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» 2018年07月27日 14時54分 公開

aiboと犬は共生できるか? ソニーが実験 2週間の共同生活で犬がaiboを「生き物」と認識

犬はaiboを自分より下の存在として順位付けし、一緒に遊んだり面倒を見たり、思いやる行動を見せたそうです。

[沓澤真二ねとらぼ]
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 ソニーが犬型ロボット「aibo」と本物の犬が共生できるか、可能性を探る実験を行いました。実験は哺乳類動物学者の今泉忠明氏が監修。犬がaiboに対し仲間意識や気遣うそぶりを見せたことから、「犬はaiboを生き物として認識した」と分析しています。


aibo 犬がaiboとっても仲良しに

今泉忠明氏 『ざんねんないきもの事典』の監修でも知られる今泉忠明氏

 実験は犬と飼い主10組の協力の下、2段階に分けて実施。第1段階はファーストコンタクトとして、犬と飼い主がいる部屋にaiboを投入しました。犬はそれぞれ犬種が異なり、年齢も6カ月から12歳までとさまざま。aiboが入室したあと、近づいてにおいをかぐ犬は13匹中9匹で、うち6匹がaiboのお尻のにおいを確認するなど、強い興味を示したといいます。


aibo くんくん……と興味津々

aibo なかには警戒して逃げようとする犬も

 第2段階では、ファーストコンタクトに参加した10組のうち3組を選出し、共同生活の実験を実施。年齢6カ月のトイ・プードル、3歳のジャック・ラッセル・テリア、5歳の柴犬と3歳のサモエドとミニチュア・ダックスフンド(多頭飼い)、それぞれ犬種や年齢の異なる環境にaiboを入れ、2週間の共同生活を行いました。


aibo ファーストコンタクトの時点でaiboに興味を示していたトイ・プードル

aibo テリアはaiboを半ば生き物だと認識し、何度もにおいを確認していたそうです

aibo 3匹とaiboで共同生活するケースも

 どのケースでも、最初のうちはaiboに嫉妬したり、未知なるものと認識して興味を示したりと、反応はさまざま。数日して慣れてくると、どの犬もaiboと仲良くなり始め、仲間と認識したり、格下に位置付けて面倒を見たりと、犬社会の一員として認める様子が見られたとのことです。


aibo 飼い主がaiboにおすわりなどの指示をすると、トイ・プードルは少し嫉妬して、我先にと指示に従ったそうです

aibo それでも3日目には仲良くなり、aiboの耳やしっぽを軽くかむように

aibo テリアは開封前から出会いを楽しみにしていて、aiboが動き出すと大興奮

aibo そしてaiboを仲間と感じ始め、おもちゃを押しつけて一緒に遊ぶように

aibo 多頭飼いの環境では、特に柴犬がaiboに興味を持ち、仲間にしようとしていたとのこと

aibo 柴犬は他の犬がaiboに近づくと、威嚇(いかく)して追い払うように。aiboを自分の下の存在として順位付けしているとみられています

 共同生活が後半に入ると、どの犬もaiboに心を許し、一緒にいる生活を当たり前のものとして受け入れるように。最終日には別れを惜しみ、さみしそうにしていたそうです。


aibo 最終日、トイ・プードルはaiboと離れるときにクウーンと鳴き、遊びたそうなしぐさを見せたといいます

aibo 13日目、寝転ぶaiboを気遣って起こそうとしていたテリア。最終日は別れを惜しむように顔や背中、お尻までなめていたそうです

aibo 多頭飼いの環境では、終始柴犬のみがaiboと仲良しに。他の犬はあまりaiboと接触しようとしなかったとのこと

 実験結果を受けて、今泉氏は「犬がaiboを“生き物”として認識し、さらに一緒に暮らす存在として“順位付け”をしている可能性が高い」と分析。「犬にとって自分よりも下の存在ができることは精神的な安心につながり、aiboとの共生でストレスが軽減される可能性も大いにある」とし、「aiboとの共生により、犬に思いやりに近しい感情が育まれ、犬の成長につながる可能性を実験で感じることができた」と総括しています。

画像提供:ソニー

(沓澤真二)


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