(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年7月21/22日付)
この会談は、今年最大の地政学的イベントの一つと謳われていた。
米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジミール・プーチン大統領がフィンランドの首都ヘルシンキの大統領宮殿で記者会見を開くのを世界が待つなか、頭上のバルコニーからは、記者たちが状況を説明する声が聞こえてきた。
ヘルシンキは過去にもサミットの開催地になった。
1990年に父親の方のジョージ・ブッシュ大統領とミハイル・ゴルバチョフ大統領が会談したのも、1997年にビル・クリントン大統領とボリス・エリツィン大統領が会談したのも、この街だった。
だが、今回のようなサミットはなかった。
「どっち側が花嫁でどっち側が花婿か分からないけれど、我々は結婚式にいるような感じがする」
CNN記者のジム・アコスタ氏は米国とロシアの記者団が部屋の反対側に座っている様子を説明しながら、こう言った。
だが、米ロ両国の大統領が2時間の密室会談も含む協議を終えて会見場に入ってきたとき、その場の雰囲気はむしろ葬式のようだった。