独身者は経済的に余裕があるイメージを持たれることが多いようですが……(写真:Graphs / PIXTA) © 東洋経済オンライン 独身者は経済的に余裕があるイメージを持たれることが多いようですが……(写真:Graphs / PIXTA)

 「独身貴族」という言葉があります。

 今はあまり使われていないですが、この言葉の歴史は案外古く、最初に使われたのは40年以上前の1977年頃と言われています。時代は高度経済成長期が終わり、安定成長期と呼ばれた頃です。当時は男女ともに95%以上が結婚していたほぼ皆婚社会でした。当然、未婚化も少子化もまったく叫ばれていない時代です。

 「独身貴族」とは、本来「おカネと時間を自分のためだけに使える存在」という定義であり、決して「裕福な金持ち独身」という意味ではありません。が、「貴族」という言葉の力からか、リッチで好き勝手に遊びまくっているというイメージがつきまといます。

ドラマが「独身=悠々自適」というイメージを醸成

 そんなイメージを決定付けた一要因には、ドラマの影響があると考えられます。典型的なのが、2006年に放映されたドラマ「結婚できない男」(フジテレビ)でしょう。主演の阿部寛演じる桑野信介(40歳未婚)は、有能な建築家で、高級マンションに一人で住み、一人きりの食事を好み、趣味はオーディオでのクラシック鑑賞という、まさにソロ男気質の自由気ままな独身生活を楽しんでいるという設定でした。

 さらに、2013年にはタイトルもそのままズバリの「独身貴族」(フジテレビ)というドラマが放映されました。

 草彅剛演じる主人公の星野守は、映画プロデューサーで社長。もちろん未婚です。第1話で彼が乗っていた車は、ロールスロイス・ファントムという車で、6.8リッターV12エンジンを搭載し、新車価格なら4000万円以上もする高級車です。

 このように、物語での独身貴族は大体裕福に描かれることが多く、そうしたイメージの刷り込みが独身貴族という言葉に誤解を与えている気がします。昨年、独身税の導入という話が石川県の主婦たちから提案され議論を呼びましたが、それもこうした誤解に起因するのでしょう。

 はっきりと申し上げておくと、いつまでも結婚しない男たちが全員そんな裕福であるはずがないのです。むしろ20~30代の独身男性はほとんどが低収入層で占められています。それは、前回の記事『収入重視女と容姿重視男に未婚が多いワケ』でもご紹介した通りです。平均収入である400万円を超えている単身男性は全国ではたったの25%しかいません。300万未満の収入しかない単身男性だけで全体の過半数を占めます。

 そうした独身貴族と言われる人=ソロモンたちの家計の実情はどうなっているでしょうか?

 総務省の家計調査は1946年から始まった国の基幹統計のひとつであり(当初は「消費者価格調査」)、消費の実態を把握するのに有効な資料です。ただ、もともとは二人以上の家族世帯単位の調査であり、一人で暮らす単身世帯は対象外でした。国の統計として単身世帯が正式に加えられたのは比較的最近のことで、2002年からです。

 しかし、相変わらず国民の消費動向というニュースにおいては、基本的に二人以上世帯、つまり家族のデータだけが使用されます。日本は2015年時点で単身世帯比率は約35%に達しており、もはや決してマイノリティとは言えない規模です。消費力を測る上で単身世帯の動向を無視しては実情とかけ離れてしまいます。総務省では現在、単身世帯に加えて、家族と同居する世帯員の消費動向を把握すべく、家計ではなく「個計化への対応」を検討中のようですが、現状の統計としては家計調査に頼らざるをえません。

 家族と単身の消費傾向が異なるのは当然ですが、同じ単身世帯でも男女間ではまた大きく違います。男女合計での見方をしてしまうと平均化されて特徴を見逃す危険があります。さらに、同じ単身世帯でも現役層と高齢者層という年齢でも大きく消費傾向が異なります。今回は、家計の比較に際して、単身世帯は高齢世帯を除き、男女別に勤労者59歳までの人だけを抽出し、二人以上の勤労家族世帯と比較することとします。

単身者の実収入は下落基調

 まず、実収入ですが、2007年基準で比較すると、二人以上世帯が全体的にゆるやかに上昇して2017年時点では基準を超えているのに対し、単身世帯は男女とも2009年以降一度も基準を超えたことがありません。全体的に右肩下がり基調です。特に、単身男性は2014年にやや盛り返したものの、また下降して、2016年には10%近くも減少しています。

 実収入は上がっていない単身世帯ですが、直接税や社会保障費負担(非消費支出)および消費税を加えた税関連負担についてはどうでしょうか?

 二人以上世帯も単身世帯もどちらも負担率は上がり続けてはいますが、グラフでおわかりの通り、単身男性の負担率が圧倒的に高いことがわかります。2015年には実支出に占める割合が34%近くまで上昇しています。これは、単身男性にはいろいろな控除がないことによりますが、大きな負担になっています。2017年実績では、単身男性の税関連負担は、二人以上世帯に比べて2.7%高く、奇しくもこれは二人以上世帯の教育費の比率とほぼ一緒です。単身男性たちは子どもがいない分を国庫に入れているのです。もはや、これは可視化されていない「独身税」のようなものではないでしょうか。

 続いて、単身と家族のエンゲル係数(消費支出に占める食費の割合)の違いを比較してみましょう。こちらも非消費支出と同様、単身男性が圧倒的に高くなっています。エンゲル係数の増加は、実収入の下落基調に加え、食品の物価が上昇したことが大きな要因であることは確かで、さらに2014年の消費増税の上乗せというトリプルパンチとなっています。もちろん、これは単身男性だけではなく、単身女性も家族世帯もすべて影響を受けています。

品目別に見ると…

 食費の中の項目で2007年と2017年とでどれくらい消費実額が増加したのかをまとめたのが以下のグラフです。食品の物価上昇を考慮に入れるため、同時期の各分類の物価指数増加分をゼロとした場合の純粋な食費支出増減比較を見ることとします。

 興味深いのは、二人以上の家族世帯の場合、物価上昇に敏感に反応している点です。物価が大きく上昇した魚介類・果物・菓子などはすべて支出減で、節約の意思が見られます。一方、単身男性は値上がりしている肉類や野菜もむしろ大きく消費額が伸びていますし、なぜか、それほど物価上昇が大きくない油脂・調味料が44%も増えています。

 逆に、おにぎりや弁当などの調理食品はそれほど伸びていません。これらは、もしかするとソロ男たちの内食化や健康志向などと関連しているのかもしれません。ちなみに、健康志向とは逆行する菓子類も伸びていますが、ソロ男の菓子好きは筋金入りであり、そこを削減する意識は薄いといえるでしょう。

 推測するに特にソロ男たちは家計簿をつける習慣がなく、物価上昇に対してあまり頓着していないことが考えられます。とはいえ、手取り収入が減っているのは現実であり、そこでどうするかというと、もっとも支出している分を削減するのです。

