にゆがんだ。レフェリーに手を掲げられ、子供のように跳ね回って感情を爆発させた。37年ぶりとなる米国での王座奪取、それもプエルトリコ移民が多く住む事実上の敵地。日本ボクシング史を塗り替えた27歳が勝利の味に酔った。

 文句なしの勝利だった。序盤から遠距離で右ストレート、接近戦はアッパーと多彩に積極的に攻め主導権を握る。4回には、焦ったディアスが強引に攻めに出たところへ右ストレートを軸とした矢継ぎ早の4連打を入れてダウンを奪った。6回からは時に攻勢を受けたものの、そのたびに一歩も引かず応戦。5~9ポイントという大差の判定勝ちをものにした。

 「自分がやってきたことを信じ、チャンピオンになれると信じて戦った。(4回にダウンを奪った)右ストレートはいい感触があった。効いたなと思った。自分の中ではポイントは見てなくて最後まで倒す、倒す、倒す、とだけ考えていた」

 最近のプロボクサーには珍しくアマチュアの経験がない。東京・駒大高を卒業するまでバスケットボール部で、アマボクシングどころか格闘技経験もなかった。だが、部活引退後に「なんとなく」入門したジムで人生が変わる。いっぺんにのめり込み、アマエリートの内藤律(現・東洋太平洋スーパーライト級王者)相手の敗戦など試練も味わいながらこの日まで駆け抜けてきた。

 「まだ夢の続きを見ていける。チャンスをもらえるならどんどんでかい試合をしたい」と目を輝かせた伊藤は、リングサイドで妻子と抱き合った。ボクシング歴9年。異例の足取りでプロになり、世界タイトルを奪った27歳は日本中量級の新たなエースとなった。

 

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