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2018-07-25

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・いろんな「はたらき方」のことが語られているのですが、
 どうも、世の中を俯瞰して、
 全体のことを語っているように見えているのは、
 逆に、「よく見たらおもしろい例」なんかを
 見逃しちゃってるような気がするんです。

 小さい田畑を世話している兼業農家でなく、
 本職として覚悟を決めて、
 事業として農業をやっている人のなかには、
 「知らなかったなぁ」と感心させられる事業家がいます。
 例えば、また完売になってしまった『おらがトマト』
 育ててつくっている北海道余市の中野さん一家。
 詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、
 並大抵でない工夫と手間をかけてるということで、
 さぞかし大変なんでしょうねぇとは、よく言われそう。
 ぼくらも、余市に取材に行ったときに、
 おいしいトマトづくりの苦心について質問してました。

 で、ふと、余計なこととは思いながら、
 「トマトって、冬の間は雪で仕事になりませんよね?」
 と、当然といえば当然すぎるようなことを訊きました。
 「はい。なんにもやることはないですが、
 わたしたちは、冬がたのしみなんですよ」と思わぬ答え。
 「あ、そうですか。別の仕事が待ってるとか?」
 「いやぁ、ほら、冬はスキーですよ。あちこち行きます。
 あとは、温泉めぐりです。たのしいんです、冬は」
 つまり、遊んでるということです。

 一年のうち、できるときにまじめにトマトの仕事をして、
 寒くなって、雪で仕事にならなくなったら、遊ぶ。
 だれに文句を言われる筋合いもないですよね。
 会社員には、そういうことは無理だとか言われても、
 みんながみんな会社員じゃないんだし、
 みんながみんな一年中、毎日のように平均的に
 仕事をしているという義務もいらないんですよね。
 じぶんが経営する事業としての農業なら、
 そういうことだってひとつの選択としてあり得るわけだ。
 はたらくということは、食える分ほしい分だけ稼いだら、
 あとは休もうが遊ぼうが自由に決められるはずですよね。
 中野さんとの会話、ずっと忘れてないんですよ、ぼくは。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「やればやるほど稼げる」か疑わしいし、幸せかどうかも?


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