 ご覧のとおり、単身男女とも外食費は約2割以上も減少しています。『外食費は1家族以上!独身男は「よき消費者」だ』でも紹介したように、特に単身男性の外食費は、一人で一家族分以上実額で使っています。それは今も変わりませんが、10年前より消費額は抑えめになっています。

 よく考えずに日々の食費を使っているものの、月末になるとどうも手持ちが少ない。仕方なく、もっとも金額の大きい外食を削っているのでしょう。これでは、月3万円のお小遣いでランチは立ち食い蕎麦一択になっている既婚のお父さんと境遇としては変わらないと言えます。

 ちなみに、単身男性の場合、食費以外でも2007年と2017年を比較した場合、被服費や交通通信費は2割減、教養娯楽費は3割減です。決してアイドルやアニメ、旅行や趣味のおカネを使いすぎているわけではありません。

将来的に「消費の主役」は独身に

 独身人口は確実に増加します。単身世帯以外も含む全独身消費市場は、私の試算では、2020年に100兆円を超え、2030年には家族の消費額を抜きます。今後は独身の消費力が市場経済を左右します。

 そんな未来経済の主役になるべき多くのソロモンたちが、諸々の要因からその消費行動を抑えざるをえない今の状況は、景気面からも決してよいとは言えません。多くのソロモンたちは、全体的に収入が伸びない中、税金や社会保障費の控除もなく、物価上昇や消費税率アップなど消費に関わる費用もかさみ、とても「独身貴族」などと呼べる豊かな生活は送れてはいません。それどころかギリギリの暮らしを強いられていると言えます。

 所得が大幅に増える見込みのない中、来年に迫った消費税率アップが、彼らにトドメを刺すことにならなければいいのですが……。

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グランドセイコー、肝いりの海外戦略

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SBの上場は株式市場にとって吉か凶か

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収穫直後の新鮮な野菜を棚に並べる石垣さん(左)

かあさん農家が団結、直売で年2億円

秋田県大館市の体験交流型直売所「陽気な母さんの店」が好調だ。2001年の開設以来、農家の女性たちが自立した経営を実践してきた。ここ数年の年間売り上げは2億円超。地元農産物の魅力を発信する拠点として存在感を増している。 立地場所は周囲に水田が広がる国道103号沿い。店内は開店直後から活気づく。「今朝取れた新鮮な品が入りました」。威勢のいい掛け声に誘われ、客がトマトや山菜の品定めに夢中になっていた。 開設に向けて公的助成を受ける予定だったが、市の理解が得られなかったことから補助金などの活用を断念。地元の女性農家100人が出資した。女性が活躍する場をつくり、「稼げる農業」を実現するのが目的だった。自立的な運営を展開し、15年には株式会社化した。 社長の石垣一子さん(64)は「女性農家が社会とつながる貴重な場になっていると強く感じる」と話す。 加工場や料理教室、食堂を備え、さまざまな形で農産物の魅力に触れる機会を提供する。客層は市内の60~80代の女性が中心だが、親子連れや男性の利用者も多い。弁当販売や独自商品の開発、宅配など着々と事業の幅を広げている。 03年には行政や企業と協議を重ねて店の前にバス停を設置した。客層の高齢化を見据え、来店手段を確保するのが狙いだった。 冬場は雪中貯蔵して糖度を上げた野菜など雪国の魅力が詰まった商品をそろえるなど、季節ごとに仕入れの工夫も欠かさない。 こうした努力の積み重ねが実り、売り上げは年間1億円以上を維持してきた。8年ほど前に販売が伸び悩むと、在庫量を定時メールで会員の生産者に知らせるシステムを導入。ニーズを捉え、人気商品の品切れを回避することで、その後の売り上げは年2億円以上で推移している。 大手スーパーの撤退や商店街の衰退が続く市中心部に支店も構える。ここでは総菜が人気商品。単身の高齢世帯が増えているためか、需要は年々高まっているという。 運営に携わる会員の高齢化も少しずつ進み、若手会員の確保が課題の一つ。今後は男性農家の本格的な受け入れも含めた経営改革を進める考えだ。石垣さんは「移動販売やキッチンカーなど新事業を推進し、人口減少が進む地域を支えたい」と意気込む。

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魅力失ったスタバ、ダンキン優位の訳

予想を上回る第2四半期の決算結果を受け、米ダンキンドーナツの株価は7月26日、史上最高に近い高値を付けた。同社の業績が好調であることは間違いない。 ダンキンドーナツはその規模では、競合するスターバックスに大幅に遅れを取っている。だが、顧客との関係は非常に良好だ。ソーシャルメディアに投稿されるコメントなどから得た情報を分析し、企業や投資家に消費者動向に関するデータを提供する米ライクフォリオ(LikeFolio)によると、ダンキンドーナツは次の5つの理由から、スターバックスより優位にあると考えられる。 1. 顧客層が拡大している 特定の店舗での購入、または購入の意思に関する調査結果によれば、ダンキンドーナツの商品を買った、または買いたいと考えている消費者は、ここ数年間で最も多くなっている。つまり、固定した顧客層があり、それがさらに拡大しているということだ。 この状況をうまく活用するため、ダンキンドーナツは店舗網の拡大を進めている。(今年2月には、年内に)275店舗を開設する計画を明らかにした。一方のスターバックスは、国内の多数の店舗を閉鎖している。 2. 顧客満足度がスタバより高い ライクフォリオの顧客満足度調査では、ダンキンドーナツがここ数年で初めてスターバックスを上回っている。ただ、それは残念ながら、ダンキンドーナツの顧客が満足度を高めているからではなく、スターバックスの顧客満足度が急速に低下しているためだ。 売上高がダンキンドーナツのおよそ25倍に上るスターバックスがコーヒー好きの常連客を少し失うだけでも、ダンキンドーナツの利益は大きく押し上げられることになる。 3. 従業員研修のために休業しない スターバックスは今年4月、フィラデルフィアにある店舗で人種差別問題に絡む問題が発生するなど、顧客対応に関する評判が下がり始めている。4月には60ドル近かった株価は、最近では一時50ドルを切るまでに下落している。 ある小売業界の専門家は、同社について次のように述べている。 「スターバックスにはすでに、従業員の士気の問題があった。退任したハワード・シュルツ会長がトップだったころから経営方針の一環として従業員に提供されていた福利厚生の一部が廃止されるなどしたためだ」 「スターバックスは魅力を失ってしまった。ウォール街は同社の経営陣への信頼を失っている。その結果が”数字”に現れるのは何四半期か先のことかもしれない。だが、数字は減少(または下落)していくだろう」 4. プラスチック製ストローを提供する ”バーチューシグナリング”(自分が道徳的に優れていると思わせるための公的な行動)は、ビジネスに不利益をもたらし得る。そうした行動は企業の本心に基づいている場合もあるだろうが、その企業や幹部が抱える本当の問題から世間の目をそらすためのキャンペーンである場合も多い。 スターバックスは従来、政策に関連する問題についても自社の考えを明確にしてきており、プラスチック製ストローの廃止はそのような目的のための行動ではないだろう。だが、タイミングから考えれば、疑念も生じる。 ダンキンドーナツはこの一件に関する世論の圧力に屈するのだろうか──これまでのところ、彼らは活動家ではなく、顧客の希望を重視する考えのようだ。 5. ドーナツがおいしい これについての軍配は、ダンキンドーナツの方に上げなければならない(スターバックスはペイストリーを提供しているが)。

