モモンガさんが異世界で神となって冒険するそうです。   作:フューリアス
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第3話 夜空の宝石箱と村の発見

この体がハイスペックだったおかげで、迫りくる枝に当たることなく木々の間を飛ぶことが出来たことにモモンガは感謝した。

木々もそれほど高くになかったので、あっという間に木々の間を抜け、飛び出た先で目に入ったものは、雲の一つない夜空と輝く星々、優しく光を放つ月だった。

リアルでは環境汚染が進み、星の光など見えないほど空気は澱み、夜空すら見ることが出来ないのだ、ゆえにモモンガは、初めて見るこの美しい光景に、目を奪われて、胸が高鳴るもの必然だった。

 

「ああ‥‥月明りと星明りだけなのにこんなにも明るいなんて、まるで、宝石を夜空に散りばめてようだ。」

(この光景、ブルー・プラネットさんにも見せてあげたかったな。)

 

モモンガは、夜空で手を広げ、まるで踊るように空を飛び回った、その顔は目を輝かせ、笑みを浮かべる乙女の表情だった。

しばらく上機嫌で、星の海を飛び回り、感情が最高潮に達しようとした時に沈静化され落ち着いたが、さっき取っていた行動を思い出して顔をかーっと赤くなっていくのが解り、両手で顔を覆う。

 

(あぁぁー! 人目がなかったよかったけど、人目があったら私、痛い子じゃん! テンションが上がってもあるけど恥ずかしすぎる!)

 

顔を両手で覆いながらその場で縮み込み、沈静化されるまで恥ずかしがっていた。

 

沈静化でふぅーっと息を吐きながら、また星空を眺めながらブルー・プラネットから聞いたことや星座の話などを思い出していた。

星空を見上げながら、教えてもらった星座を探そうしたが、空に輝く星は多く、また輝きも強く判別することはできなかった。

 

「う~ん‥‥駄目だ‥‥輝いてる星が多すぎて、どれを線で繋げればいいかわからない。」

(解れば、判断材料の一つなると思ったんだけどな‥‥)

(あれ? そういえば、なんで空に上がったんだっけ?)

 

星座が解らず落胆していると、空に上がった目的をすっかり忘れていたことを気づいた。

目的を思い出そうと顎に手を当て、う~ん‥‥っと唸りながら考え込み、しばらくしてやっと思い出した。

 

「ああ、そうだ。 周りの地形を確認しようと思ったんだ。」

 

本来の目的を思い出したモモンガは、視線を頭上の星空から地上に広がる森へと移す。

 

(ここら辺一帯は森ばかりか‥‥近くに村とかあると良かったんだけどな。)

(《ホーク・アイ/鷹の目》を使って、もっと遠くの方を見てみるか)

 

《ホーク・アイ/鷹の目》を唱え、森の遠方に視線を向けて地形を確認し始める。

 

(うーん‥‥遠くの方も森が多いな‥‥その先には平原が見えるな)

 

森の先に平原が見えたので、そのあたりをよく見てみると、城壁のようなものに囲まれた都市のようなものを確認することが出来た。

 

(お、壁に囲まれた町が見えるな‥‥だけど、ここからだと遠いな‥‥もう少し近くに街はないかな?)

 

見えた城壁に囲また都市を中心に、他の街がないか探しながら視線を森の方まで戻していくと、森の入り口付近に村らしきものを見つけることが出来た。

 

(おお、あんなところに村があったのか! あそこならさっきの場所より近いし、壁とかも無いからすんなり入れそうだな。)

 

やっと近くにある村を発見することが出来て喜んでいる最中に、横から光が差し込んできた。

何事かと思い、手をかざして、目を守りながら光が差し込んできた方を見ると、地平線から太陽が昇り始めているのが見えた。

 

(もう朝なのか‥‥このまま《フライ/飛行》で飛び続けると目立つかもしれないな。)

(村の方も友好的とは限らないし、近くで降りて徒歩で向かって行こう。)

 

そう決めると、《ホーク・アイ/鷹の目》を解除し、村に向かって飛んでいきながら今後の行動指針について考える。

 

(まずは口調の方を直して慣れておかないとな、村に向かう最中に練習しておかないと‥‥お、ちょうど村に続いてる小道があるな、あの近くで降りて道なりに進もう。)

 

日が昇り始めて周りが明るくなってきたおかげで、小道を発見することが出来たモモンガは、その近くに降りて道なりに進み始める。

道中の空いた時間を利用して口調の練習をしながら、上空から見た距離から、このまま歩いて行けば、村に着く頃には日も完全に登って、人が動き出す時間になるだろうと考えてた。

しばらく練習をして、これなら問題がないだろうと自信もついてたので、次は村でどうやって情報を仕入れようかと考えていた時、ふっとあることに気づいた。

 

「そういえば、私の声はどうなっているんでしょう? 自分自身の声になるとあんまり違和感を感じませんね‥‥確かめてみましょうか。」

 

もし、これで鈴木悟の声だったら大惨事になりかねない、絶対に引かれるし、聞ける情報も聞けなくなってしまうかもしれない。

一旦、小道より反れて森の中に入り、録音魔法で自身の声を録音し、再生魔法にて録音した声を確認する。

その声は、鈴木悟の声ではなく、御淑やかな女性のイメージが浮かぶ澄んだ声だった。

容姿と合う声だったのと、大惨事になる事態を回避できたことにモモンガはほっとした。

 

(よかった‥‥これで本来の自分の声だったら、無口キャラで過ごさないといけなかったし、さっきの練習も水の泡になってたところだったな‥‥)

 

問題が一つ解決したので、再び小道に戻り、リアルでは見ることができなかった自然を堪能しながら村へと向かって行った。

 

あれからしばらく、道なりに進んでいき、そろそろ村に辿りつくだろうと思った矢先、村のある方向から煙が上がるのが見えた。

 

(え、煙? 火事でもあったのか?)

 

モモンガが煙に目を取られ立ち止まっていると、前の方からこちらに向かって走ってくる複数の人の気配を感じた。

ひとまず様子を見るために、小道の横にある木々の間の茂みに身を隠すのだった。

 

 




ここまでご覧になっていただきありがとうございます。

次回は、カルネ村回になります。
帝国軍に変装したスレイン法国の兵に対して、一つ捏造をしようと思っています。
詳しくは、次回のあとがきで説明させていただきます。

次回もよろしくお願いします。

2017/01/08 誤字修正しました。
サンダル様、報告ありがとうございます。







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