俺は超越者(オーバーロード)だった件   作:コヘヘ
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『魔王』は思考の海に逃げ込んだ。その隙を彼女達は逃がさない。


閑話 逃避

『番外席次』の告白を俺は『否定』した。

 

 

俺は彼女を『拒絶』はできなかった。

 

 

俺が彼女を愛せない、治せないなら『否定』ではなく、

 

『拒絶』した方がずっと良かったはずなのに。

 

 

何故だ。

 

 

俺はふと、以前ラナーから言われた言葉を思い出した。

 

俺がラナーをナザリックの九階層「ロイヤルスイート」に招待し、

 

ラナーから告白されたときのことだ。

 

 

『あなたは…壊れていますね』

 

ラナーは俺をそう『哀れ』んでいた。

 

何故か今ならはっきりわかる。

 

 

俺はどこか壊れている。

 

 

俺はパンドラズ・アクターとナーベラルに異常を指摘されて『救われた』。

 

だが、その前の、もっと根本的な何かが壊れている。

 

ただ、それを認識したら、俺が大切にしているものが危機にさらされる気がする。

 

 

恐ろしい。

 

 

全くわからないが、何故か『確信』している。できる。

 

 

かと、言って番外席次を受け入れるわけには行かなかった。

 

 

彼女の『愛』では俺の望むものは決して救われないから。

 

 

俺は彼女を『拒絶』できない。

 

『愛』を理解できるからというのは大きい。

 

だが、もう一つ『何か』がある。

 

 

それは知ってはならない。

 

だが、知ることを渇望している。

 

 

 

そのことに、恐怖した俺はしなくて良い仕事を増やし、そこへ逃げた。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

『国』を運営する上でもっとも大切なものは、『財政』だ。

 

極論をいえば、『金』がなければ『国』は成り立たない。

 

理想だけで食っていけはしない。『国』ならなおさらだ。

 

 

 

だが、ナザリックには、転移前から膨大過ぎる『財』がある。

 

 

それに加えて、ナザリックのこれまでの活動で貯めた『財』がある。

 

ラナーやフールーダ等の外部協力者のお陰で『他国』すら、事実上支配した。

 

最も現在、彼らはナザリック所属だ。

 

 

『他国』の支配に関してはデミウルゴスとアルベドがやっている。

 

『王国』に関してはラナーにほぼ任せている。それくらい信用できる。

 

 

ただ、ナザリック運営のためとか言って、

 

パンドラズ・アクターを含めた四人で会議を最近行っている。

 

 

会議の内容は些事なので俺には不要だそうだ。

 

…ひょっとして、俺はもはや不要ではないだろうか。

 

 

 

 

そんな『財政』だが、

 

従属ギルドNPC鉱山掘るマシーン1号・2号の活動があれば実は心配無用だ。

 

ベンゼルとグレールという名の双子の設定の自動人形(オートマトン)。

 

従属ギルド二つが意気投合し作成した双子。昔のアニメのキャラが元ネタらしい。

 

そのキャラについて聞いた俺だが、何故『鉱山設定』や『職業』を加えたのかは不明だ。

 

しかも、二人とも女の子だし。アウラとマーレみたいな感じかと思ったら違かった。

 

少なくとも二つとも『鉱山事件』に関係しているギルド。

 

るし☆ふぁーさんの悪ノリも加わっていることはほぼ確定している。

 

レベル100あるから遊びを加えただけだろう。恐らく深い意味はない。

 

 

 

そんな双子の活躍があれば、税収入がなくても今現在の『魔王国』は成り立ってしまう。

 

飽くまで概算だけみればだが、余裕だ。

 

 

存続させるだけなら、問題ない程に活躍している。

 

今後確実に来る『脅威』への対策には足りないが。

 

 

鉱山を地下に隠蔽していた頃から鉱山を、鉱石を掘りまくっていた彼女たち。

 

『商人』として活動するセバス達の資金源だった彼女たち。

 

