ソースネクストは7月26日、音声通訳デバイスの新製品として、世界74言語に対応する「POCKETALK W」(ポケトーク ダブリュー)を9月7日に発売すると発表した。2.4インチのタッチパネルディスプレイや、通訳時に押しやすい物理ボタン、海外でも使えるeSIM対応など、ハードウェアを完全自社開発することで前モデルから機能を大幅に進化させた。価格は2万4880円(以下、税別)から。
2017年12月14日に発売した音声通訳機「POCKETALK」(ポケトーク)の後継モデル。ネット接続した状態で本体のボタンを押しながら話すと、世界74言語を相互に通訳して音声で発話したり、本体の画面上にテキストで表示したりできる。
対応言語を63言語から74言語に拡大し、インド英語やオーストラリア英語のような国・地域によるアクセントの違いにも対応した。言語ごとに適した企業の翻訳エンジンを自動選択することで、翻訳精度を高めているのが特徴。特に新モデルでは、日本語からアジア言語への翻訳で従来使っていたエンジンを別の企業に変更し、翻訳精度をさらに高めたという。
ディスプレイサイズは前モデルに比べ約3.2倍となる2.4インチ(320×240ピクセル)に大型化し、翻訳前の文章と通訳結果を同時に表示できる。直感的なタッチ操作や、音声による言語切り替えに対応したことで、使いたい言語を一覧から選ぶ煩雑な操作性を取り除いたという。本体には1.5Wのスピーカーを2基搭載し、通訳結果を発話するときの音量と音質をアップさせた。
新モデルはソースネクストの完全自社開発。海外ベンダーのデバイスを流用していた前モデルで寄せられた不満点を中心に、改良を重ねたという。
ポケトーク ダブリューの本体に保存できる翻訳履歴は最大1万件。Webブラウザベースの「ポケトークセンター」と連携すると、PCなどのWebブラウザ上に翻訳結果を表示できる。多人数で翻訳結果を共有するような活用ができる。
通信機能はWi-FiとBluetoothの他、4G LTEに対応。3G対応のみだった前モデルに比べて通信可能エリアが拡大し、モバイルネットワーク環境下でも通信速度が高速化した。通訳スピードは前モデルに比べて、Wi-Fi環境で平均7.4倍、モバイルネットワーク環境で平均2.5倍になったという。
本体にnanoSIMカードスロットを備える。2年間の通信権込みパッケージ(2万9880円)版には、KDDI傘下のIoT通信事業ベンチャー・ソラコムが提供するチップ型のSIMカード「eSIM」も内蔵。SIMカードの差し替えや通信契約などの設定が不要で、世界105カ国のモバイルネットワークをそのまま使える。
OSはAndroid 8.1のカスタマイズ版で、プロセッサはARM Cortex53 Quad-Core 1.3GHz、メモリは1GB、ストレージは8GB。充電用のUSB-Cポートを備える。
カラーバリエーションはブラック、ホワイト、ゴールド。専用シリコンケース(全7色)、専用画面保護シール、専用ポーチ、専用クレードル、専用ネックストラップも発売する。
「おかげさまでポケトークの発売以降、時価総額が3.3倍になった」──そう話すのは、ソースネクストの松田憲幸社長だ。同社の時価総額は、初代ポケトークを発表する前の時点(2017年10月20日)で179億円だったのに対し、現時点(2018年7月25日)では585億円まで成長したという。
初代ポケトークは、宿、美容室、飲食店、小売り、空港など、さまざまな法人が採用を進めている。個人向けには、ソースネクストが以前から家電量販店と直接取引している強みを生かし、各家電量販店に通訳機売り場を設置できたこと、さらにソースネクストにIDを持っている1600万人のユーザーに直接アピールできた点が売り上げ増の勝因ではないかと松田社長は分析する。
新モデルのPOCKETALK Wを完全自社開発に踏み切った理由について、松田社長は次のように説明する。
「前のモデルを使っているユーザーからいただいた要望を新モデルに反映した。今回は自社開発なので世界展開が可能になる。ソースネクストをグローバルなメーカーにしながら、通訳機が当たり前の世界を作っていきたい」(松田社長)
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