電通の新入社員で2015年に過労自殺した高橋まつりさん(当時24歳)に違法残業をさせたとして、労働基準法違反(長時間労働)の疑いで書類送検され、不起訴(起訴猶予)処分となっていた元上司の男性について、東京第1検察審査会は27日、不起訴を相当とする議決を公表した。議決は12日付。

議決の要旨を貼り出す裁判所職員=千代田区霞が関で2018年7月27日午後3時36分、石山絵歩撮影 © 毎日新聞 議決の要旨を貼り出す裁判所職員=千代田区霞が関で2018年7月27日午後3時36分、石山絵歩撮影

 議決要旨によると、元上司は部下の1日当たりの残業時間への認識が薄かったうえ、まつりさんの長時間労働も把握していたことから「(検察審内で)責任を問うべきだとの意見もあった」と指摘。まつりさんについて「入社1年目で自殺した無念さや親族の心情は察するにあまりある」としつつ、長時間労働が横行する社内で個人ができる対策は限定的▽元上司のみを罰するのは不公平▽法人としての電通が有罪判決を受けた--などから、不起訴を妥当と結論づけた。

 検察審査会に審査を申し立てていたまつりさんの母幸美さん(55)は議決について「上司は処罰されないというのは残念で納得できない」とのコメントを出した。【服部陽】

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中国人大富豪「日本は世界一の民度」

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戸惑いを隠せぬJAXA、文科省汚職

川端和明容疑者が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の防災事業について贈賄側に便宜を図るなどした疑いが浮上した。ただ、贈賄側の谷口浩司(こうじ)容疑者は当時、医療コンサルタント会社の役員。JAXA関係者は「医療(コンサル会社)と言われても正直、ピンとこない」と首をかしげる。 「(川端容疑者の)対外的な仕事は契約と広報くらいしかない」。JAXAの庄司義和広報部長は今回の事件に戸惑いを隠せない。 JAXAの防災事業は人工衛星による通信環境支援がある。平成23年の東日本大震災では壊滅した通信網に代わり、可動式パラボラアンテナを現地で稼働し、ネット衛星を介して通信を復旧させている。 JAXAによると、谷口容疑者の医療コンサル会社の受注は確認されていないという。ただ、医療コンサル会社が当時、経営について助言していた電波受信設備などを業務とする電気通信工事会社の存在が浮上している。 一方、JAXAは28年11月、東京医科大(東京都新宿区)で開かれた創立100周年記念講演会に宇宙飛行士を派遣。同大幹部と親密な関係にある谷口容疑者からの依頼で開催直前に派遣が決まったとされる。 ...

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