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倉敷・真備で保管の古文書無事 29万点、支所浸水も水没免れる

貴重な公文書などが保管されている倉敷市真備支所の歴史資料整備室=20日午後2時40分

浸水した高さを示す線を指さす山本さん。泥水は2階直下まで迫った

 西日本豪雨で浸水した倉敷市真備支所(同市真備町箭田)に保管されている、歴史的な公文書や古文書など計29万点が、瀬戸際で水没を免れていたことが分かった。関係者は「資料を滅失すれば“倉敷の歴史”を失いかねなかった」と安堵(あんど)。一方、建物の浸水や空調機能の喪失で保存環境は悪化し、復旧の見通しも立っていない。

 市真備支所(鉄筋コンクリート3階建て)2、3階にある歴史資料整備室(計約800平方メートル)。市の歴史資料を体系的に調査、収集、保存している。収蔵資料は、明治以降の公文書7万8千点▽室町時代以降の古文書14万5千点▽戦前から現代までの写真やフィルム4万8千点―など29万点に上る。

 豪雨による堤防の決壊などで、市真備支所は1階部分が天井まで水没。階段壁に付着した浸水の痕跡を見ると、泥水は2階床面から下20センチ程度まで迫ったが、そこでとどまったようだ。整備室の資料は全て無事だった。

 資料は、倉敷村や倉敷町(いずれも現倉敷市)の議事録や、室町幕府の初代将軍・足利尊氏の感状(県指定重要文化財)など歴史的に貴重な物が多い。それらのコピーや電子データはほとんどなく、失われると取り返しがつかないという。

 市総務局副参事で整備室担当の山本太郎さん(56)は「倉敷エリアの歴史や、権力者の意思決定の過程を示す資料が、整備室に一堂に集まっている。無事だったのは不幸中の幸いだ」と話す。

 ただ、現時点で市真備支所は電気が使えず、整備室で稼働していたエアコンや除湿器もストップ。高い湿度や室温によってカビや害虫が発生するリスクは上昇している。山本さんは2、3日に1回は整備室の窓を開け、換気に努めている。

 山本さんは「貴重な資料を適正に保存するためにも、一日も早い復旧が求められる」としている。
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