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世の中には色んな言葉がありますが、ある言葉が流行り始めると、一種の社会現象となって、それに類する言葉が次々と生まれることがよくあります。
たとえば、就活、婚活・・・といった「〇活」言葉がそれですね。〇活のキングとも言える「就活」は、誕生してから 20 年前後経ちますし、「婚活」も 10 年近く使われ続けています。どちらもかなり年季の入った言葉となっています。
最近では、都民ファーストなどの「〇〇ファースト」言葉がありますし、仮想現実(VR)や仮想通貨といった「仮想〇〇」言葉もあります。いずれも、その時代の社会を反映していますし、言葉から流行も分かって面白いですね。
自分も何か、新しい「〇〇言葉」を考えて世に送り出せないものかと、つい考えてしまいます。ちょっと、頭の中でゴニョゴニョしてみました。
〇〇ファースト
「〇〇ファースト」という言葉。最近よく使われていますね。「〇〇を第一に考える」とか「〇〇第一主義」といった意味です。
どんな使われ方があるかというと・・・
■ アメリカファースト
米国で、かつて国力が低下した際に、国際的な問題への関与は可能な限り抑えつつ、国内問題を優先的に解決していこうとして唱えられた「米国第一主義」の考え方です。
現在のトランプ大統領も、大統領選の期間中から一貫して訴えており、就任演説でも「アメリカファースト」を宣言しました。
■ 都民ファースト
もう説明の必要もないですが、2016 年8月に就任した小池百合子・東京都知事の理念である「都民第一主義」の考え方です。「都民ファーストの会」という地域政党も発足しており、一般的な用語として定着していますね。
■ その他ファースト
上に挙げた「ファースト」以外にも、いろんな「ファースト」があります。
「顧客ファースト」(お客様ファースト、ユーザファースト)は、最近の企業経営の定番ですね。また、顧客ファーストを実現するのに、まずは従業員の満足を、という考え方で、「従業員ファースト」(社員ファースト)という言葉も一般的になりつつあります。
さらに、社会的な課題などをテクノロジで解決しようとする「テクノロジファースト」なんてのもあります。
個人に目を向けると、「あなたファースト」「自分ファースト」という言葉も見かけます。それぞれ「あなたのことを第一に考える」「自分のことを第一に考える」という意味ですね。もう、何でもありです。
■ トゥルースファースト(Truth First)
少し前、トランプ大統領の誕生と前後して、「オルタナティブファクト」「フェイクニュース」といった言葉とともに、「ポストトゥルース(post-truth)」という言葉が流行しました。日本語では「ポスト真実」「真実後」などと呼ばれ、真実よりも感情の方が世論形成に大きく影響することを意味します。つまり、真実よりも感情が優先されるわけです。今まさに、そのような時代です。
さらに、「ポストトゥルース」は「真実後」の時代を象徴しているわけですが、その状況を「本当の真実に到達する前の踊り場」と希望的に捉えて、「真実前」つまり「プレトゥルース(pre-truth)」とする見方もあります。
いずれにしろ、真実の喪失を嘆いたり「真の真実」を待ちわびたりする気持ちがあるなら、それは真実を第一に考えたいという心の表れであり、「トゥルースファースト(真実第一主義)」と言えますね。
「〇活」言葉
次に、「〇活」言葉を頭の中でゴニョゴニョしてみました。
まず、どんな「〇活」があるかをまとめてみると・・・
生活 | 生体として生きる活動(生物の基本) |
部活 | 部活動(日本最古の「〇活」かもしれません) |
就活 | 言わずと知れた「就職活動」 |
転活 | 転職に向けた準備活動 |
恋活 | 恋愛対象(恋人)を探す活動 |
婚活 | 結婚に向けた活動 |
妊活 | 妊娠するための活動 |
産活 | 妊娠後、無事に出産を迎えるための活動 |
保活 | 特に都市部で、子どもを保育所に入れるための活動 |
育活 | 子どもを育てる活動 |
離活 | 離婚に向けた準備活動 |
終活 | 人生の終わりに向けた準備活動 |
朝活 | 朝の始業前の勉強や趣味などの活動 |
寝活 | 寝付きをよくする活動 |
眠活 | 質の良い睡眠を追及する活動 |
温活 | 身体を温めて、冷え症に立ち向かう活動 |
友活 | 友達を作るための活動 |
美活 | 美を求める活動 |
涙活 | 意識的に涙を流してストレスを発散する活動 |
便活 | 腸内環境を整えて、気持ち良い排便を行うための活動 |
菌活 | 身体に良い菌を取り込んだり、腸内で育てたりする活動 |
韓活 | 韓国で生活するための活動(韓国に詳しくなる活動) |
ラン活 | 小学校入学を控えた子どものランドセルを選ぶ活動 |
ソー活 | ソーシャルメディアを利用した活動(主に就職) |
パパ活 | ・・・・ |
ハム活 | アマチュア無線の活動 |
メンチ活 | 主に関西地方で、相手をにらみつける活動 |
個人に関する活動をザッと考えただけで、こんなにもあることが分かりました。
■ 何故そんなに活動するの?
