家族経営体 120万割れ 18年 高齢化で離農、法人は増
2018年07月30日
2018年の家族単位で農業をする家族経営体数は、前年比3・1%減の118万5000となり、初めて120万を下回ったことが、農水省の農業構造動態調査(2月1日時点)で分かった。高齢化による離農に歯止めがかからない状態が続いている。一方、農業を営む法人経営体数は4・1%増の2万2700で8年連続で増えた。
家族経営体は統計のある11年から毎年3~5%の割合で減少。過去5年で約30万の家族経営体が離農したことになる。
同省は、減少の理由について「経営者の高齢化による離農や法人への農地貸し付けが進んだ」(経営・構造統計課)とみる。
家族経営ではない組織経営体数は1・7%増の3万5500。相次ぐ集落営農組織の法人化や農業分野以外からの企業参入が影響した。
これを経営形態別に見ると、最も多かったのは会社で3%増の1万4100。農事組合法人が7%増の7600と続いた。組織を法人化して農産物を生産する経営体は4・1%増の2万2700。11年から8年連続で伸び、過去8年間で約1万の法人経営体が新たに誕生している。
家族経営体、組織経営体を合わせた全国の農業経営体数は、3%減の122万500だった。農産物の販売金額別に見ると、「100万円未満」は6・2%減の63万1500だったが、それ以外の階層は全て増加。販売金額が大きいほど伸び幅も大きくなる傾向もあり、「1億円以上」は7・6%増の8500だった。
同省は「経営耕地面積の拡大に加え、米の単価上昇など作物の相場高が販売額を押し上げた」(同)としている。
家族経営体は統計のある11年から毎年3~5%の割合で減少。過去5年で約30万の家族経営体が離農したことになる。
同省は、減少の理由について「経営者の高齢化による離農や法人への農地貸し付けが進んだ」(経営・構造統計課)とみる。
家族経営ではない組織経営体数は1・7%増の3万5500。相次ぐ集落営農組織の法人化や農業分野以外からの企業参入が影響した。
これを経営形態別に見ると、最も多かったのは会社で3%増の1万4100。農事組合法人が7%増の7600と続いた。組織を法人化して農産物を生産する経営体は4・1%増の2万2700。11年から8年連続で伸び、過去8年間で約1万の法人経営体が新たに誕生している。
家族経営体、組織経営体を合わせた全国の農業経営体数は、3%減の122万500だった。農産物の販売金額別に見ると、「100万円未満」は6・2%減の63万1500だったが、それ以外の階層は全て増加。販売金額が大きいほど伸び幅も大きくなる傾向もあり、「1億円以上」は7・6%増の8500だった。
同省は「経営耕地面積の拡大に加え、米の単価上昇など作物の相場高が販売額を押し上げた」(同)としている。
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妊産婦ご飯食支持 栄養バランスを高評価 簡便さ重視傾向強まる 米穀機構調査
米穀機構がまとめた妊産婦を対象にした2017年度のご飯の摂取状況調査によると、栄養バランスの観点からご飯食の評価が高いことが分かった。同機構は、妊娠期は女性が食生活を見直す機会となり、栄養面などから米の利点をアピールしやすいとみる。ただ、炊飯の手間からご飯を炊く回数は減っており、消費を押し上げるには簡便さも重要な鍵を握る。
アンケートは今年で5回目。927人から回答を得た。20~30代が9割を占める。
米を主食とした食事の良さについては、「味が淡泊なので、どのおかずとも合い、栄養バランスが取りやすい」が45%で最も多い。次いで「ご飯を主食とした食事は、エネルギーとして消費されやすい割には満腹感がある」が39%。同機構は「母体の健康維持の基本は、ご飯だとの認識が依然として高い」と分析する。
食事で気を付けていることは、「栄養・健康に優れていること」が7割を超え、栄養面を重視する傾向が強い。「簡単に作れること」(47%)、「安全であること」(46%)が続いた。特に、「簡単に作れる」の回答割合は5年前から6ポイント増と大きく伸び、簡便さを重視する傾向が強まっている。
