2018年7月21、22日、埼玉県伊奈町にある埼玉自動車大学校で「オートジャンボリー2018」が開かれた。これは自動車整備の専門学校である同校が、教育方針や学生の活動内容の周知を目的に2007年に始めたもので、カーショーと学園祭が合体したようなイベントである。グラウンドで行われるカーショーの対象車両は、21日がスーパーカーで、筆者が取材に赴いた22日がヒストリックカー。ヒストリックカーの参加資格は1988年以前(昭和時代)に生産された車両とその同型車で、参加台数はエントリーリストによれば300台。ただでさえ人車ともに厳しい時期の開催に加えて、このところの記録的な猛暑により参加キャンセルもあったが、エアコンなどない車両で参加されたオーナー諸氏には敬意を表するとともに、ぜひともご自愛いただきたい。メインとなるカーショーのほかにも、二輪トライアルのデモンストレーション、二輪&四輪のスタントショーといったアトラクションをはじめ、地元の警察、消防そして自衛隊の協力による特殊車両の展示、近隣のディーラー/ショップによる新型車および中古車の展示や試乗、ショップの展示や物販、レーシングカーの展示、さらには子供向けのプログラムまで、内容は実に盛りだくさん。老若男女を問わず楽しめるプチ夏祭りのようなイベントとして、今ではすっかり地域に浸透している。そんな会場から、集まったヒストリックカーを中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/30300台近くの旧車が集まったグラウンドの風景。
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2/301980年代にトヨタカローラ店で扱っていたモデルが集う「カローラ店 80's」の展示より、1986年「トヨタ・カムリ2.0GT」。「セリカ カムリ」から数えて3代目となるカムリの、スポーツツインカムを積んだ最強グレード。
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3/301986年「トヨタ・カローラ 5ドア1600ZX」。5代目AE80系「カローラ/スプリンター」に設定された、セダンベース(遅れて追加された「FX」とは異なる)の5ドアハッチバックの後期型。たまたまなのか、筆者はカローラよりスプリンター版のほうが記憶に残っている。
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4/301985年「トヨタ・カローラII 3ドア1500SR」。大ヒットした“赤いファミリア”の対抗馬として登場した2代目「ターセル/コルサ」の兄弟車。中身はトヨタ初のFF車だった初代ターセル/コルサから受け継いだ、エンジン縦置きFFレイアウトを採用。
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5/301983年「トヨタ・カローラ ワゴン1300デラックス」。4代目E70系に追加設定されたカローラシリーズ初となる5ナンバーの乗用ワゴン。ワゴンといっても4ナンバーの商用バンがベースで、人気薄だったため残存車両はかなり希少。
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6/301981年「トヨタ・セリカXX 2800GT」。同年にデビューした2代目セリカXX(輸出名称「スープラ」)のトップグレード。初代「ソアラ」と同じ2.8リッター直6 DOHCエンジンを搭載する。見たところフルオリジナルで、程度もすばらしい。
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7/301973年「ダットサン・ブルーバードU 1600SSS」。「U」のサブネームが付いた、型式名610こと4代目ブルーバードの、SSS(スーパースポーツセダン)を名乗る高性能グレード。ホイールキャップ付きのスチールホイールにホワイトリボンタイヤが泣かせる。
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8/301976年「日産スカイライン1800GL」。通称ケンメリこと4代目C110系スカイラインの、基本となる4気筒エンジン搭載セダン。排ガス対策のため、エンジンは旧プリンス設計のSOHCクロスフローのG型から、日産設計のターンフローのL型に換装されている。
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9/301987年「日産スカイライン 2ドアスポーツクーペ2000GTS-Xツインカム24Vターボ」。ハイソカーブームに合わせて4ドアハードトップ/4ドアセダンだけで登場した“7th”こと7代目スカイライン。不評だったことから、この2ドアスポーツクーペが追加設定された。70km/hを超えるとフロントエアダムから自動的に降りてくるGTオートスポイラーはオプションだった。
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10/301985年「日産グロリア ワゴン」。1983年から99年まで作られた長寿モデルである、型式名Y30「セドリック/グロリア」のワゴン。この個体はY30グロリアのイメージキャラクターを務めたゴルファー、ジャック・ニクラウスにちなんだ4ドアハードトップ専用グレードである「ジャック・ニクラス バージョン」風に装っている。
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11/301990年「日産マーチ スーパーターボ」。初代マーチの1リッターエンジンを930ccに縮小(過給係数1.7をかけて1600cc以下におさめるため)、スーパーチャージャーとターボチャージャーを備えた日本初のツインチャージドユニット搭載車である競技専用車両「マーチR」のロードバージョン。
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12/301974年「ダットサン・トラック1500」。ラット(あえて汚れやサビなどを目立たせたカスタム)風に仕上げ、荷台にハードシェルを載せた、アメリカンな雰囲気の型式名620のダットラ。
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13/302台の「ホンダ・バラードスポーツCR-X」。右は1983年「1.5i」、左は専用のブリスターフェンダーや前後エアダムを装着した1984年「無限CR-X PRO」仕様。ノボリが立っているように、双方ともタミヤからプラモデルが(無限CR-X PROはラジコンも)リリースされていた。
