タケオオツクツクという外来種のセミを探してみた。
生物に詳しい友人から、私が住む埼玉に外来種のセミがいるという話を聞いた。なんでも川口市などの竹林に生息しているらしい。
それは気になるじゃないかと現場へ行ってみると、成虫は聞いたことのない機械的な鳴き声で、幼虫は見たことのない胴長のフォルムで、羽化の姿はとても美しく、そして食べたら美味しいセミだった。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
前の記事:「七面鳥で作る水ターキー、ケンターキー、シーチメン他 (デジタルリマスター版)」 人気記事:「一番安い寝台車のシート、ノビノビ座席で寝てきた」 > 個人サイト 私的標本 趣味の製麺 タケオオツクツクを探しにいこう友人に教えてもらった埼玉新聞のサイトに掲載されていた情報(こちら)によると、そのセミの名は学名がプラティロミア・ピエリで、竹林に住む大型のセミでツクツクボウシの近縁なので、調査チームによって『タケオオツクツク』という名前が提案されているそうだ。「タケオーツクツク」と鳴く訳ではない。
中国大陸東部からベトナムに至る地域に分布しているセミが、なぜか埼玉の川口市北部や隣接するさいたま市南部に生息しているのだ。これは気になる。 この報道だけだと細かい場所まではわからないが、とりあえず行けばどうにかなるだろうということで、7月中旬の昼間に川口市内で竹林を探してみることにした。竹林があればセミもいるはず。 虫捕り網を持って竹林へとやってきた。
だいたいこの辺かなと適当に走り回ってみつけた竹林を前にして、セミの鳴き声に耳を傾けてみる。
もし聞き慣れない鳴き声がしたら、それがきっとタケオオツクツクの可能性が高い。 これは違うかな。セミに詳しいわけではないので、鳴いているセミがなにゼミなのかはわからないが、特に聞き慣れないという感じではない。埼玉でよく聞くセミの声だと思う。
ならば目視で探してみるかと、竹藪の周りをウロウロしてみる。この竹藪は私有地っぽいので、中には入らず道路脇から観察する。もしセミがいたとして、私が見てそれがタケオオツクツクだとわかるのかという疑問もあるのだが。 セミを入れるために100均で適当に買った洗濯ネットがブラジャー用だった恥ずかしさ。
今年の夏はとにかく暑い。そして竹藪の回りは蚊がすごい。なんでセミを探しているんだ俺。なかなか厳しいミッションなのかもという気がしてきた。
地元の方にヒントをもらったいればきっと見つかるはずと思いつつも、鳴いていないセミを探すというのは無理なんじゃないかという気もする。
うーん、竹林の場所が間違っているのか、探し方が悪いのか、時間帯の問題なのか、どうも手がかりが見つからない。やっぱりそんな簡単には見つからないか。 セミの抜け殻がいくつかあったけど、これがなにゼミかまるでわからない。
こういうとき、ゲームの世界だと町の人に話を聞くと重要なヒントをもらえるのだが、生物探しでも同じことが起きがち。そこで掃除をしていたおじさんに話を聞いてみると、うまいこと知りたかったことを教えてもらえた。
・この辺ではタケゼミと呼ばれている。この辺は造園業者が多いから、海外から輸入した竹材の中に卵が混ざっていたのでは。 ・3、4年前からうるさいセミがいるなと話題になっていたが、去年爆発的に増えた。この辺の竹林にもいるけど、私有地や保護区だから入っちゃダメだよ。 ・生きているのは見たことがない。死んでいるのが去年落ちていたけど、なんだか黒っぽいセミだった。 ・夕方になると鳴き出して、夜になると止む。うるさいのなんの。本当にうるさいんだよ。 ・時期はニイニイゼミ、アブラゼミが先で、タケゼミはこれからが本番。 「外来種のセミを探してまして~」なんてややこしい話は通じないかと思いきや、スラスラと答えていただいて驚いた。この辺の人にとっては、もはや日常に入り込んだセミなのかもしれない。
やはりタケオオツクツクはこの辺りにもいるようだ。ただ鳴くのは夕方限定のようなので、この時間に探しても無理なのだろう。本日はこれにてセミリタイヤ。
これはニイニイゼミかな。
輸入した竹箒についた卵から外国のカマキリ(ムネアカハラビロカマキリ)がやってきて在来種を駆逐しているという事例があるけれど、造園や加工に使う竹材にセミの卵が入っていた可能性もあるのか。
本当の入国ルートはわからないけれど、新聞記事によるとこのセミの卵は一年後に孵化するそうなので、なるほど考えられる説である。
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