東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 7月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「改憲阻止」理由、後援撤回 川崎市教委 有識者のフォーラム

 川崎市教育委員会が、学識経験者らでつくる全国組織「教育科学研究会」が同市で開催予定の年次大会に、一度出した事業後援を取り消したことが二十七日、市教委への取材で分かった。複数開かれるフォーラムの一つで憲法改正「阻止」とうたっていることが、市教委の後援基準を満たさないと判断したという。担当者は「一方的な立場から議論が行われ、政治的中立性が損なわれるおそれがある」と説明している。

 同研究会ホームページによると、大会は八月十~十二日、同市中原区の法政第二中学・高校で開かれる。十日に予定される五つのフォーラムのうち一つは、テーマを「憲法『改正』と私たちの教育」として、討論の柱に「憲法9条『改正』阻止、平和と人権を進める」などと記している。

 市教委指導課によると、事業を後援する基準を定めた「事務取扱要領」は、「市の政治的中立性を損なうと判断されるもの」を後援しないと定めている。同研究会から同課に五月十七日付で後援申請が出され、同課は六月十一日付で承諾する通知を返送した。この時点で、フォーラムのテーマは把握していたものの、討論内容までは詳しく知らされていなかったという。

 同課は七月二十日ごろに外部から指摘を受け、二十六日に同研究会から大会内容を詳しく聞き取るなどした結果、同要領に抵触すると判断して二十七日に後援を取り消した。同日、同研究会に口頭で伝え、文書を発送した。

 同研究会によると、年次大会は、昨年は滋賀県近江八幡市で、一昨年は東京都板橋区で開き、それぞれ地元教委の後援を受けた。 (大平樹)

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】