ホームレスの人がそこから抜け出したいなら、まずは区市町村役所へ行くのが良いだろう。こうした人をサポートしてくれる福祉事務所などは区市町村役所に構えていることが多いからだ。ここではホームレスになりそうな人への支援も行われている。
しかし、こうした施設は市役所の営業日と同じ時間帯しか開いていないのが普通だ。土日、祝日には対応してくれない。特に地方では、平日昼間のうちから動かないと、野宿も避けられないだろう。また、こうした行政機関では、多くの人が期待したレベルの支援を受けられるわけではない。基本的には、自分でなんとかしなければならないという結論に至るはずだ。
この記事では
▶ お金がない状態でもホームレス生活を避けることが出来た具体的なケース
▶ ホームレスから抜けるために受けれる「支援」
から
▶ ホームレスになる前になすべきこと
まで詳しく述べていきたいと思う。
お金がない状態でもホームレス生活を避けることが出来た具体的なケース
以前、はてなブログ仲間のYoshiki氏が、三連休はホームレスになりますという記事を上げていた。
Yoshiki氏は当時ネットカフェに泊まりながら派遣の仕事をしているいわゆる「ネットカフェ難民」だった。3連休を前に、給与の受け取り手続きでミスしたため、現金が無くなり、滞在していたネットカフェから出なければならなくなったのである。
Yoshiki氏がホームレスになりかけたのはまだ肌寒い3月のことである。夏場はともかく、冬場の野宿はかなり厳しいので、お金のないホームレスは命取りになりかねない。
Yoshiki氏は野宿を避けるため、様々な場所へ連絡を取ったり、ネットで情報を調べる。結果としては、ホームレスにならずに済んだ。相談会というものを発見し、緊急一時宿泊施設に泊めてもらえたのである。
Yoshiki氏がネットカフェを出てから緊急一時宿泊施設に泊まるまでの流れは下記のようになる。
1.区の社会福祉事務所や社会福祉保健局へ行ってみるも、土曜日で閉まっている
2.支援団体をスマホで検索、24時間電話受付をしている「もやい」に連絡を取るも、電話が繋がらない
3.「新宿ごはんプラス」というサイトを見つけ、炊き出しと相談会がセットが行われている都庁前駅まで移動する
4.炊き出しは終了していたが、相談会は行われており、ネットカフェ難民ということを伝えると緊急一時宿泊施設を提供してもらった
注意点として、相談会は全国各地及び毎日行われているわけではないという点があげられる。誰にでもおすすめ出来る対策というわけではないのだ。従って、いざという時のために、近場でどのような支援を受けることができるか、事前に頭へ入れておいた方が良いだろう。
ちなみに、Yoshiki氏は緊急一時宿泊施設(個室シェルター)を出た後、都内でマンションを借り、ホームレスはもちろん、ネットカフェ難民からも抜け出せている。
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ホームレスから抜けるために受けれる「支援」
まず、お金の無い状態なら、何かしらの「支援」を受けなければならない。この支援は友人、家族などの知り合いから、公的なものまで広い意味での支援である。多くの人は友人に相談することから始めるだろう。
こうした支援をしてくれる知り合いがいない場合、公的な機関に頼むのが一番現実的だ。一番身近なのは区市町村役所だろう。区市町村役所の福祉事務所では応急援護と呼ばれるサービスが行われ、直接的に食料や衣料・日用品、交通費などの提供をしてくれるところもある。
東京23区内の福祉事務所応急援護(路上脱出ガイド東京23区編(2015年8月改訂5版)より)。
もちろん、こうしたサービスが全く行われていない区市町村役所もある。また、タイミングに物や人が足りていないケースもあるかもしれない。そうした場合でも、相談だったり、相談先の紹介はしてもらえる。
いずれにせよ、ピンチになったらまず区市町村役所へ行くということを頭に入れておけば良いだろう。平日の営業日なら何かしらの解決策を提示してもらえるはずだ。
行政によるサービスは様々であり、都道府県によっても対応は異なっている。こうした地域ごとの対策ガイドとしては認定NPO法人自立生活センター・もやい協力のもとで作られたビッグイシューの「路上脱出ガイド」が便利かと思う。ホームレスになるにしても状況は様々であり、こうした広い範囲の人に向けた相談窓口や支援先が紹介されている。
路上脱出ガイドは東京23区、大阪、名古屋、福岡、札幌、熊本、京都がある。それぞれ下記のサイトからダウンロードすることが出来る。
各版で状況に応じた相談先も記載されている。それぞれ女性専門の相談先もある。ただし、情報としては少々古いものもある。電話など繋がらない場合、近場の区市町村役所等でも確認して欲しい。
東京都の支援制度
東京都ではホームレスになるもしくはなりそうな人に様々な支援を行っている。
①仕事を探している人向け
・施設に入って仕事を探す ⇒ 自立支援システム
・住み込みの仕事を探す ⇒ ハローワーク
②毎月一定の収入があるがネットカフェなどで半年以上生活している ⇒ TOKYOチャレンジネット
③派遣切りにあい、急にクビになった。離職後2年以内で住宅支援を受けて仕事を探す ⇒ 生活困窮者自立支援制度相談窓口(住居確保給付金)
