高プロを目の敵にしながらスタッフ管理職には無関心な人々の群れ@WEB労政時報
WEB労政時報に「高プロを目の敵にしながらスタッフ管理職には無関心な人々の群れ」を寄稿しました。
https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=775
去る6月29日にようやく働き方改革関連法が成立に至りました。しかしその国会審議では、これまで青天井だった時間外労働に(少なくとも成人男性には)初めて上限規制が設けられるという画期的な規定をめぐる議論は脇に追いやられ、「脱時間給」を目指して労働時間規制を全て外す高度プロフェッショナル制度に議論が集中しました。そしてその議論には奇妙なねじれがいくつもありました。そもそも、今から100年前に制定されたILO第1号条約すら批准できないくらい、時間外労働に対する規制が弱い現代日本の労働時間規制を、あたかもそれによって長時間労働が確実に規制されており、それゆえ過労死の心配などかけらもないものであるかのように描き出し、高度プロフェッショナル制度はその厳格な規制を解除するものであるから、それが成立してしまったら過労死が続出する、というまことにズレ切った議論が展開されたのです。もし本当にそうであるならなんと良いことであったでしょうか。悪辣な政府が導入を試みる高プロさえ潰してしまえば、日本の労働社会は過労死の心配などない素晴らしい社会であり続けられるのですから。そしてそういう認識に立っているならば、悪逆無比の高プロを潰すために、働き方改革関連法案自体を廃案にしろと言いつのってみせるのも、まことに論理整合的な行動であったと評せましょう。ただ一つ残念なのは、現実の日本の労働時間規制は毎年何百人もの一般労働者が、そう高度でもプロフェッショナルでも何でもない一般労働者が、青天井の労働時間規制のおかげもあって、過労死、過労自殺し続けている社会であることです。 ・・・
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