炊飯回数は、「1日1回」が55%と最も多く、「数日に1回」が31%と続いた。毎日炊飯する割合は5年前から9ポイント減った一方、「数日に1回」は同9ポイント増加。同機構は「まとめ炊きし、冷凍保存する傾向もある」。
ご飯食の回数は、3食のうち夕食が最も多く、1週間で5日以上ご飯食を食べるとの回答割合は7割を超えた。朝食は37%、昼食は50%だった。
同機構は全国の自治体を通じて、妊娠期のご飯レシピ集を配布。妊娠期は食生活を考え直す機会となり、ご飯の重要性をPRする機会とみる。
2018年07月25日
初の低タンパク玄米ご飯 腎臓病患者向けに発売 東洋ライス
東洋ライスは、タンパク質の摂取量を制限される腎臓病患者向けに、低タンパクの玄米パックご飯商品を発売した。食物繊維などの栄養価を残しながら、食べやすく加工した同社の「金芽ロウカット玄米」を原料に、酵素処理によりタンパク質を大幅に減らした。同社の販売サイトなどで販売していく。
2018年07月24日
放牧牛 夏快適 体温0・3度下げ 遮光資材の着衣 山口県考案
山口県農林総合技術センターは、放牧牛の暑熱対策として、遮光資材で作った牛衣を着せると体温上昇を抑える効果があることを確認した。日陰をつくる施設と比べると効果は低いが、施設の設置より簡単に導入できる。着せるだけなので女性や高齢者でも取り組みやすいという。
地球温暖化が進み、最高気温が30度を超す日が多くなり、牛も熱射病のリスクが高まっている。重症化すると死亡事故にもつながる。
施設要らず
同県では「山口型放牧」として牛の放牧を進めているが、平地の田には日差しを遮る木などがないため、日陰となる施設を作る必要がある。設置は重労働となるため、人の冷感素材の服が 牛にも効果があるか調べた。
ポリアミド系エラストマーの冷感素材とアルミ素材の遮光材で試験した。試作した体温測定器を使い効果を調べた。気温が高い日を選び4日間、正午~午後3時に 15分間隔で測定。日陰施設がなく牛衣も着用しないと 平均体温は38・8度だったが、冷感、遮光素材の牛衣を着た牛は0・3度低かった。日陰施設より0・1度高かったが、体温上昇を抑える効果はあった。
費用1万円
牛衣は、牛を覆うようにかぶせ、首や尻尾、腹で計6カ所をゴムバンドで留める。縦横ともに約150センチで、牛の体に合わせて形をとる。動いているうちにずれるため、連続着衣が可能なのは3週間程度。かかった材料費は約1万円。耐久性は、冷感素材より遮光資材が高かった。
同センター放牧環境研究室山口型放牧グループの鈴永真士専門研究員は「夏場の管理が少しでも楽になればいい」と話す。
2018年07月27日
炎暑 農家は悲鳴 生育不良、日焼け果、乳量減…
7月の記録的な高温で、農作物への影響が出ている。野菜の生育不良や花きの開花前進、果樹は日焼け果や着色不良が発生。酪農・畜産では乳牛の乳量が落ち、暑さで家畜や家禽(かきん)が死亡する事故も起きている。関東地方では少雨も重なり、水田に水を引けない地域があるなど、多方面で被害が出ている。
少雨、水足りぬ地域も
野菜は、葉物野菜を中心に生育不良が深刻だ。レタス類やハクサイ、キャベツに高温と乾燥で、肥大不良や不結球などが起きている地域もある。
大阪府では、連日の猛暑で主産のシュンギクの丈が伸びず、発芽不良も起きている。生産が盛んなJAいずみの管内では出荷量が平年の3、4割になっている。ビニールハウスに遮光ネットを張るなど対策しているが「これだけ暑いと栽培するのは難しい」(JA販売課)のが現状だ。
愛知県田原市ではキャベツなど秋冬野菜のセル成型苗が暑さで育たず、良い苗が確保しづらいのが現状。「秋冬物の出荷への影響は避けられないのでは」(県担当者)との声も上がる。
果樹では、果実の日焼けや着色不良などが深刻だ。長野県では全域でリンゴの日焼け果が発生。ブドウ、梨、桃にも生育不良が見られ、今後の気象によっては、等級落ちなどが心配される。県農業技術課は「ここまでの高温期間の長さは経験がない」としている。