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(画像=Nattakorn_Maneerat / Shutterstock.com)

年収3000万円で1R暮らし、恐怖の心理

お金持ちの知人、もしくは富裕層サービスを提供している友人と接していると、「高収入サラリーマン」と「真のお金持ち」のお金の使い方に違いがあるように感じる。今回は、それぞれの「お金の使い方」について考えてみよう。 ■高収入サラリーマンはお金を抱いたまま亡くなっている? 富裕層サービスを提供している友人によると、高収入サラリーマン(年収3000万円以上)は会社を退職した後、極力お金を使わない老後を送っているそうだ。また、高額な貯金を残したまま亡くなることが多いという。 高収入サラリーマンは色々な職業がある。外資系金融のトレーダーや、保険や不動産などの営業トップセールスマンなどがその筆頭だろう。筆者の知人に保険のトップセールスマンがいる。彼はまだ20代後半という若さながら年収は3000万以上ある。営業マンなので、身なりは整っていてそれなりに良いスーツを着ている。 しかし、彼は高級時計をつけているわけでもなく、どこにでもありそうなワンルームマンションで暮らしている。まだ年齢が若いということもあるが、一見して「お金持ちのオーラ」があまりない。「そんなに収入があって何にお金を使っているのか?」と尋ねると「いつまでこの収入を維持できるか不安があるので、ムダな出費はしないようにしている」という。話を聞くとコツコツと資産形成をしているようだ。 「そんなにお金があるのに意外と度胸がないんだな」と感じられたかもしれない。だが高収入サラリーマンは成績が出せている間は問題ないが、いざ売れなくなると収入はあっさり激減してしまう。下手をするとそのままクビになることすらある。「現在享受している安寧は永遠ではない」という栄枯盛衰、諸行無常をデキる高収入サラリーマンほど心底理解しているから慎重になるのだろう。 また高収入サラリーマンは、大金を抱いたまま亡くなるケースが多いのだという。資産が2億、3億とあってもそれがひたすら減っていく一方、という状況で不安にならない人などいない。お金の残高は言わば自分の命を数値で示したものとも言えるので、その恐怖たるや凄まじいものがある。 ■資産家はじゃんじゃんお金を使う 一方で資産家はまったく違う。まるで毎月両親からもらうお小遣いをキッチリ使い切る高校生のようにガンガン消費する。 彼らは10億、100億と資産があるからそのような余裕があるわけではない。資産運用によるキャッシュフローを持っており、「収入>支出」という図式が成り立つので、お金が減っていく恐怖から開放されている。 例えば知り合いの資産家は、都内の駅前に商業ビルを持っており、そこからの賃料収入だけで何百万円もの収入がある。空室リスクにさらされている地方の不動産投資家とは異なり、収益が安定している優良企業がいくつも入居しているので、空室リスクの心配はほとんどない。 その方と会う度に、とにかくド派手に奢ってもらって仰天する。ビジネス面でも色々とお世話になっている上に、さらに食事まで奢ってもらっているのが申し訳なくて、何度もこちらから支払いを申し出た。しかし、私のほうが遥かに年が若いからか、まったく払わせてもらえなかった。 とにかくお礼をしたい一心で、筆者が経営する会社のフルーツギフトをプレゼントすると、お中元やお歳暮などでそれぞれ100件以上注文をしてくれる「上客」になってしまった。 ■お金持ちとは経済的自由を得ている人のこと こうした経験をふまえて、筆者は「お金持ちとは、お金をたくさん持っていることではなく、経済的自由を得ている人たちのこと」と考えている。そういう意味では高収入サラリーマンたちは真のお金持ちとは言えないかもしれない。 貯金はあまりなくても、毎月100万円が半永久に入り続ける生活が出来るならば、人は気持ちよく自由に消費できるのだ。真のお金持ちとはビジネスの第一線から引退後もキャッシュフローを持っている人たちのことなのである。(黒坂岳央、高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表) ZUU online

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毎月10万円がないと老後破綻する理由

繰り越し方式導入で、どんな影響が出る? 急速な少子高齢化の進展で、年金制度を維持するために多くの改正や制度の変更が行われてきた。 直近では2016年に国会で年金制度改正法が成立し、現役世代にとっては大きな2つの変更が加えられることになった。具体的には18年から導入された「マクロ経済スライド」の繰り越し方式(キャリーオーバー)の導入。もう1つが21年からはじまる「物価・賃金スライド」の運用方法の変更だ。 年金制度は物価の上昇や現役世代の賃金が上がる場合には、年金給付額をそれらの上昇率にあわせて調整する制度になっていた。しかし、現役世代が減少し、給付対象者が増えるなかで、一定程度給付する年金額を抑え、長期的な視点で年金制度を維持しようという「マクロ経済スライド」が04年から導入されている。 このマクロ経済スライド、賃金・物価の伸長率が低い場合には調整は行われず、前年度の給付額を維持することになっている。ところが16年の改正ではスライドが行われない場合でも、0%を下回る未調整分を翌年以降に差し引きする「キャリーオーバー」が導入されることになった。 そもそもスライドの調整率は、現役世代の人口減少や平均余命の延びに応じて毎年見直される。当初の厚労省の計算では調整率は0.9%とされ、賃金・物価上昇時には発動するが、物価上昇率が0.9%以下やマイナスのときは発動しないことになっていた。 年金に詳しいブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾氏(社会保険労務士)は「物価が1.5%上がれば、そこから0.9%を引いた0.6%しか年金額をアップしない。また物価上昇率が0.5%だと、そこから0.9%を引くとマイナスになるので調整しないことになっている。これまでデフレが長く続いたために発動されてきませんでしたが、15年に1回だけ発動している」という。 たとえば物価が0.5%上がり、マクロ経済スライド調整率0.9%を差し引くとマイナス0.4%になるが、この場合の年金額は据え置きとし、0.4%を次年度以降に繰り越し、物価が上がったときにこの分を含めて差し引くという仕組みだ。(図版参照) このキャリーオーバーが導入された18年1月、厚生労働省は18年度の年金参考指標として物価の変動率はプラス0.5%、名目手取り賃金はマイナス0.4%となることから、年金額は据え置き。マクロ経済スライドによって、未調整となっている14~16年時のマイナス0.3%分を19年度以降に繰り越すことを発表した。 「わかりやすく言えば、仮にアベノミクスの物価上昇率2%の政策目標が実現しても、本来の調整率0.9%プラス未調整分の0.3%の計1.2%が差し引かれ、年金額は0.8%しか上がりません。平均調整率を1%とすると、2%の物価上昇率が10年続けば物価は20%上がりますが、年金は10%しか上がらない。つまり、年金が10%目減りし、今までと同じ商品を買うことができなくなります」(北村氏) さらに、21年からはもう1つ、「物価・賃金スライド」の制度変更が行われる。冒頭の説明にもあった通り、これまで給付される年金額は物価や賃金の変動に伴って調整されてきた。物価が上がっても、その分給付額も上がるので、物価の変動にかかわらず、同じ商品が買えるメリットがあった。たとえば、現役世代の賃金が1%上昇すれば、年金額も1%上がる。仮に物価が上がっても賃金が下がる場合にはプラスマイナスゼロで据え置くことが決まっていた。 しかし、今回の改正により、21年4月からは、物価よりも賃金の上昇が鈍い場合、賃金の変動を優先して年金額が決定する仕組みに変更になる。賃金よりも物価の伸長率が高い近年の経済状況が続けば、給付額が減額されるようになるというわけだ。 毎月10万円が不足、確実に老後破綻する 21年からはじまる年金の賃金スライド開始で実質の年金額は毎年目減りし、さらにマクロ経済スライドによって減額されることになる。 それだけではない。北村氏は現役世代にはさらなる厳しい状況が待ち受けていると指摘する。 「現在の年金制度は現役世代の年金保険料で引退世代の年金を支える世代間扶養の仕組みです。しかし、すでに2.3人の現役が1人の年金受給者を支えている構図になっている。このままでは年金財政が持たないので、現役世代の保険料を引き上げるしかありません。でも、現実的には難しい。そうなると1つの解決策は消費税を上げて年金財源を確保する。もう1つは現在65歳である支給開始年齢の引き上げ。第1ステップとして定年年齢を65歳に延ばしたうえで67~68歳に引き上げるのは間違いない。今45歳の人は確実にそうなると思います」 当然、その頃は年金額も目減りしている。ちなみに18年度の厚生年金月額は約22万円(夫婦2人)。北村氏は45歳が受給する頃には(現在の貨幣価値で)17万円程度になっている可能性もあると試算する。老後の生活費は総務省の家計調査では月約27万円。そうなると10万円不足することになる。 北村氏は最後にこう警告する。「何らかの形で毎月10万円を捻出できなければ間違いなく老後破綻が待っています。そのためには今からリタイア後を想定して個人年金に入る、あるいは奥さんが個人型の確定拠出年金に加入するなど、将来に向けた準備に着手すべきです。会社や国が面倒を見てくれる時代はもはや終わっているのです」。 北村庄吾(きたむら・しょうご) ブレインコンサルティングオフィス代表 1961年、熊本県生まれ。中央大学卒。社会保険労務士・行政書士・ファイナンシャルプランナー。著書に『人生を左右するお金のカベ』(日本経済新聞出版社)など。(撮影=大崎えりや 写真=iStock.com)