ナザリックが所有する鉱山を露出させていた現在、彼女たちの働きは本格化した。

 

 

 

…今更ながら鉱山はこの『世界』でも再生していた。第零階層扱いだ。

 

金もほぼかからないのは変わらない。つまり転移前と同じ鉱山を掘った方が得だ。

 

俺は転移前、ヘロヘロさんに飽きられながらも色々試算していた。

 

なので、鉱山のことについて双子並みに詳しい。もしくは凌駕する。

 

我ながら頭のおかしいことをしていた。

 

 

だが、魔王vs英雄ではそれを利用して、

 

観戦していた冒険者達にありえない『現象』を見せつけた。

 

更地に近い鉱山の即時復活だ。

 

実は生来の貧乏性で鉱石をできるかぎり回収したので黒字だった。

 

…今考えると俺を、『貧乏魔王』と煽ったプレイヤーは正しかった。

 

 

 

双子が、鉱山を毎日掘った結果、様々な方面で使用できた。

 

 

特に建国後は、鉱山から発掘した鉱石で、

 

『魔王国』の貨幣を鋳造できたのは大きい。

 

 

膨大な量の高品質な『貨幣』を鋳造できた。

 

しかも、俺の『魔王』という権威のお墨付きだ。

 

 

結果、近隣諸国での『共通貨幣』に成りつつある。

 

 

『魔王国』は、建国してまだ一年すら経ってないのに、だ。

 

 

これは、『商人』のアンダーカバーが役に立った。

 

今やセバス達が作った『商会』は近隣諸国でも群を抜いている。

 

その『商会』が『魔王国』の貨幣の使用を推進すれば、勝手に商人たちに伝播した。

 

情報が命の商人たちを利用すれば、『共通貨幣』並みの普及は簡単だった。

 

 

 

もはや、名実ともに『共通貨幣』になるのは時間の問題だ。

 

いずれ『他国』の庶民にも広まるはずだと断言できる。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ここまで広まりを見せる魔王国の『共通貨幣』化。

 

上手く行ったのは、ナザリックが誇る頭脳たちのお陰だ。

 

特にパンドラズ・アクターの働きが大きい。

 

 

『設定』で『財政』を司るパンドラズ・アクターは『魔王国』建国前、

 

『世界』がナザリックに依存するための方法として、初手で『共通貨幣』を提案した。

 

 

恐ろしい提案だったと俺は思った。

 

 

寡占企業による経済支配されたディストピア『世界』出身の俺からすれば、

 

この案の恐ろしさが本当にわかっている。

 

 

極端な話。それのみで『世界』を支配できる。

 

 

『共通貨幣』となればナザリックが経済を支配できる。

 

貨幣流通量がコントロールできる。

 

原料は、ナザリックの鉱山からの鉱石で余裕に賄える。

 

 

無限に採掘可能な鉱山ということは、

 

アメリカのニクソンショックの時のような金保有量の減少がそもそも起こらない。

 

 

転移前の貴金属の備蓄は、これまで掘ってきた分を凌駕している。

 

急増する経済活動にも余裕で対処できるだろう。他の手も既に計画済みだ。

 

彼らにも両得なプランだ。きっと乗ってくれる。乗らないなら別の手もある。

 

 

これらは軍事力も経済力も永遠に近い『ナザリック』だからこそできる行為だ。

 

 

この『計画』が完全に実施させれば、

 

今後この『世界』では『覇権国家』すら、生まれなくなるだろう。

 

 

この『世界』が完全に、中世から近世へ移行する『芽』も即座に摘み取れる。

 

…それが良いことか悪いことか正直、俺にはわからない。

 

だが、発展させ過ぎるのが、良くないのは知っている。

 

 

ナザリック引いては『魔王国』そのものが、今現在『覇権国家』になりつつある。

 

 

だが、『覇権国家』は衰退する運命にある。

 

ローマ然り、オランダ然り、イギリス然り。

 

