総務省の統計データによると、2017年12月末段階におけるMVNOサービスの総契約数は1764万件となり、携帯電話サービス全体の契約件数(1億7089万件)の10%を超えた(関連記事)。
大手キャリア(MNO)よりも比較的安価な料金ゆえに「格安SIM」とも呼ばれることも多いMVNOサービス。その料金を武器にユーザーを増やしてきたが、「成長が鈍化してきた」という指摘もある。
鈍化の要因として、MNOによる「端末購入補助」「廉価な料金プラン」「サブブランド(※)」といった“攻勢”を挙げるMVNOもあるが、いまいち合点がいかない面もある。
そんな折、MMD研究所(MMDLabo)が報道関係者向けの「MVNO勉強会」を開催した。この勉強会自体は何度も開催されているものだが(参考記事)、今回は初めて「一般ユーザーを交えたディスカッション」が行われた。ディスカッションに参加したのは「MVNOサービスに興味がある」男性2人と、「MVNOサービスへの乗り換えを検討している」女性1人の計3人。
3人の発言や意見からは、MVNOサービスが乗り越えるべき課題が見えてくる。
※ここでいう「サブブランド」は「MNOとその子会社が運営する格安ブランド(Y!mobile)」と「MNO子会社が運営するMVNOサービス(UQ mobileなど)」のことを総称している。以下、特記のない限り同様
ディスカッションに先立って、MMDLaboの吉本浩司社長が6月に実施した調査のデータを用いてスマホ利用者の「契約に対するスタンス」を説明した。
この調査では、対象者を「MNOユーザー」「サブブランドユーザー」「(サブブランド以外の)MVNOユーザー」の3種類に分類。それぞれのユーザーに自分の使っている通信サービスに対するスタンス(姿勢)を複数回答形式選んでもらうという形で調査を行った。
その結果、それぞれの分類で以下のような傾向が見えたという。
MVNOを使っているユーザーは料金を抑えられるなら能動的に行動するのに対し、MNOユーザーはスマホ(ネット)はヘビーに使うけれど、契約面で“手間”をかけたくないということになる。これは、公正取引委員会が「携帯電話市場における競争政策上の課題について(平成30年度調査)」を取りまとめるために行ったアンケート調査(MNOユーザー対象/MVNOユーザー対象、いずれもPDF形式)の結果とある程度合致する。
MVNOサービスのより広範な普及を図るには、ネットをたくさん使うけれど面倒を嫌うユーザーをどう取り込むかが課題となりそうだ。
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