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お金持ちでない、FPに相談する価値は

フィナンシャル・アドバイザーなど「お金の専門家」の存在は知っているが、「実際に利用するのはお金持ちだけ」と思っている人も少なくないだろう。しかし平均的な所得、あるいはそれ以下の所得の人でも、お金の専門家に相談することで大きな恩恵があるという。 「資産額や所得に関係なく、フィナンシャル・アドバイザーを利用している人はそうでない人に比べ、流動資産や年金資産が増えた」との調査結果も報告されている。 お金持ちではない人はフィナンシャル・アドバイザーを、いつ、どんな時に利用すれば良いのか?専門家の意見を聞いてみよう。 ■お金持ちでなくても、流動資産が4割弱増える? 長寿と人口の変動について研究している英国のシンクタンクInternational Longevity Centre と保険・年金企業 Royal London が共同で行なった調査 では、フィナンシャル・アドバイザーに相談する利点が明確になっている。 2001〜07年にかけて専門家からアドバイスを受けた消費者とそうでない消費者を比較したところ、2012〜14年までに築き上げた流動資産や年金資産に著しい差が見られたという。 この調査では、対象者を高学歴で経済的に余裕がある「affluent(裕福な層)」と、低学歴で経済的に圧迫されている「just getting by(どうにかやりくりしている層)」に分け、専門家によるアドバイスが各層にあたえる影響を分析した。 アドバイスを 受けている「affluent」の流動資産は、アドバイスを受けていない裕福な層より平均17%、年金資産は16%多かった。アドバイスを受けている「just getting by」の流動資産は、アドバイスを受けていない同じ層より平均39%、年金資産は21%多かった。 また、「アドバイスが株投資と貯蓄の水準を上げることにつながった」とも報告されている。アドバイスを 受けている「affluent」はそうでない 裕福な層と比べると、貯蓄する人の割合 が平均6.7%高く、投資する人の割合も9.7%高かった。アドバイスを受けている「just getting by」はそうでない同じ層より、貯蓄する割合が9.7%高く、投資する割合は10.8%高かった。 ■9割がアドバイスに満足、実際に相談したのはわずか2割弱 調査によると専門家に相談した10人に9人が、アドバイスに満足している。しかし、2012〜14年にかけてアドバイザーに相談した回答者はわずか16.8%。過去数年間に投資商品を購入した回答者ですら、約40%がアドバイスを受けず、個人年金商品を購入した回答者の78%が自力でフィナンシャル・プランを立てている。 「自分のお金は自分で管理できる」「家族や友人に無料で相談できる」「専門家に相談するほど資産を持っていない」などが、フィナンシャル・アドバイザーを利用しない一般的な理由として挙げられる。 特に近年は、ソフトウェアやアプリを使って、誰でも簡単にお金の管理や資産運用ができる時代だ。「わざわざサービス料金を支払ってまで、専門家に相談する必要はない」と考える人が多いのも不思議ではない。 ■専門家に相談すべき8つの機会 しかしUSNewsの金融ライター、マリアリン・ラポンシー 氏は専門家の意見や数々の事例に基づき、資産や年齢に関係なく、「専門家に相談すべき8つの機会」を挙げている。 1.初めて働き始めた時 2.結婚・離婚・死別した時 3.まとまった金額の現金を受け取った時 4.親の介護が必要になった時 5.子どもが生まれた時 6.資産を継承したい時 7.定年退職後のライフプランを立てたい時 8.25万ドル以上の資産を所有している時 ■「生活に大きな影響をおよぼす出来事」が相談の目安 初任給が年間2万ドルであろうと20万ドルであろうと 、まずはフィナンシャル・アドバイザーに相談する。専門家は老後のための貯蓄に関するガイダンスを示すだけではなく、福利厚生サービスを最大限に活用する方法に関するアドバイスも提供している。早めのライフプラン設計は、充実した経済基盤を築く上で大いに役立ってくれるはずだ。 フィナンシャル・アドバイザーのような第三者を間にはさむことで、資産と収入の共有について夫婦間(あるいは結婚を予定のカップル)で話し合いがしやすくなり、離婚の際には財政的損失を最小限に抑えることができる。 死別によって 財政が一転するケースもある。残された配偶者は以前よりも少ない収入での生活を余儀なくされる、あるいは家、生命保険金、投資といった資産管理の最善の方法を考える必要がある。「伴侶を失って初めて、自分でお金の管理をする」という人も少なくない。 資産相続、ボーナス、昇給など、まとまったお金が手に入ることは財政的健全性に恩恵をもたらす。しかし多くの人がせっかくの機会を活かしていない。 米国公認会計士協会(AICPA) のパーソナル・ファイナンス・スペシャリスト委員会(Personal Financial Specialist Committee)のメンバー、ロバート・ウェストリー氏 いわく、「棚ぼた式に手に入ったお金を急いで使おうとした時、間違いが起こる」。専門家からアドバイスを受けることは、こうした「間違い」を未然に防いでくれる。 ■最も効果的にお金を管理する 子どもの誕生や親の介護など、財政状況に大きな影響をおよぼす出来事が生じた場合も、お金のプロに相談すべきだ。 「資産を子どもや孫に譲りたい」のであれば、かしこい相続税対策 は必須となる。老後のためにコツコツと貯蓄することは大切だが、フィナンシャル・アドバイザーは「最も効果的に貯蓄したい」という希望を叶えてくれる。 資産が一定の水準を超えた場合、定期的に専門家に相談し、見直すことで、安全かつ効果的に、資産をさらに増やせるだろう。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター) ZUU online

