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暴力団破門状事件の深層
京都府警が過去を隠蔽した男

成田俊一|2018年7月24日5:08PM

「義理を忘れた男」

本成氏とは破門状の筆頭に書かれていた元淡海一家の幹部組員。正確には、(若中)吉田芳明こと本成泰章氏のことだ。

本成氏は、2011年頃まで淡海一家の舎弟だったと証言する元組員がいる。淡海一家が発足した02

本成泰章氏(右)の誕生日にかけつけた山田啓二京都府知事(当時)。(提供/筆者)

年に、高山誠賢総長の盃を本成氏とともに受けた岩見和重氏(54歳)だ。

岩見氏は

「本成とは五分の兄弟盃を交わしていますし、れっきとした淡海一家の組員でしたよ。平成22年か23年ごろまでは間違いなく淡海一家の看板で仕事をしていました。

そもそも本成は、(会津小鉄会四代目会長)高山登久太郎会長(高山誠賢総長の父)の築いた利権や人脈を独り占めしてきた人物だが、知らず知らずのうちに京都府警や役所と裏で繫がっていった。いまではいっぱしのフィクサー気取りで有名ですよ」

とその素顔を証言する。

本成氏と岩見氏の兄弟盃は京都市内の料亭で行なわれている。

媒酌人をつとめた細川龍司氏(56歳)も立合人の一人として出席した岩本修氏(49歳)も

「吉田(本成)と岩見は五分の兄弟盃を交わしています」

と証言する。

こうした証言が出てくるようでは、府警の「在籍の事実がない」などという説明も怪しくなる。
取材を進めていくと、本成氏は京都を中心に東京でも警備業、不動産業、人材派遣業などの事業を展開する一方でホテル業にも参画しているという。元暴力団組員が堅気になり事業を興すこともあるだろうが、本成氏の場合は異例だ。驚くべきことに、たとえば現在建設中の京都府警本部新築工事の現場の警備業務を、本成氏が経営する警備会社が受注していた。その上、なんとこの警備会社には府警の幹部警察官が天下りして副社長の要職にも就いていたのである。

暴力団対策法や暴力団排除条例の観点から言えば、昨年、破門状に名前が載った元暴力団組員、それも幹部組員が経営する企業が公共工事、しかも京都府警本部の新築工事の一角に参入しているという実態に問題はないのか。

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