成人で食物アレルギーの人、あるいは周囲に食物アレルギーの人がいるという人が増えている。その原因は子ども時代からの食物アレルギーが改善していないケースや、大人になってから発症したケースなどさまざまだ。こうした大人の食物アレルギーが改善しない背景には、「正しい情報が行きわたっていない」ことや「大人の食物アレルギーを診断できる医師がいない」ことなども関係しており、不利益を生む検査の広がりや、「不要な食物除去」の原因にもなっている。今回はこの不要な食物除去と、「IgG検査」について解説する。
「大人の食物アレルギーが増加中? 人間関係に支障も」で取り上げたが、大人の食物アレルギーは診察できる医師が不足している。これは「食物アレルギーは子どもが主体の病気のため、ほぼ小児科で扱う」(昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成氏)ためだ。
現時点では成人の精度の高い大規模な調査はないが、食物アレルギー罹患者は増えていると考えられている。
食物アレルギーはまだまだ解明されていないことが多く、それがかえって、不要な検査、ひいては不要な食物除去の要因にもなっているという。
その一つが「遅延型アレルギー(食物過敏)」だ。
「検査キット」が3万~5万円で販売
遅延型アレルギーについて検索してみると、「特定の食品」を食べたときに、すぐに大きな症状が出なくても、なんとなくだるかったり、不調を感じることがあるかどうかを尋ねるような文言が散見される。あるいは女性をターゲットにしたサイトでは、「特定の食品」が体重コントロールの妨げや、肌のトラブルの要因になるかのような表現を目にすることもある。
現代人のライフスタイルを考えれば、食品が原因でなくてもこうした不調が生じることは多そうだが、その原因を「食品」に求めようとする動きがあるわけだ。
さらにインターネットの通販サイトでは「検査キット」が3万~5万円で販売され、検査結果を受けて「グルテンフリー生活」や「鶏卵除去生活」を送っているという主旨の発言をしている人もいる。
こうした遅延型アレルギーと呼ばれるものの検査に数多く利用されているのが、「IgG抗体検査」だ。この検査に意味はあるのか。
今井氏は、「IgGはアレルギー反応を抑えようと働く抗体なので、誰でも数値の上下があるもの。この検査結果を受けて、特定の食物を除去するというのは意味がない」という。
ではなぜ検査は広まっているのか。