東出昌大 映画「パンク侍、斬られて候」インタビュー

Special Interview

東出昌大

己の思考を探るように斜め下を見つめながら独特な比喩表現で想いを語ってくれる東出昌大さん。映画「パンク侍、斬られて候」で“超カタブツ”な黒和藩藩主・直仁を演じる彼に、この作品の魅力と、最近のケータイ&スマホライフについて語っていただきました。

★★予告はコチラ★★

頭を下げている顔文字をよく使います…性格ですかね(笑)

最近ガラケーに変えたという東出さんですが、お仕事用にスマホやタブレットはお使いですか?

以前使っていたiPhoneを、そのままiPod兼Gmail受信用みたいにしてWi-Fi環境で使っています。

いいとこ取りですね。

そんな感じです。でもスマホからガラケーに戻す人は、本当に少ないみたいですね(笑)。ガラケーに変えてからは、本を読む習慣が復活したように思います。

メールには個性が出ると思うのですが、東出さんはいかがですか?

プライベートでは基本的にめちゃくちゃ短いほうだと思います。仕事のときしか長いメールはしないですね。

絵文字などは使われますか?

あんまり使わないです。あ、でも。“m”があって頭下げてる顔文字はよく使います(笑)。

「m(_ _)m」を使う内容が多いんですね(笑)。

そう、性格だと思うんですけど、ごめんなさいとかそういうときにくっつけていますね。

しかも、絵文字じゃなくて顔文字。

最近はガラケーとスマホの絵文字が違うので、よく「東出からのは二重丸になってる」とか言われて、「もういっか!」の精神で顔文字に戻りました(笑)。

1人だけ違う国や時代にいるみたいですね。時差を楽しんでらっしゃる。

そうですね(笑)。

先程、iPhoneがiPod化していると伺いましたが…。

はい、音楽を聴くのによく使っています。曲はかなり入っていると思います。たとえば「パンク侍」の撮影中は、移動のときにマキシム ザ ホルモンとかパンクな曲を聴いたり、一転して古今亭志ん生師匠という、ひたすら「え~」(味のある声を真似)と言っている噺家さんを聴いたりするし、さまざまです。

音楽で気持ちや環境をコントロールされているんですね。

そうですね。旅に行くとか余白のあるときによく音楽を聴いている気がします。

旅先やご家族の写真を撮るときは何を使われますか?

コンパクトなフィルムカメラを使っています。でももう製造中止になってしまって…最近シャッターがなかなか下りなくなっているんですけど、もう修理もできない(笑)。これも「しょうがないか」って思っている今日この頃です。スマホを持っている方は写真を撮ることが習慣づいていると思うので、他の人と比較すると僕は写真を撮らないほうだと思います。

昔はスマホをよく使われていたんですよね。

そうだと思います。ネットニュースを見て心を痛めたり、家計簿アプリみたいなのも使っていたりしていました。

スマホやガラケーとの付き合いで心がけていることはありますか?

ガラケーにして自然と電話が多くなったので、電話っていいなって再確認することはあります。あとはすぐ依存しちゃうので、ちょっと距離を置こうと努めていますね。旅先では絵葉書を肉筆で送りたいな、と。

アナログな温度感や経験を大事にされているんですね。

はい…でも、マネジャー泣かせだなと思っています。スケジュールもアプリで共有せずに連絡いただいて…ごめんなさいの思いはあります(笑)。

ぶっ飛んだ映画になると思っていたら、ぶっ飛ぶどころか爆発してました(笑)

さて、東出さんがご出演された「パンク侍、斬られて候」が公開中ですが、まさに“パンク”としか言いようのない時代劇ですね。

原作の町田康さんも、監督の石井岳龍さんも、脚本の宮藤官九郎さんも大真面目にやっている、大真面目が爆発した作品です(笑)。僕が演じる黒和直仁は、常に全力で、正しいことしか言わない。落語に出てくるバカ殿を実写化するとここまでバカになるんだなという、全く共感も憧れも抱けないやつ。起点がズレてる人しか出てこない映画なので、演じていて面白かったです。

出てくるキャラクターが全員超個性的でした。

片仮名の“ト”の字に、上の人は下に棒( _ )を書くから下が見えなくなる、下の人は上に棒(  ̄ )を書くから上のことが分からないと言いますが、直仁は典型的な上の人間、しかもそれに気づいていない大真面目なやつ。僕も真面目な印象を持たれがちですが、実はクズなところを持っている人間なので、共通する要素は全くないですね(笑)。

逆に共感できるキャラクターはいましたか?