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貧富の差は「収入格差」ではない真実

「収入の差が生活レベルの格差になる」と考えている人は少なくない。自分が働いている企業のレベルがすなわち収入の差となり、それが生活レベルを決定する要素は確かに事実だ。年収300万円、600万円、1000万円、3000万円では住居、趣味、付き合う人のレベルに差が出るだろう。 しかし、収入に差があるというのはあくまで「結果論」でしかなく、目を向けるべきは「なぜそのように収入に差が生まれるか?」という収入の差を生む「原因」のほうだろう。筆者が富裕層との付き合いから得られた知見は「お金持ちは質の高い情報にアクセスしており、情報の格差が貧富の差を生む」ということだ。 ■インターネットで検索しても出てこない情報 昔、デジタルデバイドという言葉が話題になった。デジタルデバイドとは、PCやスマホなどでネットを活用できる人と、まったくIT機器に触れることが出来ない人の間で大きな情報格差が生まれることを示したワードである。 私達は当たり前のように物事やニュースなどを多面的に見ることが出来る環境にある。しかし、ITインフラが十分でない国では、情報は一方的に受け取る立場でしかない事が多く、それ故に経済的な格差や貧しさの固定化が起きるという問題が起きている。 デジタルデバイドはITの活用可否が格差を生み出す話だが、お金持ちと一般人と分ける情報格差が先進国である日本にも存在する。お金持ちの人たちは、一般の人たちがアクセスできない情報をアクセスでき、それが貧富の差を生み出す一要素になっているということだ。 「今の時代、ネットで検索すれば何でも出てくるから情報の世界はフラットであるはずだ」という考えは誤りで、ネットで検索してもまったく出てこない情報というのはいくらでもある。お金持ちはそうした情報にアクセスできる人たちなのだ。 事実、筆者がこれまでビジネスのコンサルティングで教わってきたノウハウや、お金持ちのパーティーで聞いたビジネス話は検索してもまったく出てこない。情報の価値は「誰も知らないことを自分が知っている」ということにあるわけだから、多くの人が知らない情報を得ているだけで、ビジネスや投資の勝敗を分けてしまうほどの決定的な力を持つのだ。 ■稼ぐ人たちのインナーサークル 筆者がお金持ちや一流のビジネスマンと付き合う上で感じるのは「お金持ちはインナーサークルで情報を得ている」ということだ。つまり、お金持ちはお金持ち同士で付き合い、儲け話の情報交換をしているということである。 例えば仮想通貨や不動産といった投資。超一等地の不動産物件が驚くほど有利に取引されていたりする。世間では絶対に出回らない高収益を生み出す不動産物件を相手に紹介することで、信用醸成のアイテムにしているのだ。 投資だけではない。少しアングラな分野(もちろん違法ではなく合法)で、世間がまったく注目していないジャンルや分野で特殊な稼ぎ方している人にお会いしたこともある。稼ぐ人はインナーサークルで情報共有をしていて、それは決してネットや一般的に出回ることはないのである。 ■稼ぎたければ稼ぐ人のそばにいなさい このような話をすると、「富む人はますます富み、一般的にアクセスできない情報で稼ぐなんてずるい!」と思われるかもしれない。確かに、アクセスできる情報の質の差がそのまま経済格差になるのだから、これほど理不尽な話はないだろう。しかし事実としてそうした世界は存在するし、実際に目にしてきた。 どうすれば一般人もそのような世界に入れるのだろうか。その方法は「お金持ちと付き合うこと」である。筆者もお金持ちと付き合うようになって、経済的に、ビジネス的なレベルアップを果たすことが出来た。最短最速でお金持ちになる方法とは、お金持ちとお付き合いをすることだ。 自分がお金持ちにならないとお金持ちから相手にされない、というわけではないから希望が持てる。彼らに気に入られるようにするには過去記事「一般人が「お金持ちと友達になる」方法はあるのか?」を参考にしてもらいたい。 どんな世界でも最も重要なのは「信用」である。お金持ちから信用される人間になって、彼らのインナーサークルに入ることができれば、情報強者になることができる。ぜひ検討してもらいたい。(黒坂岳央、高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表) ZUU online

