「食品ロスの論文を執筆します」という高校生の方からお手紙をいただいた。賞味期限が理由で廃棄される食品はどのくらいの割合か、についてのご質問だった。
食品ロスの発生場所には、家庭と事業者の双方がある。事業者になると、賞味期限を元に定められた「販売期限」や「納品期限」などの「3分の1ルール」という商慣習がある。広義では、これらも「賞味期限が理由で廃棄された」ことになるのかもしれない。
家庭内ではどうだろうか。先日、NHKの「Nらじ」という番組に生出演した。放送の前の打ち合わせでも、「消費者は、賞味期限が理由で捨てる人がどれくらいいるのでしょう?」という話になった。
調査対象者の50%が「賞味期限・消費期限過ぎたら捨てる」
担当者の方は、政府広報オンラインに掲載されている、農林水産省「平成21年度食品ロス統計調査(世帯調査)」(複数回答による)のデータを示された。
「消費期限」と「賞味期限」が一緒くたになっているのは惜しいが、50%ぐらいの人が「過ぎたら捨てる」と回答している。
同様のアンケート調査は、近年も行われており、50%より小さい数値が出ているものもある。
「女性の方が期限切れのものを食べる割合が多い」という結果も
2017年、インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチのDIMSDRIVEが行った賞味期限・消費期限に関する調査によれば、期限切れのものを食べるという割合は、男性より女性の方が多いという結果も出ている。
筆者の感触では、人による、という感じである。男性でも、賞味期限が過ぎても食べるという人はいるし、逆に女性の配偶者やパートナーの、賞味期限厳守の姿勢に悩まされているという話も聞く。
在庫の有無をチェックする人の方がロスが少ない
兵庫県神戸市が2018年4月12日に発表した、食品ロス調査によれば、家の在庫をきちんと確認する人ほど、食品ロスの発生量は少なくなっている。調査結果では触れられていないが、在庫の有無はもちろん、いつまで持つかという「賞味期限」についても、おそらくチェックされているであろうと予想される。
消費期限は「消費する期限」賞味期限は「おいしさの目安」
2018年7月25日に生出演した、J-WaveのSTEP ONEでは、「食品を購入する時、賞味期限をチェックしますか?」というアンケート調査を行った(n=326、2018年7月25日から26日まで実施)。
326名が回答した。45%が「必ずチェックする」、49%が「品物による」、6%が「全くチェックしない」という結果になった。
賞味期限はおいしさの目安である、ということが、もっと広く浸透して欲しいと願っている。
参考資料
NHKラジオ「Nらじ」2018年7月24日19:30放送 「食品ロス大国 無駄を減らすには」(聴き逃しサービス)
神戸市で一歩踏み込んだ「食品ロス実態調査」を実施しました(結果報告) ~約700世帯の市民モニターと全国初の「食品ロスダイアリー」による調査を実施~