マスコミ報道があんまりな状況にあるのは、本コラムの読者であれば、既にご存じだろうが、今回も「あんまりな報道」について、2例を挙げながら取り上げたい。
一つ目は、テレビのコメンテーターである野村修也弁護士に対する、第二東京弁護士会の処分に関する報道だ。野村弁護士は、2012年4月に、大阪市市職員の不祥事を調べる第三者調査チームの責任者として活動し、報告書を出している(http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000161/161367/saisyuhoukoku1.pdf、http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000161/161367/saisyuhoukoku2.pdf)。
その過程で第三者調査チームが、市の全職員を対象に行ったアンケート調査について、「内容に問題があった」として、第二東京弁護士会は野村弁護士に「業務停止1ヵ月の懲戒処分」を課した、と報道されている。
当人は自分の行為を正当化するような発言をしていないが、本件に関する民事裁判では、アンケート項目の一部は「政治活動の自由への萎縮効果をもたらす」と考えられるものの、「本件アンケートが市職員の思想良心の自由を侵害したものとは言えない:と認定されて、野村弁護士個人に対する責任追及はすべて棄却されている。
何より、上記報告書では、大阪市役所の職員による不正行為の実態が明らかにされている。下図は、報告書中にあるものをまとめたものだが、空恐ろしい実態だ。いずれにしても、弁護士会の判断と裁判所の判断の違い、また報告書そのものの中身を報道しないと、バランスがとれた報道とは言えないだろう。
にもかかわらず、多くのメディアはさも野村弁護士に大問題があったかのように報道していた。これは、あんまりだ。
二つ目は「IR法」に関する報道である。IR法は、正式には「特定複合観光施設区域整備法」(http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19605064.htm)というが、報道ではもっぱら「カジノ法」といわれている。
これは、全体で259条にもおよぶ大がかりな法律だ。この中でカジノに関する条文は第39条から第230条まで、ととても多いが、実際、この法律に沿ってリゾート施設がつくられる場合、カジノ施設が占める割合は全体の3%以内である。海外のIRに行けばわかるが、全体のリゾート施設における、カジノの面積はごく小さい。
筆者が問題にしたい報道は、7月21日、TBSの「新・情報7days」である。番組の中で、IR法を「トランプ法」と呼び、成立を急いだのは、トランプ政権への配慮、と指摘していたこと、さらにキャスターの安住紳一郎が「カジノ法案が通るくらいなら、パチンコ屋さんにも頑張って欲しいですね」と述べたことは、大きな問題があると思う。
後者については、IR推進論者である松井大阪府知事もツイッター(https://twitter.com/gogoichiro/status/1020674195368247296)で、
とあきれていた。
まず「トランプ法」との決めつけについてであるが、事実誤認である。この解説をしたのはアメリカ政治を専門にする学者であったが、日本でのIR法の成立の経緯を知らなかったようだ。