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都心5区の地価高騰、周辺への影響は

国税庁の発表による路線価(2018年1月1日時点)は、全国平均で前年比0.7%のアップ、これで3年連続の上昇だ。大都市圏の好調が際立つ構図は変わらず、都道府県所在地の最高路線価で下落したのは、茨城県(水戸市)の▲2.1%だけだった。特に東京都の勢いは衰えを見せず、平均で4.0%上昇した。前年よりも0.8ポイントアップしている。 ■根強い人気を維持する都心部 相変わらず都心5区(新宿・渋谷・中央・千代田・港)の人気は高い。インバウンドを背景としたホテル・商業施設やオフィス需要がその背景だ。 東京国税局税務署別の最高路線価トップは京橋税務署(銀座中央通り)の4432万円/㎡でバブル時を抜いている。続いて新宿署(新宿通り)、四谷署(新宿通り)、麹町署(晴海通り)、渋谷署(渋谷駅側通り)、日本橋署(外堀通り)、麻布署(青山通り)が並ぶ。 ただし、その勢いはやや鈍化傾向にある。例えば前述の銀座中央通りの場合でも、今年の上昇率は前年比9.9%と、前年(26.0%)ほどではない。 すでに都心5区は価格が上がりすぎ、上昇余地は乏しい。投資家層にも敬遠する空気が漂い始めた。 ■周辺部に広がり始めた地価高騰 地価上昇は、都心5区の周辺エリアにも広がり始めた。 昨年の東京国税局税務署管内における最高路線価の対前年変動率ランキングは、上位を京橋・麻布・四谷・渋谷といった都心5区が独占し、10%以上の上昇は14地点のうち7地点と、半分以上を占めていた。 今年はそれが様変わりしている。トップこそ都心5区の麻布署(青山通り)の15.8%だが、2位以降は神奈川署(横浜市鶴屋橋北側14.9%)、川崎南署(川崎駅東口広場通り14.9%)、足立署(北千住駅西口駅前広場通り14.5%)、横浜中署(横浜駅西口バスターミナル前通り13.3%)、玉川署(玉川通り13.2%)と周辺エリアが続く。10%以上の上昇地点でも、13地点のうち9地点を周辺エリアが占める。都心での地価上昇が周辺エリアに波及した格好だ。 例えば、玉川署(玉川通り)の上昇率13.2%は前年より1.2ポイント高い。魅力の一つは、駅直結の商業施設だ。約180店舗のショップ・レストランが入居する2011年開業の二子玉川ライズは、入館者数が3000万人を超える(2017年)など、このエリアの集客の要として機能している。 もう一つは、高い利便性だ。ニコタマの愛称で知られる二子玉川駅は、田園都市線(東京メトロ半蔵門線直通)で渋谷まで15分、大井町線で自由が丘まで10分ほどの位置にある。2017年度の乗降客数も10.2万人と、前年より1.7%伸びている。 足立署(北千住駅西口駅前広場通り)の上昇率14.5%も、前年より2.8ポイントも高い。日比谷線・千代田線・JR常磐線・東武伊勢崎線・つくばエクスプレスが乗り入れ、東京駅まで約20分の高い利便性を誇る。旧千寿小学校跡地に建設された東京芸術大学(音楽環境創造科)をはじめ、東京電機大学・帝京科学大学など複数の文教施設誘致にも成功、街のイメージアップや賑わい創出に寄与している。駅周辺では、マンション建設も目白押しだ。 ■横浜・川崎の地価も大きく上昇 地価上昇は周辺県にも波及している。神奈川県内では、川崎南署(川崎駅東口広場通り14.9%)、横浜中署(横浜駅西口バスターミナル前通り13.3%)と、上昇率は都心部や都区内周辺エリアと比べてもひけを取らない。 キーワードは再開発事業だ。鶴屋町地区には今年2月、リッチモンドホテルが開業した。横浜駅西口では、2020年にJR東日本が26階建てビルを開業予定だ。川崎駅では、東口に2019年にも商業施設「川崎ゼロゲート(仮称)」が開業、将来的にはさらなる再開発計画も検討中だという。 一方で、県内全域が好調という訳ではない。最高路線価の上昇ベストテンのうち8つは横浜市・川崎市が独占した一方で、小田原・横須賀・厚木は横ばいが続く。利便性が悪く、高齢化・人口減が減少するこうしたエリアの活性化策をどうしていくかは、今後の課題だ。(ZUU online 編集部)

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「もしも」に備えたマンション投資法

マンション投資は、投資した本人が亡くなった場合などの「もしも」のときに備えた投資方法として注目を集めています。その理由をご存じですか? この記事では投資した本人やご家族の視点からマンション投資の特徴を解説し、マンション投資において重要な役割を果たす「団体信用生命保険」の仕組みや、マンション投資のメリットやデメリットも説明していきます。 ■「失業・倒産」に備えた本人の収入確保のための備え マンション投資がもしものときに備えた対策と考えることができる理由の一つに、「収入の確保」というものがあります。 開業医の方の場合は企業に所属しているわけではないので、会社から解雇されるというリスクはありません。しかし、本人が何らかの病気などで体を壊すなどし、自身が経営する医院の運営が続けられなくなり、失業するというリスクがまったくないわけではありません。 また診療所や歯科医院などを含む医療機関は、ほかの業種に比べて倒産のリスクは小さいとも言われていますが、帝国データバンクの調べによれば、2017年にはおよそ25の医療機関が倒産しています。近年は診療所や歯科医院の数が増えることにより、業界での競争が激しさを増しているほか、医師やスタッフの人手不足などが経営状況の悪化を招くこともあります。 何らかの理由で本人が本業である医院を続けられなくなった場合、それまで医院の経営によって得ていた報酬は受け取れなくなってしまいます。しかし、既にマンション投資を始めていて不動産収入が得られている場合は、(ローンの支払いが終わっていればその分)その後の生活の足しにすることができます。 マンション投資をする場合の主な不動産収入は賃貸収入です。賃貸料は基本的に月単位で振り込まれるという特徴があります。賃貸収入の額は保有物件数や賃料によって異なるものの、こうした定期的に振り込まれる収入は本業を続けられなくなった後の大きな心の支えにもなるでしょう。 ■「死亡」に備えたご家族の収入確保のための備え あまり想像をしたくはないことではあると思いますが、ご家族がいる開業医が病気や事故で亡くなってしまった場合、家計を支えてきた大黒柱の収入がなくなってしまい、残された家族が路頭に迷うことにもなりかねません。 そんなとき、もし亡くなってしまった方がマンション投資によって不動産を資産として保有していれば、その不動産を遺産としてご家族に引き継ぎ、ご家族の方が安定的な収入を得られる可能性があります。 「失業」と「死亡」には大きな違いがあります。それは、マンション投資によって得た不動産の運営を本人が行うか、ご家族が行うか、という違いです。 マンション運営は医師のような高い専門スキルがなくても、一定の基礎知識やノウハウを得れば、(もちろん知識量などによって成功度合いは変わってきますが)継続しやすいという特徴があります。 つまりマンション投資した本人以外のご家族でも、割とスムーズに運営を引き継ぎやすく、安定収入につながりやすいということです。このことが、マンション投資が万が一の備えとして適している理由です。 しかし、もしマンション投資の際に組んでいた銀行ローンなどが残っているにもかかわらず、マンション投資を始めた本人が亡くなった場合はどうなるのでしょうか。そんなときの備えとなるのが「団体信用生命保険」です。 ■ローンを組む際の団体信用生命保険とは何? 団体信用生命保険とは「団信(だんしん)」とも呼ばれる、住宅ローンに関する保険制度です。 生命保険会社などが提供しており、加入者(債務者)が死亡したり、高度な障害を負ったりした場合に、住宅ローンの残りを保険で全額弁済するという制度です。残債が残らないという側面から、団体信用生命保険は住宅ローンを組んだ本人のご家族の安心のためにも重要な仕組みであると言えます。 団体信用生命保険はマンション投資で住宅ローンを組む場合、多くのケースで加入が義務付けられています。 ■マンション投資のメリットとデメリットの理解を ここまでマンション投資のメリットとも言える側面、つまり「もしも」のときの備えになるということ、また毎月の定収入として賃貸料を得られることなどについて解説してきましたが、マンション投資にはデメリットやリスクがあることも覚えていきましょう。 例えば、マンション運営を継続する中で空室が増えてしまえば、収入は減ることになります。これには人口減少などによる需要の変化も外部要因として影響するものです。また、家賃の滞納も起きるかもしれません。またマンション売却による差益を得ることを考える場合には、不動産自体の価値が下がってしまうこともリスクになります。 こうしたメリットやデメリットを加味しつつ、もしものときの備えとしてマンション投資を検討していくことが重要です。 マンション投資は、投資した本人が亡くなった場合などの「もしも」のときに備えた投資方法として注目を集めています。その理由をご存じでしょうか。 投資した本人やご家族の視点からマンション投資の特徴を解説し、マンション投資において重要な役割を果たす「団体信用生命保険」の仕組みや、マンション投資のメリットやデメリットを考えていきましょう。 ■「失業・倒産」に備えた本人の収入確保のための備え マンション投資がもしものときに備えた対策と考えることができる理由の一つに、「収入の確保」というものがあります。 開業医の場合は企業に所属しているわけではないので、会社から解雇されるというリスクはありません。しかし、本人が何らかの病気などで体を壊すなどし、自身が経営する医院の運営が続けられなくなり、失業するというリスクがまったくないわけではありません。 また診療所や歯科医院などを含む医療機関は、ほかの業種に比べて倒産のリスクは小さいとも言われていますが、帝国データバンクの調べによれば、2017年にはおよそ25の医療機関が倒産しています。近年は診療所や歯科医院の数が増えることにより、業界での競争が激しさを増しているほか、医師やスタッフの人手不足などが経営状況の悪化を招くこともあります。 何らかの理由で本人が本業である医院を続けられなくなった場合、それまで医院の経営によって得ていた報酬は受け取れなくなってしまいます。しかし、既にマンション投資を始めていて不動産収入が得られている場合は、その後の生活の足しにすることができます。 マンション投資をする場合の主な不動産収入は賃貸収入です。賃貸料は基本的に月単位で振り込まれるという特徴があります。賃貸収入の額は保有物件数や賃料によって異なるものの、こうした定期的に振り込まれる収入は本業を続けられなくなった後の大きな心の支えにもなるでしょう。 ■「死亡」に備えたご家族の収入確保のための備え あまり想像をしたくはないことではあると思いますが、ご家族がいる開業医が病気や事故で亡くなってしまった場合、家計を支えてきた大黒柱の収入がなくなってしまい、残された家族が路頭に迷うことにもなりかねません。 そんなとき、もし亡くなってしまった方がマンション投資によって不動産を資産として保有していれば、その不動産を遺産としてご家族に引き継ぎ、ご家族の方が安定的な収入を得られる可能性があります。 「失業」と「死亡」には大きな違いがあります。それは、マンション投資によって得た不動産の運営を本人が行うか、ご家族が行うか、という違いです。 マンション運営は医師のような高い専門スキルがなくても、一定の基礎知識やノウハウを得れば、(もちろん知識量などによって成功度合いは変わってきますが)継続しやすいという特徴があります。 つまりマンション投資した本人以外のご家族でも、割とスムーズに運営を引き継ぎやすく、安定収入につながりやすいということです。このことが、マンション投資が万が一の備えとして適している理由です。 しかし、もしマンション投資の際に組んでいた銀行ローンなどが残っているにもかかわらず、マンション投資を始めた本人が亡くなった場合はどうなるのでしょうか。そんなときの備えとなるのが「団体信用生命保険」です。 ■ローンを組む際の団体信用生命保険とは何? 団体信用生命保険とは「団信(だんしん)」とも呼ばれる、住宅ローンに関する保険制度です。 生命保険会社などが提供しており、加入者(債務者)が死亡したり、高度な障害を負ったりした場合に、住宅ローンの残りを保険で全額弁済するという制度です。残債が残らないという側面から、団体信用生命保険は住宅ローンを組んだ本人のご家族の安心のためにも重要な仕組みであると言えます。 団体信用生命保険はマンション投資で住宅ローンを組む場合、多くのケースで加入が義務付けられています。 ■マンション投資のメリットとデメリットの理解を ここまでマンション投資のメリットとも言える側面、つまり「もしも」のときの備えになるということ、また毎月の定収入として賃貸料を得られることなどについて解説してきましたが、マンション投資にはデメリットやリスクがあることも覚えていきましょう。 例えば、マンション運営を継続する中で空室が増えてしまえば、収入は減ることになります。これには人口減少などによる需要の変化も外部要因として影響するものです。また、家賃の滞納も起きるかもしれません。またマンション売却による差益を得ることを考える場合には、不動産自体の価値が下がってしまうこともリスクになります。 こうしたメリットやデメリットを加味しつつ、もしものときの備えとしてマンション投資を検討していくことが重要です。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト / d.folio) ZUU online