どこかで誕生した言葉が定着するのは、その言葉が便利で需要があるからです。
そして、言葉に需要が生まれるのは、たとえば書籍で使用したりニュースで取り上げたりすることで、耳目を集めやすいことが1つの理由です。個人の立場で考えるなら、人と思いを共有したり、言葉で自分を鼓舞したり、活動をアピールしたり、といった理由が挙げられます。
ところで、上に挙げた「活動」の多くは、「努力」という言葉で置き換えられます。当然、何かの活動をするには、努力も必要となってきます。
でも、日本人は、そんなに努力が好きなのでしょうか。
一方、「アピール」という点で少し見方を変えると、多くの活動は「人と同じがいい!」という、如何にも日本人的な欲求の現れのような感じもします。同調圧力の強い日本だからこそ生み出された言葉たちなのかもしれません。
「人と同じが良いから、努力して試練に立ち向かう」という姿勢は、たまに聞く「日本人は自己満足度が低い」という調査結果に通底するものです。
日本人は、常に自分を他人と比較して、他人より劣っている自分を受け入れられない、という解説をよく耳にします(優劣の意識が強いと言えます)。
自分自身を絶対的に評価できないので、「〇活」という言葉で自分自身を奮い立たせつつ、他人より劣っている部分を克服するために活動している(あるいは、そのように見せかけて自己満足を得ている)、ということなのかもしれません。
■ 同調度チェック
せっかく 27 個も「〇活」を書き出したので、独断と偏見で「同調度チェック」を考えてみました。27 個の項目のうち何個当てはまるかに応じて、「同調度」をランキング形式にしています。当てはまる項目数が多いほど、他人に同調する傾向が強い、ということになります。
【同調聖人】= 21 項目以上
あなたは、他人に同調せずして生きてはいけません。今後も、それをあなたの良さとして、大いに他人に同調して、新たな「〇活」言葉が登場するたびに、欠かさずそれを実践していきましょう。
【同調大臣】= 16 ~ 20 項目
あなたは、なかなかの同調度ですが、分野によっては他人への同調が不足しています。同調聖人になりたければ、27 項目の中で未経験のものについて、早速実践してみましょう。聖人になってみないと見えない景色がありますよ。きっと。
【同調先生】= 11 ~ 15 項目
あなたは、中途半端な同調度です。もっと精進して同調度を高める道を選ぶのか、それとも、他人に同調するのはこれぐらいにして、あなたらしい、あなたしか歩めない道を選ぶのか、その選択の岐路に立っていると考えるのが良いでしょう。さぁ、どうしますか。
【同調庶民】= 6 ~ 10 項目
庶民がなんとなく落ち着きますね。
【同調遊民】= 5 項目以下
あなたの頭の中には、もはや「同調」という概念が存在しないのかもしれません。世界中、どこの国へ行っても、力強く生きていけることでしょう。
ちなみにボクは、「庶民」です。
■ 新しい「〇活」
「〇活」言葉がこんなにも多いのは、日本の同調圧力が理由の1つではないかと勝手に決めつけ、独断と偏見で「同調度チェック」まで考えてしまいました。
そして、自分も何か1つ「〇活言葉」を編み出せないものかと頭の中でゴニョゴニョしてみた結果、同調の逆をゆく活動が良いのではないかと思い至りました。
つまり、多くの活動が同調圧力を忖度したものであると考えるなら、あえて同調圧力を忖度せずに無視するような活動があってもよいのではないか、ということです。
世の中の流行に追従せず、他人を羨ましく思わず、他人と比べず、何ごとも自分1人の絶対的な価値観で決断していく姿勢。これこそ、今の時代にふさわしい活動ではないでしょうか。
そこまで考え、編み出した言葉は、
そうです。孤独を尊重し、何ごとも独りで決断していく活動です。
「どっかつ」
いい響きです。
さっそく、検索してみました。
【独活】
ウコギ科の多年草。山野に生え、高さ約 1.5 メートル。茎は太く、葉は羽状複葉で、互生する。夏、薄緑色の雄花と雌花とが球状につく。若芽は柔らかく、香りがあり、食用。栽培もされる。
― デジタル大辞泉
ふむふむ。
要は、アレですね。
酢味噌和えなどでいただく、ウド ですね ・・・
独活=ウド
独活=ウド
独活=ウド
独活=ウド
独活=ウド
独活=ウド
独活=ウド
独活=ウド
・・・ ウド、美味しいですよね。
漢字を知らないと、こういうことになります。