香川県三豊市では、ブドウの葉焼け障害や果粒の不ぞろい、着色不足が発生。農家の白井悠貴さん(33)は「高温で色付きが悪い」と困惑する。8月上旬からの出荷を目標に、ハウス窓の開放や散水、葉を多く残すなど対策に懸命だ。
畜産では長野県が、暑さで乳牛の食欲が減退し、乳量の低下が見られると報告。肉用牛や採卵鶏でも高温による死亡が増えている。
九州生乳販連によると今夏の生乳生産量は、猛暑と九州北部豪雨の被害で生産量が落ち込んだ前年並みにとどまる。牛体への影響も出始めており、熊本県酪連は「この暑さで種付けもままならない」と頭を抱える。
兵庫県たつの市の家畜改良センター兵庫牧場では今月、数羽の鶏が熱射病となり死んでいるのを確認した。「一般の養鶏場でも鶏が熱射病になることは十分にある。鶏に冷たい水を飲ませたり、適切な飼養密度を心掛ける必要がある」と話す。
花きは、開花時期の狂いや高温障害による品質低下が発生。暑過ぎて定植しても活着せず、立ち枯れる苗もある。
愛知県新城市の農家、竹下正裕さん(67)は、月遅れ盆用に出荷を狙う小菊の開花が前進。需要期を逃して価格が下がるだけでなく、品質が落ちて等級も下がる。「暑さのせいで収入減だ」と嘆く。一方、同県東三河地区の農家によると、ハウス栽培の菊は暑さにより開花が遅れ、盆向け出荷が遅れる見込み。秋以降の出荷量も減少する見込みだ。
猛暑に加えて少雨による水不足で、水戸市では7月中旬から農業用水を農家に供給できない状況が続く。市内を流れる那珂川へ十分に真水が供給されず、海から海水が上がり、川の水の塩分濃度が上昇しているためだ。那珂川から取水をしている千波湖土地改良区は「実りの秋を迎えるために水は不可欠だ。台風が近づいているが、被害が出ない程度に雨が降ってほしい」と願う。
2018年07月28日
あと10日で“特別な夏”がやって来る
あと10日で“特別な夏”がやって来る。今年の「夏の甲子園」は100回の歴史を刻む記念大会となる▼一般雑誌でも特集が相次ぐ。シニア世代の人生と暮らしを究める『サライ』(小学館)8月号でも取り上げた。表紙は半世紀前の第51回大会で決勝、再試合を展開した青森・三沢の太田幸司投手。同誌らしく甲子園名物〈かちわり氷〉も記事に。酷暑の今年は特に欠かせない。1袋200円で1日10万個も売れる▼画面から毎日流れるだろう。100回を記念し、NHKのテーマソングは福山雅治さんが楽曲し歌う。野球を通した仲間たちとの「つながり」を曲にした。球児らの情熱と純真さが100年後も同じように「つながり」、続いていってほしいとの願いを込めた▼始球式は8月5日開幕のゴジラ・松井秀喜氏(石川・星稜)を皮切りに、歴代の名選手18人による連日の“レジェンド投”となる。頂上決戦を迎える21日は先の太田氏と、その伝説の試合を制した愛媛・松山商の井上明投手のダブル登場で締めくくる。やはり“特別な夏”である▼誰にでも心に残る試合がある。個人的には、地元・仙台育英が大越基投手を擁し決勝で延長の末、東京・帝京に敗れた1989年。今でも当時の記事が載るスポーツ紙を見る。そして元気をもらう。
2018年07月26日
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2018年07月30日
世界経済への脅威貿易摩擦に抗議を WTO事務局長
世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長はジュネーブの国連欧州本部で記者会見し、米国の鉄鋼輸入制限に端を発した貿易摩擦の激化は「世界経済に多大な脅威。緊急な対応が必要だ」と強い懸念を示した。その上で「貿易の促進が経済成長と雇用創出をもたらすと信じる者は誰でも、今こそ抗議すべきだ」と述べ、各国・地域に行動を求めた。
