うきよのおはなし~江戸文学紹介ブログ~

江戸文学に少しでも興味を持つ方が増えれば良いなと。

住職は少年を愛でたのでした。 ~「青頭巾」(『雨月物語』より)その3~

「青頭巾」[『雨月物語』より]続きだよ!

なんだか興奮してきた!

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※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています
霞亭文庫書誌詳細
※画像はクリックすると拡大します。

翻刻

上の山に一宇の蘭若(てら)の侍(はべ)る。故(もと)ハ小山氏の菩提院(ほだいゐん)にて。
代々(よゝ)大徳の住給ふなり。今の阿闍梨あじやり)ハ何某(なにがし)殿の猶子(ゆうじ)に
て。ことに篤斈(とくがく)修行(しゆぎやう)の聞えめでたく。此国の人ハ香燭(かうしよく)を
はこびて帰依(きえ)したてまつる。我荘(いへ)にもしば/\詣給ふて。
いともうらなく仕(つか)へしが。去年(こぞ)の春にてありける。越(こし)の国へ水(くハん)
丁(でう)の戒師(かいし)にむかへられ給ひて。百日あまり逗(とゞ)まり給ふが。他(かの)
国より十二三歳なる童児(わらハ)を倶(ぐ)してかへり給ひ。起臥(おきふし)の扶(たすけ)と
せらる。かの童児(わらハ)が容(かたち)の秀麗(みやびやか)なるをふかく愛(めで)させたまふて。
年来(としごろ)の事どもゝいつとなく怠(をこた)りがちに見え給ふ。さるに茲年(ことし)
四月(うづき)の比。かの童児(わらハ)かりそめの病に臥(ふし)けるが。日を経ておもく
なやミけるを痛(いた)ミかなしませ給ふて。国府(こうふ)の典薬(てんやく)のおも
だゝしきをまで迎(むか)へ給へども。其しるしもなく終(つひ)にむなしく

赤字が前回のくずし字クイズの答えです。


【現代語表記】

上の山に一宇の蘭若[寺](てら)の侍(はべ)る。
故(もと)は小山氏の菩提院(ほだいゐん)にて、代々(よよ)大徳の住み給うなり。
今の阿闍梨あじゃり)は何某(なにがし)殿の猶子(ゆうじ)にて、殊(こと)に篤学(とくがく)修行(しゅぎょう)の聞えめでたく、此の国の人は香燭(かうしよく)を運びて帰依(きえ)し奉る。
我が荘[家](いへ)にもしばしば詣で給うて、いとも裏無く仕(つか)えしが、去年(こぞ)の春にてありける。
越(こし)の国へ水丁[灌頂](かんじょう)の戒師(かいし)に迎えられ給いて、百日余り逗(とど)まり給うが、他[彼](か)の国より十二・三歳なる童児(わらわ)を倶(ぐ)して帰り給い、起(お)き伏(ふ)しの扶[助](たす)けとせらる。
かの童児(わらわ)が容[形](かたち)の秀麗[雅やか](みやびやか)なるを深く愛(めで)させ給うて、年来(としごろ)の事どもも、いつとなく怠(おこた)りがちに見え給う。
さるに茲年[今年](ことし)四月(うづき)の頃、かの童児(わらわ)仮初(かりそめ)の病に伏(ふ)しけるが、日を経て重く悩みけるを、痛(いた)み悲しませ給うて、国府(こうふ)の典薬(てんやく)の重だたしきをまで迎(むか)え給えども、其の験(しるし)も無く、終(つい)に虚(むな)しく

【さっくり現代語訳】

(この里の)山の上にお寺が一つあり、代々、徳の高いお坊様住職をされてきました。

もともとは小山氏武家菩提寺として創建されたで、今の住職は、あるお殿様甥っ子[養子?]で、熱心に勉強され、修行に励んでらっしゃったので、この国の人々は、お香ロウソクを納めたりして、慕っていました。

私の家にもよくいらっしゃって、とても親しくお付き合いさせていただいていたのですが、あれはそう、去年の春のことでした。

住職は、北陸のある国灌頂戒師[仏教の儀式で重要な役割を果たす僧]として招かれ、百日あまり滞在されていたのですが、その際、身の回りの世話をさせるために、十二・三歳の少年を連れて帰りました。

その少年の姿があまりにも美しいので、住職はとても深く愛されて、日々の修行もだんだんサボりがちになっていきました。

ところが、今年の四月頃、その少年ちょっとした風邪程度の感じで寝込んだのですが、日に日に症状重くなっていき、危ういばかりになってしまいました。

住職は心を痛めて悲しみ国府[今で言えば県庁のようなもの]に勤める医者の中でも名医とされる方を招いて治療しましたが、その甲斐もなく、とうとう亡くなって

【解説】

快庵禅師が泊めてもらった主人が語るの続きです。

このにあるお寺住職のお話なのですが、住職出張先から「童児」を連れて帰るわけです。

この当時のお坊さん女性交わるのはご法度だったので、女性を置くわけにはきません。

あ、もちろん檀家の女性話すことぐらいは問題なかったでしょうし、諸国行脚滞在先女性がいたとしても問題はなかったでしょうが。

はい、「童児」はもちろん少年なわけです。

この少年は、いわゆる「稚児」ですね。

「稚児」とは剃髪前少年修行僧の事でして、ここに登場する少年のように、住職身の回りの世話をする場合もありました。

本文中では「起き伏しの助け」とありますが、さて、身の回りの世話とはナニをするのでしょうか???

シンキングターイム!

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終了~っ!

はい、身の回りの世話とは下半身のお世話です。

そう、お坊さん女性交わるのがご法度だったので、代わりに男性ペロペロチョメチョメしたわけです。
はてなから怒られるといけないので、なるべくカワイイ表現に言い換えるようにしていますw


しかも相手は少年、今だったら完全に児童虐待で通報です。

少年から大人への境目年頃が一番のご馳走だったみたいですよ。

でよく発症する病気だから「痔」という漢字が出来たという俗説があるくらいです(笑)

ちなみに、どうしても女性を置きたい生臭坊主は、女性男装させて囲っていました(笑)

その手の話もまた紹介できたらなと。

雨月物語出版された時期武家町人男色はもう廃っていたのですが、寺院での男色は依然として続いていました。

実は男色が一番盛んだったのは寺院なんです。

なにしろ、室町時代には「稚児物語」ってジャンル作品群があるくらいですから。

「稚児物語」のパターンでは、稚児亡くなったあと、稚児菩提弔って修行励むのですが、はてさて、青頭巾ではどうなるのでしょうか?

次回に続く!

次回予告とくずし字クイズ

うわあ、なんだかとんでもないことになってます。。。

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ヒントっ!

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このあたりの字はよく出てくるので、軽いヒント

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三つ目コーナー

次回は人を食べる描写があるから、閲覧注意とか書かなきゃだめかなあ。

そうだね「食描写有り!」って書かないと!

待て!「食だったらただのグルメ記事やん!

書くなら「食描写有り!」じゃね?

 

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