従来モデルより大型化し、より広い空間で聞きやすいスタイルに

 ボーズのパソコン用の2chステレオスピーカーとしては、2006年12月発売の「Companion 2 Series II multimedia speaker system」(直販価格1万2600円)、2007年11月発売の「Computer MusicMonitor」(直販価格3万9480円)に次ぐモデルとなる。ボーズのスピーカーは「小型で高音質」というのがウリだが、今回のCompanion 20は従来の2モデルに比べて大型化している。

ボーズの従来モデルのPC向けスピーカーと大きさを比較してみたところ。左が2007年9月発売の「Computer MusicMonitor」(直販価格3万9480円)で、中央が2006年9月発売の「Companion 2 Series II multimedia speaker system」(同1万2600円)、右が最新モデルのCompanion 20(同3万3600円)だ(画像クリックで拡大)

 ボーズ広報の清水氏によると、「Companion 20は『Room Filling Sound』、つまり部屋中を満たすサウンドというコンセプトで作られております」という。サブウーファーがなくても自然な低音感を実現し、サウンドをスピーカーの外側に広げることで音の「スイートスポット」を広げることに成功した。

 従来のモデルはパソコンの前に座って聴くことを想定しているためスピーカーが上の方に付いていて傾斜が急になっているが、Companion 20はスピーカーが下の方に付いていて傾斜も緩やかになっている。

PC向けスピーカー3モデルを正面から見たところ。Companion 20はスピーカーの位置が最も低いのが分かるだろうか(画像クリックで拡大)

Computer MusicMonitorはPCデスクなど至近距離で聞くために傾斜がきつくなっており、Companion 2、Companion 20とその傾斜が緩やかになっているのが分かる(画像クリックで拡大)

 iPodやウォークマンなどの携帯音楽プレーヤーを楽しむ人のほとんどは、iTunesやx-アプリなどの楽曲管理ソフトを活用していることだろう。パソコンにため込んだ楽曲をCompanion 20で再生し、部屋でゆったりと聴けるようなスタイルになっているのだ。

 実際にいくつかの曲を聴いてみたが、ボーズは「ドンシャリ系(ドン=低音、シャリ=高音が強調されたサウンド)」などと言われることもあるが、サブウーファー非搭載のため低音が強調されることもなく、ボーズらしいシャキッとしたサウンドを楽しめた。

コントロールポッドにアナログ音声入力端子を備えているので、iPhoneやiPadなどを手軽に接続できる(画像クリックで拡大)

iPadに接続したところ。パソコンのiTunesから再生するというのが“筋”だろうが、このようにiPadやiPhoneから直接音楽を再生するというのも悪くない(画像クリックで拡大)

 Casiopeaの『Step Daughter』はカッティングギターの音がシャッキリして心地よく感じられた。MISIAの『Everything』はストリングスの空気感、アコースティックギターの清涼感、女性ヴォーカルのふくよかさをたっぷりと感じることができた。

 ボーズの新製品発表会では、製品を見せる前に音だけ聞かせて、その後に隠してあったスピーカーを見せるといった仕掛けがなされることがたまにある。その音質やサラウンド感を体験した後に覆われた布が取り払われると、あるはずのスピーカーがそこにはない、もしくは思ったよりもはるかに小さなスピーカーが登場する……そんな“サプライズ”が待っているというわけだ。

 Companion 20のサウンドを目をつぶって聴いてみると、その発表会の時と同じような感覚があった。すべての楽曲でというわけではないが、MISIAの『Everything』を聴いた時などには、視聴室全体に広がる空気感と音の広がりに圧倒された。ボーズのブランド性とクールでおしゃれなスタイルだけでなく、音でも多くの人が満足できるのではないだろうか。