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14/30赤と黄の双子の1986年「ホンダ・トゥデイ」。初代トゥデイの丸目の初期型、しかもノーマルの姿を保っている車両は、いまや希少な存在だろう。
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15/301972年「三菱ミニカ スキッパー」。2代目ミニカをベースにした、同時代の「ギャランGTO」を縮小したような軽スペシャルティークーペ。リアウィンドウは開閉式である。
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16/303台並んだ「三菱ランサー セレステ」。黄色い2台はマイナーチェンジでヘッドライトが角形になった1978年式、右端の白い個体は初期型のトップグレードである1975年「1600GSR」。
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17/30ラリー仕様に仕立てられた、非常に珍しい1968年「三菱コルト1100F」。1965年にデビューした、2ストローク3気筒エンジンを積んだ「800」に始まるコルトのファストバックシリーズは、エンジンを4ストローク1リッター直4に換装した「1000F」、エンジンを1.1リッター拡大した「1100F」(後に「11-F」に改称)へと発展した。本来この顔つきは800/1000F時代のもので、1100Fにはなかったはずと思いきや、ニュージーランドからの逆輸入中古車とのことだった。
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18/30後方から眺めた「三菱コルト1100F」。独立したトランクルームを備えた2ドアだが、テールゲートを備えた3ドア(ハッチバック)や4ドアも存在した。リアサイドウィンドウは、ご覧のように独特な開き方をする。
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19/301971年「スバル・サンバー」。ドアが後ろヒンジから前ヒンジに変わった2代目サンバーの中期型で、実際に電材会社で使われていた車両という。かつてナショナル(松下電器)の家電販売店の営業車が採用していた赤・水色・白のトリコロールカラーは広く知られるところだが、このカラーリングは珍しい、というか初めて見た。
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20/301981年「スバル・レオーネ スイングバック4WD」。1979年に登場した2代目レオーネのホイールベースを短縮し、3ドアハッチバックボディーを載せたモデルがスイングバック。
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21/30初代「スバル・レガシィ」のセダンだが、よく見るとフロントグリル中央のエンブレムが六連星ではない……ということで、正解は1990年「いすゞ・アスカCX 2.0」。スバルからいすゞにOEM供給されたモデルである。
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22/30思い思いのモディファイが施された、3台の初代「いすゞ・ピアッツァ」。日本で初めてウィンドウまわりにフラッシュサーフェスを採用した量産車である。
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23/30手前から背(車高)の順に並んだ、シグナルカラーの「スズキ・ジムニー」(SJ30)。1981年に世代交代した2代目ジムニーで、年式は黄色が1981年、赤が1982年、緑が1983年。いずれも2ストローク3気筒539ccエンジンを搭載する。
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24/301956年「オリエントTR2」。現在も存在する三井グループの工作機械メーカーである三井精機工業が、かつて製造していた小型三輪トラック。キャビンは電車のようなモダンなデザインだが、コックピットはオートバイのように車体中央にまたがって座り、運転するバーハンドル式である。
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25/30手前から1920年代の「フォードA型」、「アメリカン・オースチン」、「フォードA型」をベースにした3台のストリートロッド、そして2台の1950年代のオールズモビル。
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26/301967年「プリマス・バリアント」(左)と1969年「ダッジ・ダート」(右)。兄弟車となる1960年代のクライスラーのコンパクトカーで、ボディーサイズはダッジ版であるダートのほうがやや大きい。
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27/30教材としての役目を終えた同校の所有車両が特別企画としてオークションにかけられ、左の1970年「日産セドリック」(130)が1万3000円、右の1956年「MGマグネットZB」が1万円で落札された。いずれも書類なしとのことだが、部品取り車としても破格値だ。もう1台、1974年「三菱ジープ」(J57)もあり、それは5万円だったとのこと。
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28/30会場内には埼玉県内の新車および中古車ディーラー/ショップも出展していたが、目に付いたのがこれ。オフロードレーサー製作を得意とするショップCANUS(キャナス)のデモカーという新型「スズキ・ジムニー」。2.5インチリフトアップし、ホイール/タイヤやフロントブレーキを換え、ルーフキャリアを装着している。
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29/30屋内会場には学内で製作されたカットモデルも展示されていた。中には「日産ノートe-POWER」(手前)や現行「ホンダ・レジェンド」(奥)といった最新モデルの姿も。
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30/30前庭には、近年の東京オートサロンに出展された学生製作のカスタムカーなどが並べられていた。
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