杉田水脈・衆議院議員が月刊誌への寄稿文で「(LGBTは)生産性がない」などと主張したことを受け、杉田議員が所属する自民党の本部前で7月27日、抗議活動が行われた。
多くの人が多様性を象徴する「レインボーフラッグ」やプラカードを手に声を上げるなか、ひときわ大きく拍手が上がった瞬間があった。
杉田議員に対する抗議声明を出した「LGBT法連合会」の共同代表、林夏生さんのスピーチだ。
「カミングアウトなんかしたら生きていけない」
林さんは、富山県の古い町に生まれた。物心がついた頃から、「親に孫の顔を見せることができない僕なんて、生まれて来るべきじゃなかった」と思い込んでいたという。
「誰ですか、こんなこと私に吹き込んだのは」と問いかけた林さんは、こう続けた。
「差別の言葉がなんでダメなのか。それはそのとき耳に刺さるだけじゃないんです。その言葉はその言葉に触れた人の心の中にずっと残るんです」
「『あなたは必要とされてない』ってその一言、それが寝ても覚めても繰り返されてしまうんです」
スピーチの半ばで林さんは、これまでゲイであることをカミングアウトしていなかったことを明かした。それでもなお、マイクを握る理由を強く訴えた。
「私、カミングアウトしてないんですよ。だって、カミングアウトなんかしたら私は生きていけないって、ずっと自分の中で言い聞かせてきたから」
「でも、この1週間で、知りました。黙っているより、もっと怖いことが起きるんだって。だから、私はここで言います」
「私はゲイだ!それが、どうした!私たちはここにいる」
以下にスピーチの全文を掲載する。
富山から自腹で来ました!47歳、林夏生です。絶対今日は来なきゃいけないと思ったんです。
今回、私たちは傷つきました。悲しみました。
私は大学で教えています。その中で、性の多様性の話をようやくこの3年間始めることが出来ました。そしたら、大学生が次々に言うんです。
「先生、どうしてこんな大事なことを小学校、中学校のときに教えてくれなかったんですか?」
「もしそれを知っていたら、ひどくいじめられていた自分の友達を助けてあげることが出来たのに」
「もしそれを知っていたら、自ら命を絶ったあの友達を助けることが出来たかもしれないのに」
杉田議員、あなたご存知ですよね。2015年の動画の中で「性的マイノリティの自殺率は6倍だ」って、あなた、笑いながら言ってました。
あれを見たときに背筋が凍りました。
一体どれだけたくさんの命を見送れば、世の中は変わってくれるんだろう。ずっとずっと辛かった。
差別の言葉がなんでダメなのか。それはそのとき耳に刺さるだけじゃないんです。
その言葉はその言葉に触れた人の心の中にずっと残るんです。「あなたは必要とされてない」ってその一言、それが寝ても覚めても繰り返されてしまうんです。
私が、そうでした。
古い町の長男に生まれながら、親に孫の顔を見せることが出来ない僕なんて、生まれてくるべきじゃなかったって。物心付いたときからずっと思ってたんです。
誰ですか、こんなこと私に吹き込んだのは。
でも、そんなのは30年前のことだ、40年前のことだと思っていたら、違うんですよね。
地方の町の中では、まだまだ昔の私と同じように、自分を呪いながら生きている若い子たちがたくさんいるんです。
私が懸命に中学校をまわり、高校をまわり、「あなたはあなた。大切なあなたなんだから」と言っても、あなた(杉田議員)の言葉がそれをみんな吹き飛ばしてしまう。こんなことは許せない。
私、カミングアウトしてないんですよ、はい。
それはどうしてでしょう?だって、カミングアウトなんかしたら私は生きていけないって、ずっと自分の中で言い聞かせてきたからです。
でも、この1週間で、知りました。黙っているより、もっと怖いことが起きるんだって。だから、私はここで言います。
私はゲイだ!それが、どうした!
私たちはここにいる!THIS IS PRIDE!
今回のことは、みんなが優しくなれば解決することじゃないんです。
優しい気持ちになれるときも、そうじゃないときもあるから、だから私たちに必要なのは「制度」なんです。「ルール」なんです。
この世界の風向きが変わったって、誰も傷つけることのない世の中にするために、どうか一緒に「制度」を作って下さい。
私は大学の教壇でずっと学生たちに「政治を諦めるな」って言ってるんです。「諦めたくなるような政治」はどうか終わりにして下さい。
これからもいい世の中を一緒に作っていきましょう。ありがとうございました。
Saori Ibukiに連絡する メールアドレス:saori.ibuki@buzzfeed.com.
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