モモンガさんが異世界で神となって冒険するそうです。 作:フューリアス
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フューリアスです。
今回は、他のよりかなり長いものになってしまいました。
読みにくいようなら前編後編に分けようと思います。
2018/01/14 誤字、脱字修正しました。
粘土a様、圧縮キエフ君(魔王乃小槌)様、瑪瑙@趣味→誤字報告様、ザウラー様、21の目様、誤字報告と指摘ありがとうございます!
では、本編の方をどうぞ。
モモンガが木々の間に生い茂る茂みの中から様子を伺っていると、目指している村の方から手を繋ぎながら走る少女らしき影が2人と、その2人の後ろから追うように走る鎧を着た騎士のような影が見えた。
(なんだ追われてるのか? 追っているのは騎士か‥‥村で何かあったのか?)
村に罪人でも逃げ込んだのか、あるいは疫病類かと思いつく限りのシチュエーションを考えている間に、件の集団とモモンガのいる茂みとの距離が縮まっていく。
このままでは見つかるのも時間の問題だと思い、モモンガは見つかる前に、その場を離れようとしたとき、追われている2人のうち1人が躓いてその場に倒れてしまった、もう一人が助け起こしている間に騎士たちが追い付いてきた。
追い付いてきた騎士のうち1人が、手に持った剣で倒れた少女に目掛けて振り落したが、助け起こそうとした少女が倒れている方を庇う。
庇った少女は背中を剣で斬られるが、騎士の踏み込みが浅かったためか、致命傷までには至っていないようだ、しかし、あの傷ではもう逃げることはできないだろう。
(! 助けに入るか‥‥いや、情報も少ないし、何が起こるか解らない分‥‥リスクが高い、あの2人には悪いけど、ここから離れよう‥‥)
相手の強さも不明、自分より強敵の可能性もあり、ここは逃げるべきだと考え、その場を離れようした時、ふと騎士達の顔が視界に入る、騎士達はフルフェイスの兜を被っているはずなのに、悪意に満ちた笑みを浮かべているのが感じ取れた。
それは、モモンガが以前感じたことがるものだった‥‥それは、自分がユグドラシルを始めて間もない頃に、PKを仕掛けてきた人間種のプレイヤー達から向けられた悪意と同等の物だった、そして思い出したのだ、ギルドメンバーの純銀の聖騎士に自分が助けられたことを、それがどれだけ自分が救われたことを。
(誰かが困っていたら、助けるのが当たり前ですよね、たっちさん‥‥)
モモンガは思った、もしここで逃げれば、危険だからとか情報がないからと理屈を付けて、逃げ続けてしまうのではないかっと、確かに安全かもしれない、でも、安全の代わりに大切なものを失って、後悔してしまうのではないか?
やらずに後悔して苦しむなら、今できることをやってから後悔しよう、ギルドの名に恥じない行動をしようと思い、回復アイテム類を入れた
side:エンリ・エモット
エンリは、母親の手伝いのために妹のネムと一緒に森の近くにある井戸に水を汲みに来ていた。
いつもと変わらない日常、慣れた手つきで井戸から汲んだ水を持ってきた桶に入れている。
ネムは、井戸の近くに咲いている花を見ながら、姉が水を汲み終えるのを待っている。
そんなネムを愛しそうに見つめながら水を入れた桶を持ち、ネムに声かける。
「ネムー。 水汲み終わったからお家に帰るわよ。」
「はーい、お姉ちゃん!」
ネムは元気よく返事して、姉のもとに急ぐ。
2人並んで家に帰ろうとした時に、村の中心部付近から人の悲鳴が響いた、それも1人ではなく複数の悲鳴だった。
「何事かしら‥‥ネム、お姉ちゃん、ちょっと様子見てくるからここで少しだけ待っててね?」
「うん‥‥わかった‥‥。 お姉ちゃん、早く戻ってきてね‥‥?」
「いい子ね、なるべく早く戻るからね。」
聞き分けがいい妹を誉め、エンリは村を目指して走り始める。
しばらく走り、家の近くまでたどり着いたとき、中央の広場に繋がる道から鎧を着た4人の騎士達が現れた。
エンリは騎士達に気付いて、いったんその場で止まり様子を見ることにした。
すると騎士達の存在に、家にいた両親も気づいたのか外に出てきて、父が騎士達に問いかける姿が見えた。
「これはいったい何事なんだ? あんたらは何しにここに来たんだ?」
騎士の1人がほくそ笑みながら、その問いに答えた。
「ああ、それはな‥‥お前らを殺すためだ!」
「あなた、危ない!」