そのどれもが全て諸行無常の結末を迎えている。

 

 

それらは全て体制の不備、欠陥によるものだ。

 

内部分裂の発生、経済力の疲弊、市民革命の勃発等。

 

 

最悪の可能性、転移前の世界。

 

環境が破壊しつくされ、『企業』に寡占支配されたディストピアだけは避けたい。

 

 

最もナザリックは強すぎる。不備や欠陥は、事前に全て摘み取れるだろう。

 

 

だからと言って慢心してはいけない。想定外というのは絶対ある。

 

 

永遠に『世界』を守ると決めた以上、

 

本来は独裁的側面を持つ『覇権国家』は避けるべきだ。

 

多様性こそ求められるべきだと個人的には思う。

 

多様な問題には多様な手段でしか対応できない。

 

…飽くまでナザリックの支配者でない個人の考えだ。

 

 

最低限、表向きだけでも取繕わないといけない。

 

 

近隣諸国の上層部が、『魔王国』に対して、既に匙を投げているとわかっていても、だ。

 

 

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『国』を運営するためには、必要不可欠なものがある。『税金』だ。

 

『税金』というのは極めて難しい。『税金』がないと国は成り立たない。

 

ナザリックみたいなのは例外だ。

 

自分で言うのも変だが頭がおかしい。有り得ない前提。

 

 

『資源』が無限に湧くとか普通に有り得てたまるか。

 

 

…これは、るし☆ふぁーさん達のお陰だ。

 

永劫の蛇の腕輪(ウロボロス)などという反則技がなければ決して有り得ない。

 

俺が、こんな前提の『敵』が戦略を立てて攻めて来たらほぼ負ける自信がある。

 

もし、敵対が避けられないなら、無理やり難癖つけて短期戦前提で戦争を仕掛ける。

 

本当は、そんな相手に戦争なんてやりたくはない。

 

だが、そんな国を放っておいたら、現在勝ててもいつか必ず持久戦で負ける。

 

だから、短期戦にし、速攻で鉱山を支配する。これしか勝てない。

 

思考実験も必要だ。

 

デミウルゴスに今度聞くか。デミウルゴスなら戦略・戦術をどうするか聞きたい。

 

俺のは所詮素人の付け焼刃だ。

 

 

しかし、るし☆ふぁーさんが味方で良かった。…良かったんだよな?

 

 

 

…色々言ったが、表向き『税金』は必要なのだ。『国』である以上は絶対に。

 

 

まさか、現地最強の金属のアダマンタイト(それより上も含む)が無限に掘れる鉱山、

 

ワールドアイテムになる希少金属が定期的に取れる鉱山だと知られるわけにはいかない。

 

 

…熱素石は普通にこの『世界』でも作れた。チート過ぎる。

 

 

このことを知られれば、プレイヤーが攻め込む可能性は否定できない。

 

勝つ自信はあるが、絶対はない。これもデミウルゴス案件だ。

 

 

 

税金は反発がない程度に国が運営できる最低限度は取らないといけない。

 

特に、現状のナザリックは『夜警国家』ではなく『福祉国家』だ。

 

 

本来であればサービスに基づいて高額な『税』を取り立てなければならない。

 

 

そんなことしたら『王国』の貴族と変わらない。やりたくはない。

 

 

 

ナザリックが言えば、即全財産差し出しそうなカルネ村は『例外』だ。

 

 

あの村は対象外だ。想定外過ぎる。論外だ。

 

俺を崇める『宗教』ができつつあるので、『魔王国』中に広まるだろう…

 

 

だが、いつまでもそうあると俺は思えない。

 

 

一時の狂信で終わるはず。精々百年経たないで終わるはず。

 

…きっとそうに違いない。いや、絶対だ。

 

 

 

だから、将来のためにも『税金』を徴収しなければならない。

 

だが、税金を取るためには『産業』がないといけない。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

現地の『産業』を興す必要があった。

 

