敏感の彼方に

HSPエンジニアがお送りする、前のめりブローグ

デジタルや人工知能で「デバイドする側」か「される側」か、という問題

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ひと昔前、「デジタルデバイド(Digital Divide)」という言葉が流行しました。「情報格差」「IT利用をめぐる格差」などと訳されます。

 

インターネットを中心とする情報通信技術(IT、ICT)の恩恵を受けられる人と受けられない人との間に生じる格差のことで、得られる情報や利用できるサービスの格差、それに伴う収入の格差などが挙げられます。

 

スマートフォンが今ほど普及していなかったり、インターネットへの接続が今ほど手軽ではなかった時代、得られる情報に差があると、それが収入格差につながることが懸念されました。

 

そして、収入に差があると、購入できる情報機器に格差が生じて、得られる情報の差がさらに大きくなる、という悪循環も懸念されました。

 

そんな「デジタルデバイド」が、少し姿を変えつつあります。

 

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 新しいデジタルデバイド

世界的にネット中毒、スマホ中毒が進んでいる現在ですが、そうではない「良き」子ども時代を過ごした世代は、自分の子どもたちのスクリーンタイム(Screen Time)を短くすることに躍起です。

※ スクリーンタイムとは、画面の前にいる時間(つまり、パソコン、スマホ、TV、ゲームなどに掛ける時間)のことです。

 

その1つの手段として、放課後や週末に習い事を目いっぱい詰め込んで、スクリーンタイムが必然的に短くなるようにしている家庭もあります(子どもの自由を奪って親の管理を強めることが良いのか悪いのかは、また別の問題です)。

 

このような手段をとるのは、スクリーンタイムの悪影響に対してある程度意識の高い家庭が中心となりますし、当然、お金もかかります。

 

ここに、新しいデジタルデバイドの流れがあります。

 

つまり、お金持ちや意識の高い家庭では、(主に)お金の力で子どもたちを「デジタル漬け(スマホ漬けなど)」から救ってあげられる一方、そうでない家庭では、ヒマな子どものスクリーンタイムが長くなり、中毒症状が進んでしまう可能性があります。

 

これが悪循環して、新しいデジタルデバイドが生じてしまいます。

 

 

デジタル離れ

従来のデジタルデバイドは、「デジタルを取り入れた方が優位に立つ」という考えに基づくものです。つまり、デジタルに向かっていく方向です。

 

一方、新たなデジタルデバイドは、「デジタルから距離を置いた方が優位に立つ」という考えに基づくものであり、「デジタル離れ」という言葉で表すこともできます。

 

人工知能デバイド(AI デバイド)

以上のように、新しいデジタルデバイドが生じつつある中、人工知能(AI:Artificial Intelligence)が過去3度目のブームを迎えています(もはや、ブームではなく、インフラとして定着しつつあります)。

 

デバイスやアルゴリズムの進歩にビッグデータが合わさり、自動運転や自動翻訳をはじめとして、人工知能を応用した新しい機器やサービスは今後も続々と登場するでしょう。

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そして、デジタルデバイドと同じように考えるなら、当初は、人工知能の恩恵を受けられる人と受けられない人との間で、得られる情報や利用できるサービス、それに伴う収入の格差が生じます(すでに兆候があります)。

 

これが、「人工知能デバイド(Artificial Intelligence Divide)」、略して「 AI デバイド(AI Divide)」です。

 

その次の人工知能デバイド(AI デバイド)

人工知能を応用した機器やサービスは、人間の生活を便利にするものであり、歓迎されることが多いですが、その反面、格差の要因になるとも考えられます。

 

たとえば、以下の過去記事にも書いたように、人工知能というプラットフォーム上で「躍らせる側」か「踊らされる側」か、どちらに立つかで人生が大きく変わってくるはずです(躍らせるのが罪なわけでもないですし、楽しく踊ることが悪いわけでもないですが)。

www.overthesensitivity.com

 

そうすると、デジタルデバイドの場合と同様に、お金持ちや意識の高い家庭では、(主に)お金の力で子どもたちを「人工知能漬け(AI 漬け)」から救ってあげられる一方、そうでない家庭では、「人工知能中毒(AI 中毒)」が進んでしまう心配があります。

 

人工知能離れ(AI 離れ)

最初の人工知能デバイド(AI デバイド)は、「人工知能を取り入れた方が優位に立つ」という考えに基づくものです。つまり、人工知能に向かっていく方向です。

 

一方、その次の人工知能デバイド(AI デバイド)は、「人工知能から距離を置いた方が優位に立つ」という考えに基づくものであり、「人工知能離れ(AI 離れ)」という言葉で表すこともできます。

 

時間や考える力を奪うかどうかがポイント

イノベーションは、主に「便利」や「娯楽」の追求によって起こります。

 

たとえば、白物家電と言われる洗濯機や冷蔵庫などのイノベーションは、人間の生活に便利をもたらし、人間を家事から解放し、人間に時間を与えてくれました(今は、「黒物家電」も流行ってるみたいですけどね・・・何にしろブラックな時代です)。

 

そして、時代の流れとともに、このような必需品が飽和すると、イノベーションの軸足は、「便利」から「娯楽」へと移っていきました。

 

娯楽も当然、人間の生活に必要であり、生活を豊かにするものではありますが、接し方1つで、人間から時間や考える力を奪ってしまう危険性を孕んでいます。

 

デジタルや人工知能はいずれも、「テクノロジ」の結晶です。

 

最初は「テクノロジを取り込んだ方が優位に立つ」という考え方が一般的かもしれませんが、そのうち「テクノロジ中毒(テクノロジ漬け)」が進み、接し方次第でテクノロジは「格差生産マシン 」になってしまいます。

 

このような「テクノロジデバイド」の犠牲にならないように、テクノロジから適度に距離を置く新たな「テクノロジ離れ」という発想が重要になってくるでしょう。

 

特に、子どもや若者の場合は、新しい機器やサービスによって、「大切な時間を奪われていないか」「考える力を奪われていないか」といったことを常に気にしてあげて、損はないと思います。

 

さいごに

デジタルや人工知能にどっぷり漬かっても、最終的にはそれらのテクノロジを手懐けて「デバイドする側(格差上位)」になれれば良いのかもしれませんが、そうなれる確率は、あまり高くないでしょう。

 

「デバイドされる側(格差下位)」になるのがイヤならば、日ごろからテクノロジと適度な距離感を保ったり、子どもをテクノロジから適度に引き離してあげるしかないんじゃないでしょうかね。たぶん、それが前提で良いと思う。

 

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