“負のイメージ”なし 夏のトレード活性化に選手の心境変化
夏の「人事異動」が活発化している。
26日にはロッテの藤岡貴裕(29)と日本ハムの岡大海(27)、ソフトバンクの飯田優也(27)と阪神の松田遼馬(24)がトレード。今季開幕後から6つ目、そのうち5つが今月中に成立している。
補強期限間際の「駆け込み」は、この時期の風物詩。とはいえ、過去10年間で2010年の「11」に次ぐ多さ。11年の「6」に並んだ(いずれもオフ期間を除く開幕から7月末までのトレード数)。
日本のトレードは「放出」「戦力外」「余剰人員」というマイナスイメージが強く、アレルギーを示す選手も少なくない。特に、巨人や阪神などの人気球団の場合、そのブランドにしがみつく選手もいた。
巨人の定岡正二は「『巨人の定岡』で終わりたい」と“最終学歴”に固執。近鉄へのトレードを拒否して29歳で現役引退した。
■ロッテ井口監督もプラス思考
今月、窃盗で捕まった元巨人・柿沢貴裕(23)のように、古巣の楽天が問題児を放出する場合もまれにはあるが、最近はトレードに前向きな選手も増加。多くが出場機会を渇望してのものだ。例えば、ヤクルトの坂口智隆(34)は36試合の出場にとどまった15年オフ、出場機会を求めて自由契約を申し入れた。
「伊藤光(29)はDeNAへのトレードが決まるや、親しい知人に『よっしゃああー!』と喜びを爆発させたメールを送っていたそうです。オリックスでは捕手ではなく三塁手にコンバートされた揚げ句、内野手としても出場機会が減ると捕手に戻されたり、散々でしたから」(球界関係者)
3度の移籍を経験した楽天の渡辺直人(37)は、10年オフに楽天から横浜(現DeNA)へトレードされた当時は「一度(トレード)されると、いろんなところに行きそうで嫌だなぁ」とポツリ。その予想は当たり、移籍から3年後、西武へトレード。その5年後に西武を自由契約となり、古巣に復帰したときは「7年でいろいろ経験した。昔とは違う、一回り大きくなった自分がいる」と“転勤”を人生の糧とした。ちなみにロッテの井口監督も「トレードは僕もアメリカで経験しましたけど、相手が欲しいと言って成立すること」とプラス思考だ。
リミットまであと4日、トレード志願者たちが正座して待っている。