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失敗はプロセス ビリオネア5人の経験

「お金持ちだから絶対に金銭的な失敗はしない」というわけではない。むしろ、過去の大きな過ちから重要なレッスンを学び、それを糧に大成功を収めたお金持ちも多い。 ウォーレン・バフェット氏、ジェフ・ベゾス氏、ビル・ゲイツ氏など、10億ドル以上の投資可能資産を所有するビリオネア5人の「人生最大の失敗」を見てみよう。 ■ウォーレン・バフェット−−バークシャー・ハサウェイの買収 バフェット氏にとって最大の金銭的失敗は「バークシャー・ハサウェイを買収したこと」というから驚きだ。 同氏は2010年、CNBCのテレビ番組「Squawk Box」に出演した際、「バークシャー・ハサウェイではなく優良な保険会社に投資していれば、今の2倍の価値に成長していた」と語った。 1962年、当時綿紡績事業を営んでいた バークシャー・ハサウェイは、第二次世界大戦後の毛織物産業の衰退を受け、破たん寸前だった。バフェット氏は格安株を買って売り戻しを繰り返すという投資戦略から、ちょっとした利益を得る意図で同社の株を買い始めたが、やがて十分な株を取得して企業支配権を持つようになった。 しかし綿紡績会社としてのバークシャー・ハサウェイには、バフェット氏いわく「あまり利益にならない綿紡績関連の資産」がついてきた。この資産が原因で20年という歳月を費やすことになる。 「綿紡績事業への投資を続ける代わりに保険会社を設立していれば、時価総額があと2億ドルは成長していただろう」と、世界中がうらやむほどの大成功を収めた現在も悔やむバフェット氏は、真の野心家である(CNBC2018年10月18日付記事)。 ■ジェフ・ベゾス−−Fire Phoneで1.7億ドルの損失 Amazonの国際的大成功で世界一のお金持ちになったベゾス氏だが、2014年、ニューヨークで開催されたビジネスインサイダーのカンファレンスに出席した際、Amazonで何十億ドルも損失をだしたことを認めている。同社に1.7億ドルの損失をまねいた、3D対応のスマートフォン「Fire Phone」が、その代表例だ。 しかしポジティブ思考なベゾス氏は、「こうした失敗はとるに足らないことで、実際に問題となるのは挑戦し続けない企業だ」 と、チャレンジ精神のない企業がいずれ頭打ちする危険性を警告している(ガーディアン2014年12月3日付記事)。 ■ジョージ・ソロス−−「債券王」への5億ドル 「イングランド銀行をつぶした男」の異名をもつソロス氏にとっての近年の大失敗は、「債券王」ビル・グロース氏への5億ドルの投資だろう。 グロース氏が世界屈指の資産運用会社PIMCOからジャナス・キャピタルに移籍した2014年、ソロス氏は自身のソロス・ファンド・マネジメントを通して5億ドルを運用を任せるが、1年もたたないうちに資金を引き上げた。 ソロス氏は予想を下回るパフォーマンスに懸念を感じ、早い段階にグロース氏に見切りをつけた。利益につながらない投資という点では判断ミスではあったものの、早期引上げの判断は正しかったようだ。グロース氏のパフォーマンス低迷は資金引上げ後も続き、ほかの投資家も総額1億ドル以上を引き上げたそうだ (ビジネスインサイダー2017年12月7日付記事)。 ■ビル・ゲイツ−−1.5億ドルを投じ、最大のライバルAppleを救済 長年にわたり世界一の大富豪の座を維持してきたゲイツ氏だが、1997年、最大のライバルAppleに巨額を投じて救済するという失敗を冒している。 今では信じがたい事実だが、Appleにとって1990年代は試練の時代だった。90年代前半の純利益は、4億7500万ドルから4億2200万ドルに減少。そこでMicrosoftはAppleに1億5000万ドルの投資を行い、同社の株を取得する。 しかしAppleの設立者、故スティーブ・ジョブズ氏はあっという間に株を買い戻したのみならず、その後、スマートフォンを含む多くの領域でMicrosoftを圧倒する復興を遂げた。あの時、ゲイツ氏による投資がなければ、今のAppleはなかったかもしれない(ビジネスインサイダー2014年7月26日付記事 )。 ■リチャード・ブランソン−−人生の6大失敗 コングロマリット、ヴァージン・グループの設立者兼会長を務めるブランソン氏は、ブログ の中で自分の6大失敗談について語っている。 キャリアの出発点となった学生向けのカルチャー雑誌「Student magazine」の売却交渉から、SNS「Virgin Student」、ブライダルサービス「Virgin Brides」、Virgin版コカ・コーラ「Virgin Cola」、オンラインオート事業「Virgin Cars」、アッパー・クラス・キャビン専用「Virgin Atlanticの仰向けに寝られるベッド」まで、実に様々な失敗ぶりだ。 しかしブランソン氏は、「ミスをしない人間は、何もしない人間だけだ」という第26代米国大統領セオドア・ルーズベルト氏の名言を引き合いに、「失敗はプロセスの一環」であることを説いている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター) ZUU online