『魔王国』では、『商人』を表向きにしていない。

 

『魔王国』とは関係ありませんという感じだ。

 

今後はともかく今はダメだ。

 

あからさま過ぎて気づいているだろうが、さらに警戒されたら本当に面倒になる。

 

 

なので、魔王国の『産業』は、医薬品(ポーション等)、食料等くらいしかない。

 

 

もう少し言えば、伝統工芸品くらいか。

 

それはリザードマン達が作っている。

 

 

『商人』や『魔王』、『英雄』を用いてトブの大森林内外の話せる皆とは交易をしていた。

 

 

東の巨人、ウォートロールの『グ』とは、話にすらならなかった。

 

俺は話している最中につい、キレてしまった。

 

こう、ブチって殺してしまった。

 

仕方がないので、『英雄』モモンの名声の糧になってもらった。

 

 

ボール・シリーズで捕獲できない程度には知恵ある癖に、

 

俺が『言葉』で従えられなかった。

 

 

俺は一時自信を無くすほど凹んだ。

 

今のところ、俺に現地最大ダメージを与えた『モンスター』はこいつだ。精神的な意味で。

 

 

 

さらにトブの大森林内の湖の皆、リザードマン達には、

 

ジャンク部屋にあった本の『養殖』の概念等をばら撒いたりした。

 

食料関係に全員困ってそうだったので、交易して発展してもらった。

 

なるべくナザリックの『財』を使わない発展の実験という面もあった。

 

 

だが、労働力としてゴーレム等を貸したりして、住みよい環境を整えるのを手伝った。 

 

『隣人』には繁栄して欲しかったから。

 

若干やり過ぎたが、別に支配したいわけではない。

 

長期的に見れば共存共栄の方が良いだろうと思った。

 

 

後、シム〇ティやっている気分で楽しかったのもある。

 

 

これらの行動の結果、

 

リザードマンを始めとする湖の者達は、自然環境を壊さずに繁栄した。

 

俺が転移前『世界』のことを、ブルー・プラネットさんのことを思い出したのが大きい。

 

 

正直、下手な小国の首都より活気があると思う。

 

そういう国は、まだ書類でしか見たことないけど。

 

 

リザードマン達の村落の竹とんぼもどきや縄跳びとか遠目から見ていて面白そうだった。

 

俺が近くに寄ったとき、それを買おうとした。…使いはしないが何となく欲しくなった。

 

ところが、リザードマン達が即首を垂れた。そして恭しく献上された。

 

 

…コキュートスが、俺を、『魔王』を神格化したらしい。

 

 

『神』扱いを辞めさせようとしたが、またしても不可能だった。

 

 

湖の皆は纏まって、完全にナザリックに従属し、『魔王』を信仰していた。

 

俺、ほぼ何もしてないのに。…いや、したな。アレやり過ぎた。

 

 

初期は何やかんやでザリュースの『生け簀』に口挟んだりしただけだったのだが。

 

リザードマン達の集落へはボール・シリーズの実験のついでに寄っただけだった。

 

 

…本当に。

 

 

『原作』みたく侵攻とか関係なく、

 

たまたま湖に出たのでリザードマンいないか探して見ただけだった。当初は。

 

 

 

俺は空気を読んでそれを公式に認めた。…その場のコキュートスも含む全存在が歓喜した。

 

その後、コキュートスは湖の守護者化した。

 

今現在は、ナザリックの『武技』研究に当たらせている。

 

レイナースや…番外席次も当たらせている。

 

 

なので、湖のもので何か買いたいものがあるときは、

 

こっそりパンドラズ・アクターに買いに行かせている。

 

 

俺が直接見たい時は『モモン』になる。

 

…何が悲しくてこんなことしないといけないのか。

 

 

22世紀の『人間』の俺にとって伝統工芸品は魅力的だった。

 

多分他のプレイヤーも同意してくれる者がいると思う。

 