騎士が剣を抜き父に斬りかかっていったが、母が父を庇い代わりに斬られてしまった。
その瞬間をエンリは見てしまい、悲痛の叫びをあげる。
「いやー! お母さん!」
その叫び声を聞いた騎士がエンリの存在に気付き、新しい獲物を見つけたっと騎士達の半分が目標を変え、エンリに近づいていく。
エンリの叫び声で、騎士に隙が出来たのか、父が決死の覚悟で騎士にタックルを行い、そのまま騎士にしがみ付き行動を阻む。
「エンリ、逃げなさい! ここは父さんが食い止める、早く逃げなさい!!」
さらに斬られて瀕死のはずの母が最期の力を振り絞り、娘のもとには行かせないと、もう1人の騎士の足にしがみ付く。
騎士達は、両親の決死の抵抗にあい、なかなか引き剥がすことが出来ず足止めを食らっていた。
そんな両親の思いを受け、目に涙をため、お父さん、お母さん、ごめんなさい‥‥っと呟き、全速力でその場を走り、ネムの下に向かう。
井戸の側まで来ると、ネムが座りながら待っていた。
「ネム! 立って! 森の方に行くわよ!」
「う、うん、わかった。」
姉の気迫に戸惑いながら、ネムは立ち上がり姉に手を引かれる。
森に向かって走り出そうとした直後、後ろの方から金属鎧のたてる音と足音が近づいてくる。
もう追手が来てしまった、早く逃げなければとネムの手を引きながら、森の小道を走り出す。
しかし、子供と大人の歩幅では違うため、着実に距離を縮められてしまっている、ネムの方も体力をどんどん削られて、スピードも落ち始めている。
追われる恐怖に怯えながらも、エンリは頭を動かし必死に逃げ切る算段を考える。
(どうしよう‥‥このままじゃ追い付かれちゃうわ。 ネムを抱きかかえて森の中に逃げ込むしかないかしら‥‥?)
相手は鎧だ、そんな重たいものを身につけているなら、森の中では身動きが取りづらいはずだ。
逃げ切るなら森の中に入るしかないと思い、ネムを抱き上げようとした時、ネムは足をもつれさせてこけてしまう。
エンリは急いでネムに駆け寄り、助け起こそうとした時、とうとう騎士に追い付かれてしまった。
騎士は手に持った剣をそのままネムに振り下ろそうとした、エンリは咄嗟にネムを抱え込み庇うと背中に鋭い痛みが走る。
「お、お姉ちゃん」
「手こずらせやがって!」
騎士は相手を蔑んだ笑みを浮かべ、もう一度、剣を振り落とそうとした。
エンリは、自分はもうだめだが、ネムだけは逃がそうと考え、一矢報いるべく反撃をしようとした、その時、停止を呼びかける声が響いた。
「そこの騎士様、お待ちください。」
side out
モモンガが静止を求める声をかけると、それに応じてエンリ達に剣を振り落とす寸前で止まった。
(危なかった‥‥もう少し出るの遅れたら怪我をしてる子は助からなかったな‥‥)
間に合ってほっと一息ついて、騎士に対して質問を投げかける。
「騎士様、なぜ少女達にこのような仕打ちを行うのでしょうか? この子たちが何か悪さでもしたのでしょうか?」
しかし、2人の騎士は反応は鈍かった、何故なら目の前に見たこともない美女が居るのだ、その美貌に見入ってしまい一時的に思考が停止しまった。
しばらく間が空いたが、片方の騎士が思考停止状態から復帰し、フルフェイスの兜の下で下卑た笑みを浮かべながら返答した。
「これは極めて重要な任務だ、教えることは出来ん‥‥そして、目撃した者は見逃す訳にはいかん、一緒に来てもらおうか。」
モモンガを舐め回すような視線を向けながら、剣をちらつかせながらこちらに近づいてくる。
(うわぁ‥‥下心が丸見えだ‥‥解りやすい悪人だな)
騎士の行動を見て、モモンガは対応を決め実行しようした時に、先ほどまで剣をエンリに向けていた騎士が復帰し、行動し始めた。
「おとなしくついてくるなら、このガキみたいなことはしないさ!」
脅して言うことを聞かせるために、騎士はその刃でエンリ達の命を奪おうとしたが、それは叶わなかった。
なぜならば既にモモンガは、行動に移し魔法を発動させていた。
「《
対象となったエンリを殺そうとした騎士は、くぐもった声を上げその場に崩れ起き上がることはなかった。
モモンガに迫っていた騎士は、突然倒れた相方に驚き、駆け寄って声をかけたが、すでに絶命しているので反応が返ってくることはなかった。
いったい何が起こったのか解らず、何かしたであろうモモンガを見て怯えながら後ずさりし始める。
(殺したことには何も感じなかったけど‥‥柔らかい何かをつぶした感触があった、あれは心臓か?)
