モモンガさんが異世界で神となって冒険するそうです。 作:フューリアス
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粘土a様、誤字報告ありがとうございます。
ユグドラシル最終日。
かつて1500人の襲撃をのけたギルド「アインズ・ウール・ゴウン」、その拠点、ナザリック地下大墳墓の最下層、王座の間にて、ギルド長のオーバーロード‥‥モモンガはギルド武器を携え王座に座り、ありし日のナザリックの振り返っていた。
「そうだ‥‥楽しかった‥‥ん、そういえば、何か忘れていたものがあったような‥‥。」
楽しかった記憶を振り返っているときに、ふっと何か引っかかるものを感じた。
しばらくして思い出したようにコンソールからアイテム欄を開き、記憶で引っかかったものを探し見つける。
「あ、有ったこれだ。」
アイテム欄から「聖遺物」と表示されたアイテムを取り出す。
これを手にれたのは、人間種のプレイヤーがあまり来ないエリアでギルドの維持費を集める最中だった。
そのエリアでは遭遇したことがないエネミーと遭遇し戦闘になったが、そのエリアに出現エネミーにしてはレベルが高く、悪戦苦闘の末に倒した際にドロップした物だ。
後で調べて分かったことだが、かなりの低確率でポップするレアエネミーで遭遇情報も少なく、討伐した情報もほぼなかった。
「手に入れた時、聖遺物ってアイテム名が妙に気になったから鑑定魔法をかけたんだったか‥‥《オール・アプレーザル・マジックアイテム/道具上位鑑定》」
記録を辿るように鑑定魔法を使用し、魔法の効果によってコンソールにアイテムの内容が詳しく表示されていく。
アイテム名:聖遺物
レアリティ:聖遺物級
効果:装備することによって、聖属性の与ダメージを上昇し、各属性攻撃の被ダメージを軽減する。
内容:神秘が込められていたが、力の大半を失い輝きを失ってしまった結晶体。
『《オール・アプレーザル・マジックアイテム/道具上位鑑定》が使用されてことにより更なる情報が開示されました。』
かつて、この結晶体は、神の依代として使用され、力を発揮していたが、今では力を使い果たし、能力も弱体化してしまった。
もし力を注ぎ溜めることが出来れば、かつての輝きを取り戻し所有者を次の階位へと引き上げるだろう。
(この一文ある‥‥「力を注ぎ溜める」はいろいろ試したけど、結局どれも駄目だったよな、あと試してないのは経験値くらいか‥‥)
「強欲と無欲ならこれに経験値を注ぐことが出来るよな‥‥」
ワールドアイテムである「強欲と無欲」は、ギルドの所有物だ、それを一個人の意思で使用することは、モモンガにとってためらうことだ。
しばし考え、悩んでいたが、刻々と終了時間が近づいてる状況、そして、コレクターとして、このアイテムの真の姿を見てみたいという欲求もありモモンガは決意した。
「もう最後なんですから、私の我が儘で使用してもいいですよね。」
そう呟きつつ、時間を確認する。
23:45:30
「もう時間がない! 最後ぐらいは王座で終わりたいから早くとってこないと。」
「リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン」を使用し、急いで宝物庫に向かい「強欲と無欲」を取り出し、王座に戻ってきた。
道中に扉の合言葉を忘れてしまい慌てたり、自分が作成したNPCを見て、黒歴史を思い出して悶絶しそうになったりといろいろとあったが、そこは割愛。
23:53:59
「さて、残り時間も少ないし最後のチャンスだ、上手くいってくれよ。」
「強欲と無欲」を装備して、「聖遺物」に向けて「無欲」の効果を使用すると経験値を吸い始め「聖遺物」が少しずつ光り輝き始める。
「おお! 成功した!」
内心でガッツポーズしたのも束の間、ストックされている経験値がみるみる減っていくが条件を満たしていないのか一向に変化が起きる兆しもない。
「あれ‥‥これ、大丈夫か? 足りないとかないよな?」
膨大にあったはずの経験値ストックが底をつきそうになり、焦りが生まれてきた瞬間、「聖遺物」の発する光が神々しい物へと変わり「無欲」による供給も止まった。
モモンガはさっそく鑑定魔法を「聖遺物」だったものにかける、するとコンソールに情報が表示される。
アイテム名:女神の神核
レアリティ:世界級
効果:使用者に対してレベル関係なく、種族:神霊Lv15と職業「○○(分霊)Lv15」を追加します。
※種族によって職業は異なります。
内容:かつての輝きを取り戻し、女神の力を憑依させることが出来る結晶体。
女神の力は、あらゆる強敵を払いのけ、配下についたものに加護と祝福をもたらすだろう。
「おお! 世界級ってことはワールドアイテムだったのか! なんだ神霊って隠し種族かよ! 実際の職業は使用してみないとわからないのか! こんなの普通気づくか! くそ運営め!」
自分の目論見が成功し、その結果がワールドアイテムになったのだ、しかも最後の最後で、未知の種族や職業の情報を得てモモンガのテンションが一気に上がった、サービスの終了時間がすでにギリギリになっていることも忘れてしまう程に。
23:59:58
23:59:59
終いには、上がったテンションの勢いもあり、意図せず「女神の神核」を使用してしまう、そして結晶体から強烈な光を放たれてメッセージが流れた。
『女神の神核が使用されました、設定とアバターを適用します。』
00:00:00
こうして、モモンガは自身の変化を確認できずに異世界へと旅たっていった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
初めまして、フューリアスと申します。
初めての作品になるため、つたない部分や文章がやや短いなどありますが、完結できるように頑張っていきたいと思っております。