教科書やゲームでしか見たことない物が実際にあるのは凄い感動だ。

 

勿論細部は違うが。

 

 

ただ、モモンなのでと、ナーベラル連れて行くのは結構キツかった。

 

ナーベラルだって休憩時間はあるのだ。俺の都合で振り回すのは良くない。

 

仕事をこじつけたりするのは大変だった。

 

 

最近急に楽になったが。

 

 

ナザリックに余裕ができたということだろう。

 

それは良いことだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

『商人』について、

 

セバス達が作ったアンダーカバーだ。

 

当初より、規模が大きくなり今では王国・帝国を飲み込む『大商会』だ。

 

『商人』は、布、紙、香辛料、金属、武器等ありとあらゆるものを扱っている。

 

 

そのために当初は従業員を集めるのが大変だった。

 

初期は、『善』のカルマや『設定』の従属ギルドNPCがいなければ頓挫した可能性すらあった。

 

 

途中から、八本指を掌握し、身寄りのない人を集めやすくなった。

 

さらに、セバスが違法娼館から助けた女性達の協力のお陰でかなり楽になった。

 

 

彼女達は飲み込みが本当に早くて助かった。

 

 

この成果には、デミウルゴスも諸手をあげて喜んでいた。

 

やはり、セバスと仲が良いのかもしれない。

 

 

後半からはラナーの伝手で、

 

教養ありながらも働けない人々、見捨てられた人々等も確保できた。

 

 

いわゆる障害者の人達だ。

 

…ディストピア化した転移前の『世界』では真っ先に淘汰されていた人々だ。

 

 

ナザリックはホワイト企業促進のために全力で労働環境は整えてある。

 

 

寧ろ大歓迎だった。

 

『世界』から差別や偏見を無くしていくためには、多少の労力は必要経費だ。

 

 

 

…ただ、従業員が皆、俺を、『魔王』を恐れているらしい。

 

 

そこだけは辛い。

 

 

俺は『商人』の情報を漏らさないように当初、

 

正体不明の真の支配者として、従業員たちに脅しをかけた。慎重さを求めた結果だ。

 

それがおそらく原因だろう。というかそれしかない。

 

 

 

俺のことを漏らそうとすれば、

 

お前達の記憶を消して『解雇』すると脅した。

 

 

 

『無職』は死ぬ。

 

転移前世界なら当たり前の真理。

 

この『世界』でも同じだと聞いていた。実際そうだ。

 

今のところニート等、スルメさんの悪影響を受けた法国の変態くらいしか知らない。

 

物乞いは別だが。…あの者達は失業者だ。

 

 

 

『解雇』とは殺すという意味かとか馬鹿なこと聞いて来た奴がいた。

 

そんなことするわけがないだろうと流石に激怒した。

 

 

 

勿論、情報を漏らさないようにNPCや傭兵モンスター等で見張りをつけている。

 

貴重な人材である、従業員の警護も隠密に行っていた。

 

ナザリックを始めとする肝心な情報は与えていないが、念のため。

 

 

ただ、八本指を掌握していない初期に貴族達に何度も襲われた。

 

そのため、途中で護衛の存在がバレてしまった。

 

報告を聞いた俺は慌ててその場に転移した。

 

 

従業員を囲い込むために丁度良かったので、いつでも君たちを見守っているのだと脅した。

 

これも怖がられる理由の一つだろう。

 

 

存在がバレた護衛達は、状況が状況だけに姿を晒すのが最善だったので許した。

 

もちろん罰は与えたが…本人達が望むので渋々。

 

 

 

彼らの住む寮も作っている。家族も同伴だ。

 

給料とは別に無料で強制的に住ませている。

 

というより従業員は、そうせざるを得ない者しかほぼいない。

 

 

家の中のプライベートまで覗くのは流石に嫌なので、

 

寮には、安否を確認するだけの魔法しか使っていない。

 

緊急時には、即座に救援に駆けつける体制は整えてあるが。

 