自分が最も得意とした魔法が通じた事に安堵し、使用した時の感触について考えながらも残った騎士に目を向けた。
「うわぁぁぁ! た、助けて!」
残った騎士は、この状況が理解できず、何故、どうして、何が起きたっといた思考がループしており、視線が自分に向けられた時、次は自分の番だと恐慌状態になり走って逃げだした。
しかし、そこで逃がすほどモモンガは甘くはない、雷撃魔法で痺れさせ、捕えようとしたが予想外のことが起きた。
「《
《
(えっ‥‥第3位階魔法で一撃? 弱すぎるだろう? もしかして、死んだふりか?)
念のために近づいて確認してみたが、騎士は絶命していた。
(考えたほどリスクは高くなかったのか‥‥あ、そうだった、あの少女達の容態を確認しないと。)
いろいろと思うことがあったが、気持ちを切り替えてエンリ達の下に向かい、目線を合わせながら声をかける。
「よく頑張りましたね、あなたの傷を見せてもらってもいいですか?」
怯えさせないように、なるべく笑顔で安心させようと接するモモンガだが、2人は頬を赤く染め、呆けたように固まっている。
あまりにも反応がないので、目の前で手を振りながら再度声をかける。
「あの‥‥? 大丈夫?」
「あ、ご、ごめんなさい、い、今見せます。」
慌てた様子で後ろを向き、モモンガに斬られた傷を見せる少女。
(これなら
傷を見せてもらったモモンガは、
「傷を見せてくれて、ありがとうございます。 これは治癒の薬です、飲めばあなたの傷を癒せます。」
エンリはポーションの色に戸惑いながらもそれを飲み干す、すると斬られた傷が一瞬にして塞がり、傷一つない肌が露になる。
「嘘‥‥」
「これで大丈夫ですね、ここに留まっては危険です。 安全な場所まで私が連れて行きましょう。」
エンリの様子から傷は問題なく回復出来たので、移動を考えていたモモンガであったが、そこにエンリが待ったをかけた。
「む、村が騎士の一団に襲われているんです! 見ず知らずの人にお願いするようなことではないことは承知ですが、どうか村を救ってください!」
「救ってください!」
エンリは両親はもう助からない事はわかっている、でも心のどこかでまだ生きていると信じている、この人なら助けるかもしれないと藁にも縋る思いで頭を下げて頼み込む、ネムもそんな姉を見て一緒に頼み込む。
姉妹揃って頭を下げる姿を見たモモンガは、2人を救ったのに他を見捨てるのは後味が悪いし、後悔はしたくない、ならやることは決まっていると即行動に移す。
「‥‥‥解りました、その願いお受けしましょう。」
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
「誰かが困っていたら、助けるのが当たり前ですよ。」
モモンガは立ち上がり、アンデッドを召喚し戦力を増やして挑もうと魔法を唱えようとしたが、思いとどまる。
(2人とも怖い思いしたんだよな‥‥ここでアンデッドを召喚したらトラウマになっちゃうかな?)