幕暮孫兵衛(染谷将太)のいっぱいいっぱいなところ、「夏フェスがあったら騒ぎたい」のノリでデモに行っちゃうみたいな若者らしさは、「あー、自分もこういうところあるわー」という社会風刺がビシビシきていて、気持ちは分かりますね(笑)。時代劇なのに根底に流れているのは現代の社会風刺なので、若者にはすごくぴったりのパンク映画になっていると思います。

綾野剛さん、浅野忠信さん、永瀬正敏さんと、出演者も全員主役級です。

役者になる前から拝見して大好きな先輩方だったので、ご一緒できるのが光栄で楽しみでした。ここ数年で感じるのは、ベテランの方こそ現場の待ち時間ではフランクで緊張感を湛えておらず、集中するところでガッと集中する。そのすべてがカッコイイし、その空気感をご一緒できたことが宝だなと思いました。

豊川悦司さん、國村隼さんを“家臣”に従えていかがでしたか?

我が黒和藩は、誰もが自分がバカだということに気づいていない、むしろ頭がいいと思っている人の集まり(笑)。中でも大浦主膳(國村)と内藤帯刀(豊川)のバカさ加減と言ったら素晴らしいので、それをすごいキュートに演じてらっしゃいましたね。もう、ここまで腐ると逆に滑稽で好きだな~と。

石井岳龍監督とご一緒されていかがでしたか?

襟付きのシャツに細身のジーンズ、スーツのセットアップと本当にお洒落なんですが…これは僕の推測なんですが、頭が常に回転していて消費するカロリーが常人離れしているから、あれだけ細身なのかな~と。すごく静かなのに誰よりパンク・ロックで、アドレナリンが人の15倍は出てると思います。じゃなきゃ、この映画はこんなふうにならないです(笑)。

この作品はご自身のキャリアにとってどんな作品になりそうですか?

石井監督がクランクアップのときに「次は真面目な作品でご一緒しましょう」と言ってくださったんです。それがうれしかったのと同時に、この作品は一体…と(笑)。石井監督とご一緒できたことは大変光栄でしたが、この作品は振り切りすぎているので、賛否両論あったら否の意見を聞きたいです!こんだけぶっ飛んだ作品の、どこに否を言うのだろうって…(笑)。一億総レビュアーの今、皆さんにはバンバン“否”を並べていだきたいな、それすら楽しみだなって思う作品です。

綾野さんも「すごくPRしにくい作品だ」とおっしゃっていますが、敢えて直球でPRするなら、どういった言葉を選ばれますか?

ぶっ飛んだ映画になるんだろうなと思っていたら、爆発した映画になったというか…すごく抽象的になるんですが、仕事で疲れ切って、鬱憤を晴らすように飲んで、翌朝布団の中で起きたらものすごく気分が悪くて、もう二度と酒なんて飲まないって思っている瞬間に突然大魔神が出てきて布団を引っ剥がして顔に水をぶっかけられて「え、何!? えぇ!?」って思うんだけど、「アレ? 二日酔い治ってる!」みたいな(笑)。旅をしてすごい景色を観た時に日常の雑多な悩みってちっぽけだなって思うような、映画とは、とか、エンターテインメントとは、とか、どうでもいいや! って思える作品だと思います。

異色作5本を楽しんでもらいつつ、役者として珠玉の1本も求めています

「OVERDRIVE」をはじめ、この夏は主演も含め映画5本も公開されます。スケジュールが大変だったのでは?

一昨年に撮影した作品も1つあるんですが、確かに去年はそれなりに忙しかったです。と言っても、僕は作品と作品が同時進行ということはなく、1本終わってから次の1本に入ることができたので、そこはよかったかなと。でも去年の夏は1本抜けてすぐに次で、もうちょっと時間がほしいと思うこともあったので、今後はもっともっとゆっくりとしたペースで、珠玉の1本をお届けしたいなと思います。そうあらねばお客さんに失礼だなと思うので…そういうことに気付かされた大事な期間でしたね。

その後、オフは取れましたか?

先日仕事でカンヌ映画祭に行ったので、その後1人で延泊してパリに滞在させてもらいました。もともと旅好きだったのですが、最近は1人で海外に行く機会も減ったので、そこで自分のことを考えたり、美術館とか行ったり、そういう時間を持てたのがうれしかったです。久しぶりに1人で乗る海外の電車は、「あー本当に自由なんだ」といううれしさと心細さがあって、何か以前の一人旅とはまた違うなという印象をまた受けました。

どう違いましたか?

多分、ずっと忙しかったのと、もちろん家族が増えたということと、そういう中で独身と同じ状況に置かれた自分が重なって、何か「あ、そっか、この数年って、自分なようで自分じゃなかったのかな」みたいな発見があって、その3日間はとてもよかったですね。

お休みの日はどう過ごされることが多いですか?

