長野県佐久市の佐久医師会が作った熱中症予防のポイントをまとめたパンフレットが、インターネット上で分かりやすいと話題になっている。

佐久総合病院佐久医療センター小児科の坂本昌彦医長に話を聞いた。

佐久医師会の熱中症予防パンフレット

医師会のプロジェクトチーム「教えて!ドクター」が作成したパンフレット「熱中症予防のポイント」では、症状ごとの対処方法や予防のポイントなどをイラストを交えて分かりやすく紹介。

同プロジェクトのサイトで、誰でも見ることができる。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 出典:「教えて!ドクター」ホームページ

佐久医師会「熱中症予防のポイント」出典:「教えて!ドクター」ホームページ

「雨上がり」はハイリスク

坂本医長によると、パンフレットは気温と湿度が上がる梅雨明けに作成を思い立ち、熱中症のリスクを心配して急ピッチで作ったという。

熱中症とは、主に初夏から夏にかけて環境に体が適応できないことで起こる様々な症状の総称。

梅雨明けの暑いときなど、湿度が残っている状態で気温が上がる高温多湿な雨上がりは発生リスクが高いといい、パンフには予防のポイントとして「梅雨の合間の晴れ間・梅雨明け・30度以上は注意!」と記している。

環境省の熱中症予防情報サイトが提供している「暑さ指数」を基に判断すると良いという。

出典:「教えて!ドクター」ホームページ

屋内でも要注意

熱中症といえば野外で発症するイメージが強いが、屋内でもリスクが高い。空調が不十分な体育館で熱中症になることもあるそうだ。

冷房を我慢して家の中で熱中症にかかるケースもあり、「『外にいないから大丈夫というわけではない』と気を付けてほしい」と話す。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 出典:「教えて!ドクター」ホームページ

薄い色など服装にも工夫を

服装でも、「薄い色」や「吸湿性・通気性の良い素材」、「帽子の着用」がポイント。直射日光を避け、保冷剤の併用などでうまく予防してほしいという。

子供は日焼け止め対策として、「幅広のツバの付いた帽子や衣類」「ベビーカーの日焼け」などの方法がある。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 出典:「教えて!ドクター」

氷水や保冷剤で冷やす

予防として体を冷やす場合は、氷水を使ったり、保冷剤を首元に巻いたりすることが良いという。

冷感スプレーなどは瞬間的に涼しく感じるが、基本的に熱を奪う働きはなく、予防にはあまり効果的ではないそうだ。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 出典:「教えて!ドクター」ホームページ

とにかく「水分補給」が重要

予防には、とにかくこまめな「水分補給」が大切。

ただし、ORS(経口補水液)は熱中症になった時に飲む飲み物としてはOKだが、予防でガンガン飲むのは行き過ぎだという。

予防では、通常のスポーツドリンクや麦茶などをしっかりこまめに取ること。塩分は入っていたほうがいいので、時々は塩分を含む飲み物も組み合わせたほうが良いという。

水や麦茶などだけで水分を補給する場合は、塩分を含む「梅干し」や「お味噌汁」などを組み合わせて取るのも良いそうだ。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 出典:「教えて!ドクター」ホームページ

子供には積極的に声がけを!

子供は背が低く、またベビーカーも地面からの距離が近いので大人以上に暑さを感じるという。

「きつい」と思っていても自分から言わずに我慢したり、遊びに夢中で無理をしてしまうことがあるので、大人が積極的に声をかける必要がある。

「喉が渇いたら言ってね」と伝えるだけでは不十分で、子供が言ってこなくても、こちらから積極的に水分を取るよう促すことが大切としている。

同時に、子供の熱中症対策に目を向けるあまり、親が自分の対策を忘れることもあるとして、注意を呼び掛けている。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 出典:「教えて!ドクター」ホームページ

病気の時は特に注意

子供、大人を問わず、風邪や胃腸炎などになると熱中症のリスクが高まるという。

坂本医長によると、ちょうど7月半ばに入って夏風邪が流行ってきており、体調が良くないと感じたときは普段以上に自分の体力を過信せず、極力無理せずに過ごしたほうが良いそうだ。

佐久医師会「熱中症予防のポイント」 提供:「教えて!ドクター」ホームページ