2人のことを考えると召喚するモンスターも限られてくる、どれにするべきか考えてるとちょうどいい召喚魔法を覚えたことを思い出した。
「《
魔法を唱えると目の前に召喚陣が現れ、その中から現れたものは、白銀の毛並みに金色の眼、口元から胸当たりまで毛が赤く染まった巨大な狼犬だった。
(うん、この子なら大丈夫だな。)
「ガルム、この先にある村を襲っている騎士達から村人を守りなさい。騎士の容姿は、そこの鎧と同じ者たちです、さあ、行きなさい!」
ガルムは絶命している騎士を一瞥して、特徴の確認を行い、自分の主に一度頭を下げ、村に向かって走り出した。
モモンガはガルムが村に向かったのを見送った後、ガルムを見て呆けてるエンリ達に魔法をかける。
「《
「守りの魔法をかけました、この中に居ればある程度は安全です。 もしもの時はこれを使ってください。」
回復用の鞄の中に紛れ込んでいたゴブリン将軍の角笛を2つをエンリ達の前に投げ入れる。
「この角笛を吹けば、あなたたちに従うべくゴブリンたち‥‥小型のモンスターの軍勢が姿を見せるはずです。 そのモンスターに簡単な指示でもいいので出して身を守ってください。」
「私もガルムを追って村に行きます。怖いかもしれませんが、私かガルムが迎えに来るまで待っていてくださいね。」
そういうとモモンガは、村に向けて走り出す、村を救うために。
side:ロンデス・ディ・グランプ
ロンデスは憤りを感じていた、村の娘たちに蛮行に走る同僚の騎士達を止めることが出来なかった無力な自分に対してだ。
この任務自体、リ・エスティーゼ王国のガゼフ・ストロノーフをおびき出すのが目的なのだ。
決して、略奪や蛮行するために村を襲ったわけではないのだ、村人は被害者で貶めていいものではないのだ、なのに神の名の下なら何をしてもいいと勘違いしている者までいる。
さらに質が悪いことに、部隊を率いてる隊長のベリュースが諫めるのではなく率先して蛮行を行っているのだ。
最高神官長より直々に命令されたもの以外、ベリュースも含め部隊のものは理解していないのだろう、自分たちが捨て駒であることを。
「お前達は何をぐずぐずしている! この役立たず共が!」
ベリュースが怒鳴り散らかしている声で、ロンデスは意識を外に向ける。
何故、ベリュースが怒鳴っているかと言うと、招集を掛けたはずの騎士達が一向に全員集まらないからだ。
招集した理由もベリュースが誤って村を燃やすための種火を落としたためにボヤ騒ぎになり、鎮火させるための人員を集めるためだった。
村に火を放つのは、すべての仕込みが終わった最後なのだ、まだすべて終わってないのに、こんなところで段取りを乱されては堪ったものではない。
自分の不祥事を部下にやらせようとしている隊長に、周りの目は冷たく、視界に入るすべて騎士がお前が一番役立たずだろうと視線が雄弁に語っている。
ベリュースのことはともかく、招集を掛けてからだいぶ時間が経ったが、呼びに行った騎士も含めて一向に戻ってくる気配がない。
この村自体は、それほど広くないはずだ、略奪をしてたとしても時間がかかり過ぎてる、明らかな異常だ、ロンデスは捜索の指示を出そうとした時、1人の若い女性の悲鳴が聞こえた。
「きゃぁ、ひぃ、や、やめてください!」
「へへへ、言うことを聞けば暴力は振るわんよ、暴力はな。」
下賤な笑みを浮かべながら、騎士の1人が若い女性の腕を掴み連れて行こうとしていた。
どうやら待機している間に我慢できずに、手を出したのだろう。
ロンデスが、その軽率な行動に怒りを覚え諫めようと声を発しようしたところ、それは現れた。
それは、先ほどの騎士の肩を鎧ごと食いちぎり、女性とは反対に弾き飛ばした、そして、喉をフルフェイスの兜ごと嚙み砕く。
突然の出来事だったので、その場にいた全員が何が起きたか解らずに固まった、そして、先ほどの出来事を起こした張本人も様子を確認すべく止まり姿を現していた。
それは巨大な狼犬だった、しかもただの狼犬では、その場にいるだけで押しつぶされそうな威圧感、本能が絶対に戦闘してはいけない、逃げろ、殺されるぞと警告を発するほどの強大な力の差を感じた。
ロンデスは撤退するべきか思考していると、ベリュースが恐怖を感じて悲鳴のように命令を出す。
「お、俺は、こんな場所で死んでいい人間じゃない! おまえら、時間を稼げ! 俺の盾になるんだぁ!」
自分が助かるために部下を盾にし、あろうことか狼犬と自分の間に村人が来るように逃げ出したのだ。
ロンデスはベリュースの行動に舌打ちをしながら、同じように最高神官長より直々に命令を受けた少人数と共に、村人を守るべく狼犬と村人の間に入り込んだ、これは潜在的に抱いていた後悔の気持ちが起こした咄嗟の行動だった。