アゼベド氏は「貿易摩擦が長期化すれば、世界経済が打撃を受けるのは必至。特に報復措置の発動が常態化すれば、貿易量は減り、不確実性が高まって投資意欲も減退する。長期的には経済システム全体に根幹的な問題を引き起こすだろう」と強い口調で語った。
「現状に沈黙するのは貿易戦争を引き起こす行動にも等しい」と指摘。貿易戦争を回避するには「政治的解決を図るしかない」と力説し、各国・地域が対話に力を注ぐ必要があると訴えた。
ブラジル出身のアゼベド氏が、WTOの仕組みをサッカーに置き換えて説明する場面もあった。「反則やグレーゾーンがあっても、メンバーが問題提起しない限り、試合は続行だ」と指摘。加盟国の主導を原則とするWTOでは、事務局長が表向き強権を発動できないことにもどかしさを感じている様子をうかがわせた。
アゼベド氏は、欧州連合(EU)がWTO改革を検討していることを評価しつつ「ただ、話し合いは始まったばかり。改革が実現するかどうかは分からない」と語った。(ジュネーブ安達聡子)
2018年07月29日
統合や連携広がる 収支は補助金頼み 周年雇用へ複合経営 集落営農 農中総研調査
農林中金総合研究所は、集落営農組織の現状や課題に関する調査の結果を公表した。担い手確保や経営の効率化に向けた組織の再編が進んでおり、法人化や統合・合併だけでなく、旧市町村単位などで広域連携する動きもあると報告。周年雇用のため、複合経営や農外事業に取り組む組織もあるが、成功事例は多くないことも指摘した。
2018年07月29日
日米新協議初会合 8月10日前後にも USTR代表 FTA、牛肉に意欲
日米両政府は、茂木敏充TPP担当相と米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表による新たな貿易協議(FFR)の初会合を、8月10日前後に米国のワシントンで開く方向で調整に入った。ライトハイザー代表は7月26日の上院歳出委員会の公聴会で、日本との自由貿易協定(FTA)交渉に意欲を示した。両政府は9月の国連総会に合わせて日米首脳会談を行い、一定の成果を示したい考えだが、注視が必要だ。
ライトハイザー代表は公聴会でFFRに関し、「30日以内に会合を開くつもりだ」と明かした。その上で「われわれはかなり攻撃的な議題を設けている」とし、対日貿易赤字の解消に強い意欲を示した。
米国とのFTAに慎重な日本の立場を踏まえながらも「われわれとしては、日本とのFTA交渉をしなければならない」と述べた。
また、同代表は、牛肉を例に挙げ「米国は日本に対して慢性的に貿易赤字を抱えている。日本には多くの分野で米国の輸出品に対する不公正な貿易障壁がある」とした。
これに対し、麻生太郎副総理兼財務相は27日の閣議後の記者会見で、米国とのFTA交渉について、「やるつもりはないと最初から申し上げている」と改めて否定した。
茂木氏は「(日米間の)相違をしっかりと埋めていくことが重要だ」と強調。交渉内容については「しっかり準備をして臨んでいきたいが、まさに会談の中で決まっていくと思っている」と述べるにとどめた。
2018年07月28日
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2018年07月28日
米需給「分析丁寧に」 今後の変動考慮を 農水省食糧部会
農水省が27日開いた食料・農業・農村政策審議会食糧部会で、同省が示した米の需給見通しに対し、委員から「丁寧な分析が必要」とする意見が相次いだ。2018産米の需要量が前年より増える内容。作付け動向や作柄によって需給が大きく変動しかねない。国は11月末に必要に応じて見通しを修正する姿勢だが、生産現場が混乱しないよう、正確な情報発信が求められる。
2018年07月28日
輸出で合同チーム 「1兆円」達成へ連携強化 農水・経産省
政府は27日、農林水産物・食品の輸出拡大に向けて、農水省と経済産業省の職員で構成する合同チームを設置した。月に1回程度会合を開き、輸出事業者への支援策などを検討する。2019年に輸出額1兆円という政府目標の達成に向け、両省の連携を強化する。
2018年07月28日
