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約20億年前、アンドロメダは別の巨大銀河を飲み込んでいた。いずれは天の川銀河もひとつに

秒速122kmで接近中

Munenori Taniguchi
2018年7月24日, 午後07:00 in Space
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アンドロメダ銀河は地球上から肉眼で見える最も遠い天体です。ミシガン大学の研究者らは、われわれがいる天の川銀河にもよく似ているとされるアンドロメダ銀河が、実は約20億年ほど前に存在した巨大銀河を飲み込んでいたことがわかったと発表しました。

銀河が銀河を飲み込むという現象は珍しいことではなく、たとえばおとめ座のM87銀河などは周辺の小さな銀河を飲み込みつつ、大きく成長してきた痕跡が確認されています。

そしてアンドロメダ銀河もまた、現在の大きさになるまでにいくつかの銀河を自らに取り込んできたと考えられます。ただ、具体的にどれ位の銀河を取り込んで成長してきたかといったことは、ほとんどわかっていません。

しかし、人類はここ数十年のあいだにコンピューターを使って高度な計算をこなすことができるようになりました。そしてミシガン大学の研究者らは、コンピューターモデルによる計算を活用してアンドロメダ銀河を分析したところ、ハローと呼ばれる銀河を取り囲む球状領域の大部分が、かつては別に存在していた銀河の残骸で構成されているという結果を得ました。

天の川銀河やアンドロメダ銀河は局部銀河群と呼ばれるグループを形成しています。この銀河群で最大の銀河がアンドロメダであり、2番めが天の川銀河です。そして、アンドロメダ銀河には小ささな伴銀河(Satellite galaxy)M32が付随しています。

M32は非常に小さな銀河であり、アンドロメダ銀河などと同様にある程度古い星々で構成されているものの、その一方で若い星もたくさん存在するという珍しい特徴を持っています。

そしてコンピューター解析によって、このM32はかつてアンドロメダと天の川銀河に次ぐかなり巨大な銀河だったと推測される結果が得られたとのこと。M32pと呼ばれるこの銀河は局部銀河群で3番目ほどの大きさがあったものの、宇宙では比較的最近といえる約20億年ほど昔に、アンドロメダ銀河に飲み込まれていったようです。

この発見は、われわれの近傍の宇宙がどうやって現在の姿になったか、銀河がどうやって成長していくかということだけでなく、われわれの仲間で最大の銀河がどのような性質を持つものかということをも示すものだと言えます。

アンドロメダ銀河は、その色が通常より青く見える青方偏移を伴っています。これはアンドロメダ銀河がわれわれのいる方向に向かって接近していることを示しており、いまから約40億年後には天の川銀河と衝突し、融合すると考えられています。

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さてここからは蛇足ですが、気になるのはアンドロメダと天の川銀河が衝突すると、われわれの太陽系がどうなるのか。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究者は2007年、今から約20億年後ぐらいになれば、接近するアンドロメダ銀河の重力の影響により約12%の確率で太陽系が天の川銀河からはじき出され、さらに3%未満の確率でアンドロメダ銀河に仲間入りするというまさかの銀河移籍説を発表しました。そして、その頃には地球からアンドロメダと天の川銀河の衝突の様子が見えるのだとか。

もしその説が正しいとすれば、宇宙の大スペクタクルショーをかぶりつきの特等席で見られる未来人が少し羨ましい気もしないでもありません。ただ、天の川銀河を離れた太陽系は今よりもはるかに強い宇宙線にさらされることになり、そのときまでに未来人が地球を守る放射能除去装置(?)を開発できなければ、けっきょく地球の生物は滅亡する、というところがこの説のオチと言えそうです。

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