北朝鮮、米兵遺骨を返還 朝鮮戦争の休戦から65年
北朝鮮は27日、1950~53年にかけて戦われた朝鮮戦争で死亡した米兵のものとされる遺骨を返還した。何十年にもわたり遺骨の返還を求めてきた遺族が希望を新たにする動きとなった。
韓国ソウル郊外の烏山にある在韓米軍基地に到着した遺骨は、基地の米兵たちに迎えられた。
遺族は遺骨の返還を長年にわたって求めてきた。
遺骨の返還は、6月12日にシンガポールでドナルド・トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が首脳会談を行った際に合意していた。
首脳会談では、「朝鮮半島の完全な非核化」に取り組むことで合意したが、北朝鮮がいつ、どのようにして核兵器を放棄するのかについて具体的な詳細に欠けるとして批判されている。
しかし、米兵の遺骨返還は首脳会談の共同声明に盛り込まれた4項目の一つで、27日は、1953年に朝鮮戦争の休戦協定が結ばれてからちょうど65年目にあたる日でもある。
今回返還された遺骨は55体あるとされるが、米兵のものだと確認するには、鑑識による調査が必要になるとみられ、手続きは何年もかかる可能性がある。
トランプ大統領はツイッターで、「米国兵士の遺骨がもうすぐ北朝鮮を離れ、米国に向かう! 何年も待っていた多くの遺族にとって素晴らしい瞬間だ。金正恩氏に感謝する」とコメントした。
返還への反応
米国政府は「北朝鮮の措置と前向きな変化の勢いに勇気付けられた」としている。
また、今回の遺骨返還は「北朝鮮からの遺骨返還と、いまだ戻って来ていない推定5300人の米国人の捜索を北朝鮮で再開する偉大な第一歩だ」と述べた。
遺骨返還は、数十年にわたって事態の進展を待っていた親族にも歓迎されるだろう。
しかし、2007年に6人の遺骨返還を約束させた元国連大使のビル・リチャードソン氏は懐疑的だ。
リチャードソン氏はワシントン・ポストに対し、「北朝鮮は一定数の遺骨はすぐに無償で手渡すだろう。しかしその後は『次の遺骨は捜索し、場所を特定し、復元しなければらない』と言って金銭を要求し始めるだろう」
北朝鮮はすでに200人分の遺骨を回収しているとされる。
北朝鮮の意図
6月の米朝首脳会談で、両首脳は関係改善に具体的に取り組む意思を表明した。しかし専門家らは、北朝鮮がどれほど「非核化」に真剣に取り組むかは疑問だとしている。
北朝鮮は先週、主要なミサイル発射施設の解体を開始したように見えたが、秘密裏に武器開発を続けているとの報告もある。その一方で、北朝鮮は米国の「ギャングのような」戦術を使っていると批判している。
また、米朝両国が「完全な非核化」で何を意味しているのかは不透明な部分が多く、具体的な時期についても詳細は明らかにされていない。
しかしながら、今回の遺骨返還は、遺族と米政府の長年の努力を受けて、北朝鮮が友好の証として見せた具体的な行動だといえる。
(英語記事 Korea remains: Pyongyang returns US troops slain in Korean War)