コンクリ農地 施設基準 作成に着手 高さや排水 要件を具体化
農水省は27日、農作物の栽培施設の底地を全面コンクリート張りした場合も農地扱いにする法改正を受け、コンクリ面上の施設の基準作りに本格的に着手した。周辺農地に悪影響を与えないよう、施設の高さや排水施設などに関する要件を具体化し、11月の施行に向けてまとめる省令に盛り込む。大規模な植物工場の乱立などの懸念を払拭(ふっしょく)することや、現場の混乱を招かない明確な基準になるかが焦点だ。
2018年07月28日
6月末米在庫184万トン 作付け作況で流動的 農水省
農水省が、2018年産米の価格に影響する、来年6月末の民間在庫量について、前年同時期より6万トン少ない184万トンと見通していることが分かった。主食用米の供給が抑えられ、結果的に在庫解消が進み、適正量とされる200万トンを下回る。だが、あくまで、国が需給安定の目安として示した生産量が実現されることが前提で、産地の実際の作付け動向や出来秋の作況次第で、状況が変わる可能性がある。
2018年07月27日
西日本豪雨 ミカン島の被害甚大 若手 逆境に再興誓う 松山市
西日本豪雨は、新規就農者や若い後継者の田畑を直撃した。若手農家とともにブランド化を進めてきた矢先の大被害に、産地は苦境に立たされている。松山市の興居島では、通行止めの解消など生活環境の復旧に伴い、農業被害が次々と明るみになっていく厳しい現実の中、若手らは消防団の活動に励む。つらい気持ちを抑え「ミカンの島を必ず復興する」と誓う。(尾原浩子)
園地復旧 「一歩ずつ」
「甘平」「紅まどんな」「せとか」など愛媛県が誇る中晩かんの木が根こそぎになる土砂崩れが各地で発生した松山市泊町。研修を経て4月に就農したばかりの川根勝弘さん(45)の園地も半分が被害に遭った。
同町には30、40代の若手農家が毎年増えていた。JA松山市に出荷する仲間とともに、安定収入が見込める「紅まどんな」で勝負をかけようとしていた矢先の大打撃だった。
川根さんは水槽まで流される豪雨の猛威を目の当たりにした。「まだ生きている木もあるが、パイプも水源も被害に遭い、防除も摘果もできない。どうすればいいのか」と落ち込む。
川根さんら若い農家は連日、消防団活動に出向く。あまりの打撃に離農を口にする高齢者もいるという。園地の面積が小さく高齢化が進む同町では、規模拡大が難しい。かんきつは木を植えて収入が見込めるまで年数を要し、並大抵の努力では復旧できないことは川根さん自身が痛感している。それでも「ここまでブランドをつくってきた。一人じゃない。一歩ずつ頑張れば5年、10年と時間はかかっても復活できる」と園地に向かう。
先輩農家と手携えて
松山市由良町は代々、急傾斜地を切り開いてミカンを作ってきた。近年は、JAえひめ中央と農家が団結して「紅まどんな」などを地域ぐるみで栽培。そんな、小さくても光る産地を豪雨が襲った。同JA経営支援課の林諭さん(40)は「後継者が多く、産地を挙げて高級かんきつを生産する目標に向けて盛り上がっていた」と肩を落とす。
1・5ヘクタールを栽培する坂本和久さん(35)は、伊予カンの園地が崩れ、水源の池が流され、「紅まどんな」のハウスも被害に遭った。島の至る所が被害に見舞われ「これから帰ろうとする若者の足止めになるのが心配。農業には自然災害のリスクがあると教訓にするしかない」と冷静に語る。坂本さんら若手農家は連日、消防団活動や復旧に泥まみれで作業する。
そんな若者の姿に、地域の年配者らも「若い後継者のためにも踏ん張ろう」と考えている。「島の若い農家が重機で道路の土砂を取り除き、行けるようになった園地もある。泣いてばかりはいられない」と農家の石田六一郎さん(75)。農家の山岡建夫さん(66)は「後継者世代の被害も深刻。だが、若者のためにも水や防除を何とかしたい」と繰り返す。
JAの林さんは「農業がないと地域は成り立たない。水害前、地域は活気に満ちていた。若者と先輩農家が手を携え復旧する」と力を込める。
2018年07月27日