予想されていた暴風域ができないまま沖縄本島地方を通過した台風10号。21日未明に同地方と大東島地方に暴風警報が発令されるも、同日の最大風速は多くの地点で20メートル以下の強風にとどまった。沖縄気象台は台風が発達しなかった背景として「沖縄近海の海面水温が平年より低いことや、強い太平洋高気圧が影響した」と説明している。(社会部・宮里美紀)
台風は、空気中にある水蒸気が冷えて水になる時、放たれる熱エネルギーを得て発達する。そのため、暖かい海上や湿った空気がある環境だと勢力が強まりやすい。
しかし、20日の沖縄近海の海面水温は約27度で、平年より2度ほど低い。6、7月に台風が相次いで沖縄地方に接近したことで海水がかき混ぜられ、水温が平年より低くなった。
今年に入って沖縄地方に接近した台風は10号を含めて5個で、過去に、1~7月までに沖縄地方に接近した台風の平年値2・4個の倍以上となっている。
台風10号がたどった進路の空気が乾燥していたことも影響した。台風10号はフィリピンの東海上で発生し、沖縄の南海上を進んできたが、日本列島にかかり猛暑をもたらしている強い太平洋高気圧が影響し、沖縄の南の上空(高度3~5千メートル)では空気が乾燥していたため、発達できなかった。
ただ、気象台によると21日午前9時ごろ、南シナ海に新たな熱帯低気圧が発生。徐々に発達していて、遅くとも22日午後3時には台風11号になる見通しだ。その頃には沖縄の南に進み、中心気圧994ヘクトパスカル、中心付近の最大風速18メートル、最大瞬間風速25メートルと予想されている。