皆さんと大して変わらないです(笑)。お酒飲んで…最近ウィスキーをチビチビ飲むのにハマってるんで、昼間は友達と将棋指して、家族と過ごして…とかそういう感じで。飲むのは好きなんですけど、強いかというと、まぁまぁです。

お酒の場でもお話や交流を楽しまれるタイプですか?

そうですね、でも本当にその作品の立ち位置によるんだなって思ったのが、「パンク侍~」の撮影中は近藤公園さんと1回飲んだだけで、他の方とは全然飲まなかったんですよ。やっぱり役においての立場で飲む飲まないが決まるというか、別に飲まなくていいんだったら極端に飲まないこともあるので、そういうことなのかなと思います。

役によって普段のスタンスまで変わるんですね。

それはあると思います。他の映画でも“合宿状態”を作ることによって、その役と役者があまり乖離しないように演出する監督もいらっしゃるので、それは多分、役者ならば誰もがある程度はそうなると思うんですけど。

確かに直仁は気軽に飲む人ではないですもんね。

そうですね(笑)。

先程、これはと思う珠玉の1本に全身全霊を懸けるとおっしゃいましたが、その基準は?

これはデビューの頃から変わらないんですけど、2時間の映画なら2時間、映画館を出てきた人に「見てよかった」って思ってもらえる作品かどうかっていう本当に当たり前のことで。それに尽きるなって思います。でも今年は全部異色なので。「あーまたコイツ出てるよ」って思われるかもしれないですけど、それぞれ、魅力があると思うので(笑)、お楽しみいただけたらうれしいですね。

Profile

ひがしで・まさひろ/1988年2月1日、埼玉県生まれ。モデルとして活躍後、映画「桐島、部活やめるってよ」で鮮烈な役者デビューを飾る。2018年下半期は「菊とギロチン」「ピース・ニッポン」「寝ても覚めても」「ビブリア古書堂の事件手帖」などが公開待機中。

Information

「パンク侍、斬られて候」

6月30日(土)全国ロードショー

とある街道で、巡礼の物乞いを突然斬りつけた浪人剣客・掛十之進(綾野)。「この者たちはいずれこの土地に災いをもたらす」という彼の言葉を聞きつけた黒和藩の内藤帯刀(豊川)は、主君・直仁(東出)に彼を会わせるが…。

原作:町田康

監督:石井岳龍

脚本:宮藤官九郎

出演:綾野剛 北川景子 東出昌大 染谷将太/浅野忠信/永瀬正敏 國村隼 豊川悦司 他

(C)エイベックス放送通信

撮影:松井伴実 スタイリング:桧垣健太郎 ヘアメイク:石川奈緒記 取材・文:坂戸希和美

サイン入り写真プレゼント

東出昌大さんサイン入り写真を
1名様にプレゼント!

<応募方法>
以下のメールアドレスまでご応募ください。
■応募用メールアドレス:nexistyle@nexi.jp

メールの件名は「東出昌大サイン入り写真プレゼント」とし、メール本文にクイズの答えを記入し、送信してください。

応募用クイズ

映画「パンク侍、斬られて候」で東出昌大さんが
演じる役柄の名前(漢字四文字)は?

<応募締切>
2018年8月6日(月)23時59分

<当選発表>
2018年8月7日(火)

厳正なる抽選の上、当選者の方にはメールにてご連絡させて頂きます。 またご連絡の際に、発送に必要なお届け先情報を別途、お伺いしますので当選メール内に記載される期限までにご回答ください。

※迷惑メール防止などでメールの受信設定をされている場合は、nexiSTYLEからの当選メールが届きません。「@nexi.jp」からのメールが受信できるように設定を行ってください。

<注意事項>

※応募は1アドレスにつき1回までとなります。
※抽選結果に関するお問合せにはお答えできませんので、予めご了承ください。
※ご応募いただきましたメールアドレスは、当選のご連絡のみに使用させていたします。抽選後は速やかに消去いたします。

東出昌大さんの作品をdTVで観る!

「クリーピー 偽りの隣人」

(C)2016「クリーピー」製作委員会

「ヒーローマニア −生活−」

(C)福満しげゆき・講談社/2016映画「ヒーローマニア-生活-」製作委員会

「デスノート Light up the NEW world」

(C)大場つぐみ・小畑健/集英社 (C)2016「DEATH NOTE」FILM PARTNERS

映画「クローズEXPLODE」【TBSオンデマンド】

(C)2014高橋ヒロシ/「クローズEXPLODE」製作委員会

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