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26歳率いるeスポーツ企業 40億円調達

2009年創立の世界有数のeスポーツチーム「TSM」の創業者兼CEOのAndy Dinh(26)が、初の外部資金の受け入れをアナウンスした。 TSMの親会社である「Swift」は7月24日、シリーズAラウンドで3700万ドル(約40億円)を調達したことを明らかにした。「Bessemer Venture Partners」のEthan Kurzweilが主導したこのラウンドには、NBAチャンピオンに3度輝いたステフィン・カリー(Stephen Curry)やヤフーの共同創業者でビリオネアのジェリー・ヤンが設立したファンド「AME Cloud Ventures」などが参加した。 Dinhは17歳のときに人気ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」のオンラインガイドを作成し、稼いだ資金を元手にTSMを設立した。彼はリーグ・オブ・レジェンドの招待制トーナメントを開催し、自らもチームを率いて出場した。2013年にリーグ・オブ・レジェンドの開発者が公式リーグを立ち上げると、Dinhはプレイヤーを引退して経営に専念するようになった。 DinhはTSMをトロントで開催された大会で優勝に導き、2017年にはフォーブスの「30アンダー30」(30歳未満の注目すべき人物)のゲーム部門に選出された。TSMは北米で最多となる6度の優勝を飾っている。 「TSM」の創業者兼CEOのAndy Dinh(Photo by Getty Images) 「TSMはeスポーツが置かれた好環境を活かして資金調達をすることにした。我々は素晴らしい投資家たちに恵まれ、TSMが目指すゴールを実現する上で大きな助けとなるだろう」とDinhは述べている。 シリーズAラウンドに参加した他の投資家は以下の通りだ。 ・Telstra:オーストラリアの通信会社 ・Steve Simon:インディアナ・ペイサーズのオーナー ・Andre Iguodala:3度のNBAチャンピオンに輝いた選手 ・Steven Young:プロフットボール殿堂入りを果たした元NFL選手 ・Yifang Ventures:バイドゥ共同創業者のEric Xuが率いるVC ・Colin Carrier:「Twitch」の元最高戦略責任者 ・Walter Wang:「JM Eagle」のCEO TSMは今回調達した資金のうち、1000万ドルをM&Aやゲーム領域への投資に充て、2000万ドルをフランチャイズ権の獲得やロサンゼルスにあるeスポーツ施設の取得に充てるという。 調査会社「Newzoo」によると、eスポーツ業界の売上高は今年9億500万ドル(約1000億円)に達する見込みで、その40%はスポンサー収入だという。各ブランドが期待するのはソーシャルリーチだが、TSMはコミュニティ作りに長けており、同社のSNSフォロワー数はツイッターが180万人、インスタグラムが100万人、ユーチューブが140万人となっている。 今年は大ヒットゲーム「フォートナイト(Fortnite)」に参戦し、ファンのエンゲージメントが倍増したという。スポンサーには自動車保険の「Geico」や「ジレット」、「ドクターペッパー」、「チポトレ」などゲーム業界とは無関係の企業も含まれる。 今回のラウンドを主導したBessemer Venture Partners のEthan Kurzweilによると、同社は1年をかけてeスポーツ業界を精査したという。 「Dinhが最もハイレベルなチーム運営をしていることは明らかだった。彼は多額の資金を調達したライバルの2〜3倍もの成果を外部資本を受け入れずに成し遂げた」とKurzweilは話す。Kurzweilは、「2位には決して満足しない」と話すDinhの競争心あふれる性格にも惚れ込んだという。

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DisneyのFOX買収 株主承認後に不安

(ブルームバーグ): 米メディア・娯楽会社ウォルト・ディズニーが米21世紀フォックスのエンターテインメント資産を713億ドル(約7兆9000億円)で買収する計画が、両社の株主によって27日に承認された。過去最大規模のメディア分野の事業統合が実現に向けて前進するが、中国の独占禁止当局による承認というハードルがなお残る。 ニューヨーク・マンハッタンのホテルで開かれたディズニーの臨時株主総会では、買収額が高過ぎるのではないかとの指摘も出たが、株主の約99%が買収計画に賛成した。フォックスによれば、買収手続きは来年1-6月(上期)の完了を予定。フォックスはその後ニュースチャンネルのFOXニュースやスポーツ番組に経営資源を集中する。ディズニーは「アバター」や「XーMEN」などフォックスの豊富なコンテンツを取り込む。 事業統合計画は米司法省が既に承認しているが、中国を含む他の15の独禁当局の認可がさらに必要。トランプ米大統領は5000億ドル相当の中国製品に制裁関税を課す脅しをちらつかせており、中国当局が今回の承認手続きを報復の手段として用いるのではないかと一部の投資家は懸念している。 ...

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