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自分のキャラに魂を入れる「魔法」 VTuberだけではない、ピクシブが「VRoid Studio」を開発した理由 (1/2)

» 2018年07月27日 18時23分 公開

 ピクシブが3D人体モデラーを開発中だ。それはなぜか。

 生身の人間がYouTube番組を配信するのがYouTuber、仮想キャラクターになって動画番組を配信するのがVTuberだ。ユーザーローカルによれば、VTuberは7月10日に4000を超えたと言われている

 人間と違い、VTuberの場合はキャラクターイメージを作り出さなければならない。最も必要とされているのは「カラダ」ではないだろうか。その「カラダ」を自由自在にデザインできるツール「VRoid Studio」をピクシブが無償で提供すると6月29日に発表し、大きな話題を呼んだ

 VRoid Studio先行使用申込者に送られたメールによれば、7月31日にベータ版へのリンクが送付される。ベータ版の一般向け公開は8月3日を予定。先行利用の申し込みは4万5000人以上という。「提供日を延期し、当初の予定よりも少しだけ機能を充実させた状態で、ベータ版を提供する」とスケジュールを調整した。

photo VRoid Studio

 なぜピクシブがVTuberアプリを、3D人体モデラーを作るのか。開発途中でまだ謎の多いこの「VRoid Studio」のプロジェクトメンバーに話を聞いた。

 取材に応じてくれたのは、VRoid Studioプロダクトマネージャーで「norio」として知られる清水智雄さん、ゲーム会社で12年以上3Dモデリングの経験を持ち素体のモデリングなどビジュアル面を担当して「しげぽん」こと石間重賢さん。清水さんは連合型SNSであるマストドンの世界最大のインスタンスPawooやpixiv SketchのAI自動着色などの先進的なプロジェクトを次々と立ち上げている。

開発から1カ月でプロトタイプ

――ピクシブはこれまで基本的にマンガ、イラストなど2Dの絵師さんたちを対象にした会社だったわけですが、いきなり3Dモデラーを作ったというのに驚きました。いつ頃から開発していたんですか?

清水智雄さん 構想は2017年10月からありましたが、開発に取りかかったのは今年(2018年)の2月から。プロトタイプは3月末にできてました。ピクシブでも3Dをやっていかなければという考えは以前からあったんですが、pixiv Sketch LIVE(絵を描きながら配信できるサービス)を開発している、めっちゃ忙しいときに思いつきました(笑)。

photo 清水智雄さん

 その時点で3Dをやらなくちゃいけないという考えは生まれたけど、具体的にどうするというのは固まってなかったんです。pixivには数十万人の絵描きさんがいるけど、誰でも3Dを作れるソリューションを提供できれば、その数%でも3Dの創作を始めてくれれば相当な底上げになる。3Dになることで、今まで絵が描けないせいで入ってこれなかった人が加わる。ピクシブはクリエイターが増えれば増えるほどうれしいビジネス。AR、VRの普及で3Dコンテンツの必要性は高まっていく……というところでキャラクターメーカーにたどり着くわけです。

――3Dのキャラクターを作成できるソフトはこれまでにもいくつもありました。Poser、Daz 3D、MakeHuman、 Adobe Fuseなど、試してみましたが自分の好みのモデルはなかなか作れない。テイストが合わないんですね。これらのツールで日本人が求めるキャラ作りをするのは難しい。そこでカスタムメイド3Dからエクスポートするとか……。

石間重賢さん 3Dモデラーとしては、既存のモデルをコピーしてそこから新規キャラクターを作成するというワークフローを取ってきたので、Daz 3Dとか試してみたんですけど、ぜんぜん方向性が違う、使えないってなったんです。(美少女ゲームの)コイカツ!とか出てきたときに「これでVTuberになれたら」と考えてたんですが……。

 そんな使いやすい人体モデラーを作りたいと考えていたときに清水さんと出会ったんですが、そのときはピクシブがそういうことをできる会社とは認識していなくて(笑)。話をしてみたら、数年後のビジョンまで一致していたんです。入ってからはすごいスピード感。

清水 これまで3Dモデルを作るには高額な投資が必要でした。

――ひたすらAutoDeskに貢ぎ続けるという。

石間 人体モデルを作るにはMaya、3ds Max、SoftImage、ZBrush、ありとあらゆるソフトを使うわけですけど、普通の人はそんなの使えないわけですよ。ZBrushはライト版のZBrush Coreが出ましたけど、粘土をこねるようなものなので、それなりの造形力が必要です。

清水 ソフトを揃えられたとしても、使い方を覚えなくてはいけない。ハードルはいまだに高いままなんです。僕らのVRoidであれば素体をベースに自分好みに変えてくだけで、モデリング、テクスチャ、(アニメーションさせるための設定である)リギングまですぐに出来上がる。自分の作ったキャラクターを動かすところまで最短でいける。それが一番大きいかな。

 服のデザインだけは、最初から自由にできるわけではなくて、プリセットから選んでテクスチャを編集するといったやり方になります。そこでもオリジナリティを出して変化をつけられると思います。3Dの衣装デザインに関してはMarvelous Designerをはじめ、いろいろな方法論はあると思いますが、ユーザーが自由に簡単にデザインできる方向で検討しています。

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