和田政宗(参院議員)

 記録的な猛暑が続くこの夏。気象庁の予報官も「命に危険を及ぼすレベル」「災害と認識」と述べるほどである。

 こうした猛暑の中、朝日新聞社と日本高野連主催の全国高校野球選手権大会の地方大会が開かれており、地方大会を勝ち抜いた全国の代表校により8月5日から17日間の日程で甲子園において全国選手権大会が開催される。

 「夏の高校野球」「夏の甲子園」は、季節の風物詩となっており、楽しみにしているファンも多いが、忘れてはならないのは夏の高校野球が「選手ファースト」となっているかという視点である。

 猛暑の中での試合は果たして選手の健康管理の面でどうなのか、また、日程面でも準々決勝、準決勝、決勝と勝ち抜くと、4日間で3試合を行うことになり、選手を猛暑の中で体力的に極限状態に追い込んではいないだろうか。

 朝日新聞は7月14日に編集委員の中小路徹氏が「運動部のみんな、熱中症『無理』『もうダメだ』の勇気を」と記事を書いておきながら、今も猛暑の中で大会を強行している。

 この記事に批判が集まると、「地方大会の熱中症対策呼びかけ 朝日新聞社と日本高野連」との記事を7月19日に掲載し、地方大会を開催している各都道府県の高野連に対し「熱中症への注意を」と題した文書を配布したと伝えている。

 その文書には、全国選手権大会での取り組みとして、「1日あたり14~18人の理学療法士が対応にあたっています。背番号入りのカップにスポーツドリンクと氷囊(ひょうのう)を用意。体温計や血圧計の備えもしています」と記されているが、果たしてこういうものが用意される中での大会が適切なのかという議論には、朝日新聞は全く立ち入らない。
2018年7月、西東京大会3回戦、二回の守備を終えて、仲間から氷のうを当てられる明治の能登(山田俊介撮影)
2018年7月、西東京大会3回戦、二回の守備を終えて、仲間から氷のうを当てられる明治の能登(山田俊介撮影)
 私は過去、NHKのアナウンサーとして、地方大会や甲子園での実況を行ってきたが、暑さでフラフラになり、うずくまってしまったり打球が追えなくなったりした選手を何人も見てきた。朝日新聞は猛暑の中で大会を行うことで、選手がもし熱中症で倒れてしまい命の危険にさらされたらどうするか、という視点を持っているのだろうか。