糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの

07月23日の「今日のダーリン」

・いまごろ『スローターハウス5』という映画を観た。
 ボネガットの小説を続けて読んでた時期があるけど、
 映画はまったく観たことなかった。
 よく映画にできるものだなぁというだけでも感心したし、
 1972年の作品なのに映像がかっこいい。
 音楽もいいなぁと思ったらグレン・グールドだった。
 こういう使い方もセンスいいなぁ。
 録画を消すつもりで頭だけと思って観はじめたのに、
 まるまる観て、これは、ほんとによかったなぁ。

・『犬と猫 どっちも飼ってると 毎日たのしい』という
 これはタイトルどおりのマンガなんだけれどね。
 作者の家の犬くんは、お菓子の袋をあけるたびに、
 「くれるの?くれるの?」とすっ飛んでくるんですね。
 今まで一度ももらえたことがないんだから、
 いいかげんあきらめろ、と作者は思うのですが、
 唐突に、「はっ!」と気づくんです。
 こいつは…「今までもらえなかったからあきらめる」
 じゃなくて
 「今日は はじめてもらえる日かもしれない」
 そう思って生きているんだ。
 キラキラと目を輝かせた犬が描かれています。
 こんな犬に、ぼくは憧れてしまいます。

・『スリービルボード』という映画も観ました。
 全体にみごとな出来栄えで感心しきりだったのですが、
 監督と脚本のマーティン・マクドナーという人が、
 まずは大変にすばらしいんじゃないかと思いまして。
 彼の監督脚本作品を探したわけです。
 そしたら『セブン・サイコパス』というのがあった。
 これが、イカれててひねくれてて頭よさそうな作品で、
 とてもアカデミー賞にはならなそうなコメディでした。
 しかしね、こういうのをつくってる作家にお願いして、
 メジャーのどまん中を通行できる作品をつくらせるとは。
 ハリウッドって、いつもこうやって底力つけていく。
 大レストランの周りを、屋台が囲んでるような構造だ。

・レール(線路)を引こうとしちゃいけないんだ。
 道のないところでも走れる自動車で旅をしなきゃね。
 時刻表なしでも走れるし、ヒッチハイカーも乗せられる。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ワールドカップで徹夜した時間分を、映画や小説に使う。