④とにかく相談してみたい ⇒ 生活困窮者自立支援制度相談窓口
⑤とにかく生活を立て直したい ⇒ 生活保護の申請
今のところ住居が確保出来ているのであれば、自立支援の利用を検討しても良いだろう。
生活困窮者自立支援制度には、
・就労に必要な訓練、日常生活自立段階から有期で実施する「就労準備支援事業」
・住居のない人に、一定期間宿泊場所や衣食の提供等を行う「一時生活支援事業」
・家計に関する相談、家計管理に関する指導、貸付のあっせん等を行う「家計相談支援事業」
・「子供の学習支援事業」
などがある。
TOKYOチャレンジネットでは家を借りるのが難しい人向けに住宅確保のサポートをしてもらえる。緊急連絡先、保証人がいない人や資金のお面で難しい人のための制度である。アパートなどに寝泊まりした方が、ネットカフェに住むよりも安く、加えてゆっくり休むことができるだろう。
上で紹介した元ネットカフェ難民のYoshiki氏もネットカフェでの生活については高くつくと記事にしている。
ネットルームの料金が大体1日2400円だったので、1ヶ月滞在したとなると"約74000円"になります。 滞在費、食費、シャワー費、洗濯費、交通費、その他・雑費を合計してみたところおよそ"140200円"ほどかかることが分かりました。
ビッグイシュー販売の仕事
この路上脱出ガイドを発行しているビッグイシューでは雑誌販売の仕事も紹介されている。ホームレス状態の人なら身分証、履歴書無しに販売登録だけで雑誌販売の仕事が出来る。
ビッグイシュー販売はホームレスだけが出来る仕事である。駅前で雑誌を掲げているのを見たことがある人もいるだろう。ビッグイシュー販売はホームレスが「今すぐ仕事をしたい」場合の仕事として紹介されている。
ビッグイシューの仕事は
1.1冊定価350円。最初の10冊は無料で提供され、売上3500円がそのまま手に入る。
2.1冊170円で仕入れて、350円で販売する。180円が収入になる。
3.販売場所にもよるが、1日平均15札売ることが出来る。
4.10冊売ることが出来れば1800円の収入になる。
5.ノルマや年齢制限はない
時給換算でも悪くない日はあるだろう。すぐに仕事を始めたいという人は、この仕事からスタートしても良いだろう。
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ホームレスになる前になすべきこと
無職になり、結果として家を失う、借りられないというリスクは誰もが抱えている。特に、日本では家を借りるだけでも審査が必要であり、安定した職に就いていない人が家を借りるのは難しくなっている。
お金があれば、家を借りることが出来ないにしても、ホームレスを避けることが出来るだろう。ホームレス支援の多くもお金のある人なら特に受ける必要がないものばかりである。しかし、最近流行りの「ファッションホームレス」ではなく、本当の意味でホームレス生活をしている人の多くはお金もない。従って、ここから抜け出すには第三者からの支援を受けるしか無い。
この記事では支援をしてくれる第三者として区市町村役所を紹介した。しかし、こうした行政機関では、多くの人が期待したレベルの支援を受けられるわけではない。基本的には、自分でなんとかしなければならないという結論に至るはずだ。実際に受けるとなれば、行政からもそうした姿勢を感じるだろう。予算の都合上、やむを得ない部分もあるのでこの点は批判できない。
行政機関から満足のいく支援を受けられない場合、
1.身内や友人から支援を受ける
2.自分でなんとかする
の2択となる。
ホームレスになる前、もっと言えば、余裕のあるうちになすべきことは、この2ケースでの「基礎」作りだろう。
身内や友人から支援を受ける
ホームレスになりそうな時、身内や友人からの支援を受けたいなら、ホームレスになる前にきちんとした関係を構築しておく必要がある。もちろん、家庭にはそれぞれの事情があるため、親族に頼れないという人もいるだろう。その場合、余裕のあるうちから、友人との間でセーフティーネットを構築しておくことをおすすめする。
今の時代、生活支出の多くの部分でシェアが可能になっている。住まいや乗り物のシェアはもちろん、インターネット(WiFi)もシェアで十分という人は多いだろう。
こうした直接的なシェアで負担を減らすのではなくとも、いざという時のために、頼り頼られるという関係の構築は大事だ。もちろん、与える一方の関係にもなりうるので、この関係は複雑ではある。ただ、お金に困っていない時から「時間を作ってくれる」「相談できる」相手というのはリアルでもネットの世界でも作っておいた方が良いのは間違いない。
自分でなんとかする
自分でなんとかする場合、ホームレス前に行うべきはコストの徹底である。これは人それぞれが持っている可能性を最適化するのに必要な手段である。こちらも余裕のあるうちに行っておくべきだろう。
個人に合ったコストの徹底を身につけておけば、少ない労力で、十分な見返りを得ることも出来るようになる。ホームレスに陥らない予防にもなるので、金銭的にも、労力的にもムダが多いと感じている人ほど、意識してコストの徹底を行うべきだ。
コストの徹底を含む、ワーキングプアから自力で抜け出す方法については下記記事を参考に。
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