だが、狼犬はそんな自分達には興味を示さず消えた、死角から攻撃してくるつもりかっと考え、輪を作るように背中を合わせどこから来ても対応できるように構え警戒したが、一向に来る気配がなく、次の瞬間、ベリュースが悲鳴を上げながら宙を舞い、目の前に落ちてきた、そして、先ほどの狼犬も同じ位置に姿を現す。
ベリュースはそれなりの高さから落とされたため、気を失っただけだが、その姿に恐怖を抱かせるには十分な効果があった。
騎士数名が恐慌状態になり、その場から逃走しようと走り出したが、狼犬に先回りされ、最初に殺された騎士のように喉をかみ切られて絶命していく。
その光景を目にした騎士達から錯乱したように悲鳴が上がり始めた。
「やだ‥‥やめてくれ! し、死にたくない」
「神様‥‥助けてください!」
これはまずいと思い、ロンデスは自分の中にある勇気を総動員して檄を飛ばす。
「----落ち着け!!」
悲鳴にも負けないロンデスの咆哮が響いた、それにより騎士達はある程度冷静さを取り戻した。
「撤退だ! 合図を出して馬と弓騎兵を呼べ! 残りは合図を出すまで時間を稼ぐ!」
ロンデスは命令を出した後、小声で背中を預けた仲間で言う。
「後のことは任せた、無事撤退出来たら任務を遂行してくれ、頼んだぞ。」
「全員行動開始!」
ロンデスは号令をかける、それと共に今まであり得ないほどの流れるような連携で行動を進んでいく。
その行動に満足し、味方の逃走の時間を稼ぐため、狼犬に剣を振り落とした、それはロンデスが生きてきた中で最高の一撃だった。
これなら倒せないまでも傷は負わせることが出来るだろうと思う程に、だがしかし、現実は非常だった、その一撃は牙で軽く受け止められ、剣が嚙み砕かれる。
剣が砕かれ、狼犬と目が合う、その目を見て悟った、これは今まで行ってきた無辜の民を惨殺した報いなのだと。
ロンデスは、目をつぶり、噛み殺される現実を受け入れた、だが来た痛みは噛みつかれた痛みではなく、力で吹き飛ばされた衝撃と背中に走る激しい痛みだった、どうやら思いっきりタックルされて、壁か木に激突したのだろう。
まるで他人事のように思いながら痛みから意識が遠のいてく。
「ガルム、そこまでです。」
最後に、とても美しい声を聴いてロンデスの意識は途切れた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
登場人物も増えたので、人物ごとに視点を分けて書いてみましたが、いかがでしょうか?
見ずらい、分ける意味がないという意見が多いようでしたら、次回からモモンガさん視点のみで進めていきます。
下記が本作のスレイン法国の捏造設定になります。
捏造設定
・スレイン法国
上層部が真剣にかつ、自己犠牲の精神で人類の守り手として、日夜戦っている。
過激派の中では、獣人や異種族がいつか人類に牙を向けてくると考えており、討伐の対象とみている。(陽光聖典は争う機会が多いため過激派が多い)
しかし、中層部や下層部には、汚職や特権を勘違いしたものが増え始めており、腐敗が始まっている。
これには上層部も頭を痛めてる。
・偽装バハルス帝国部隊
ガゼフ・ストロノーフをおびき出すための捨て駒部隊。
主にスレイン法国で問題行動を起こし続ける貴族や騎士、投資家で構成された部隊。
何故、このような部隊になったのかというと、法国内でさんざん注意、警告、罰金などにもなったにも関わらず、更生の見込みがなく、賄賂や隠ぺいなどを行い問題行動を起こし続けている者たちがいる。
(本人たちはバレてないと思っているが、風花聖典によって証拠も集められ、賄賂を渡している相手も国に情報と受け取った物を渡している。)
法国の上層部も、この者たちをのさばらせては、貴族などの腐敗が進み王国の二の舞になりかねないということで、今回の部隊構成につながった。
参加させたる理由として、参加し無事任務を遂行すれば、報奨金も多く出すし、可能な限り物は融通するなど、参加した者が喜びそうなものを餌として提示している。
さらに軍資金として、それなりの額を渡している。(賄賂として回収された金なので痛くない。)
しかし、そのような者で構成しては任務を遂行することはできないだろうというもあり、苦渋の決断として小数名の優秀な人物に声をかけ、最高神官長直々に頼み込んみ、任務内容を理解したうえで参加している。
報酬としては、家の名誉の保護と家族の生活の保障と支援が約束される。
(最高神官長としてはどんな無理難題も権力を使い、できるだけのことをしようとしたのだが、参加者が望んだは大体が上記に記したものだった。)