 

従業員達には、エルダーリッチ達の『生活魔法』を原料にして作成した試作品を試させている。

 

各種福利厚生に見せかけて、試作品のモニター兼宣伝広告として利用している。

 

さらに言えば製品を持ち歩かせるのは、

 

非常時、『物体発見(ロケート・オブジェクト)』等で追尾可能にするためだ。

 

…つまりは首輪だ。

 

 

そんな俺への恐怖からか、給料いらないとか、休暇とかいらないとか戯言を言い出し始めた。

 

 

もちろん給料も休暇も無理やり取らせている。

 

受け取らないと『無職』にしてやると脅している。

 

 

『魔王』の俺の言うことだけあって、皆涙を浮かべて頷いていた。

 

…少し可哀想になった。

 

 

休暇中には、万が一のために逃亡用アイテムも渡していた。

 

『魔王国』建国後はフールーダにマジックアイテムを作成させ、持たせた。

 

今後はそちらに切り替えていく方針だ。

 

ナザリックの『財』を使わない計画の一環だ。

 

 

これらの努力もあり、ほぼなんの問題がなく『商会』は運営されている。

 

セバスもデミウルゴスもそれを保証している。

 

 

完璧だ。

 

 

転移前、経営学等を学んでいてよかった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

扱う商品は、一部を除きナザリックの『財』を使わない実験成果だ。

 

例えば、『賢者の呪帯』で『生活魔法』をエルダーリッチ達に取得させた。

 

『生活魔法』により、布や紙、香辛料等は大量生産できている。

 

『生活魔法』で鉱石まで作れるのには驚いた。

 

 

現段階では、エルダーリッチ達による簡易な大量生産だ。

 

今後さらにカイゼンしていく予定だ。

 

現地にあってもおかしくない『産業』を実現できた。

 

 

だが、俺の作成したエルダーリッチが作る物は、

 

どうも高品質過ぎてナザリック外の、現地の産業を圧迫している。

 

 

…『失業者』が出られると非常に不味い。

 

自国では不味い。エ・ランテル支店がある。

 

 

言い方は悪いが、『魔王国』では、無税で食っていけるような人間を生みたくはない。

 

 

もちろん、諸事情があれば別だが。

 

 

程よい緊張感がないと自堕落になる。

 

なので、税金は諸外国よりかなり安いとはいえ取り立てると宣言してある。

 

散々言っておいて、民衆が自堕落になりそうな程に甘いのは自覚している。

 

 

今はある建国から一年経ってないのと、広がる『狂信』で保っている。

 

スルメさん。宗教って本当に凄い。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

ここまで並び立てたのは、

 

『重要業績評価指数』をまとめるために仕事に没頭していたからだ。

 

各政策分野を構成する施策ごとに効果を調べ、数値化していた。

 

 

ナザリックが経済面で負けないことを確信した。

 

ならば、政策に反映させるために今までやってきたことを並べ立てた。

 

 

『財政』の三機能というものがある。要は国が行う経済行為をまとめた三つだ。

 

・資源配分機能 要は公共サービス。正直もう十分だ。回復エルダーリッチ達が控えている。

 

・所得再分配機能 ある意味、税金以上の物を再配分している。俺いらない。

 

・経済安定化機能 パンドラズ・アクターを中心にやっている。俺いらない。

 

政策に反映させることがなかった。

 

 

いや、あるにはあるが。それにはコキュートスとの調整が必要だ。

 

監視はもう既にしてあるからいつでもいける。

 

まだ安全だから、早めに片づけたい。

 

 

とはいえ、俺が逃げる為に仕事をしてわかったのは、

 

もうそこまで仕事しなくて良いという事実だった。

 

 

 

それでも仕事を頑張って探して働いた。日常の業務も含めて。

 

 

デミウルゴスからスクロール牧場の最新の成果を聞き終えて追加の指示した当たりで、

 

俺は倒れた。

 

 







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