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ドラマ『この世界の片隅に』は、戦争ドラマとして観てはいけない

時代の「内側」から世界を見た作品

ドラマ『この世界の片隅に』が始まった。

TBSの日曜夜9時である。今クール、個人的にとても期待しているドラマである。家族向けを狙って、TBSも力を入れ、お金を掛けて、日曜9時枠に持ってきている。

第一話を見るかぎり、もとの原作漫画や、アニメからの流れどおりの世界観が作られていたようにおもう。個人的にとてもうれしい。

(C)TBS

夏のドラマになったのは、盂蘭盆会時期のイベント「戦争のことを考える」に合わせたからかもしれない。お盆のころには戦争の話をするというのが、うちの社会ではほぼ歳時記のようになっていて、あまり歳時記にしないほうがいいとおもうんだけど、でも暑い夏と戦争の話が切り離せなくなっている。

しかし、『この世界の片隅に』というドラマは、おそらく“夏の風物詩の戦争もの”ジャンルを越えて、何か突き刺さるドラマになるんではないか、と期待している。戦争ではなく人間を描いたドラマになってほしい。

 

なぜ原作は「ギャグ漫画風」なのか

『この世界の片隅に』は、もともと漫画アクションに連載されていた漫画である。

そのころうちには漫画アクションが毎号送付されていたので(かつて連載していたからである)、何となく見ていた。ときどきセリフまで読むし、ときには絵だけさっと見るし、場合によってはまったく見ない号もある。

そういう適当な読み方だったので、内容がよくわかっていなかった。

いつも巻末に載っていたので、ふわっとした絵柄であることも含めて、古い時代を舞台にしたギャグ漫画かとおもっていた。登場人物がずっこけて、足の先だけが描かれているという昔ながらのギャグ描写をよく見かけたからである。

ただ、舞台が昭和18年とか19年で、戦争中の話だとはわかりつつ、しかし、すごくほんわかしているし、ギャグっぽいし、何なんだろうと軽く混乱もしていた。戦争と「ほんわかして、ずっこけている」というのが結びつかなかった。

あらためて読み返すと、それが狙いだったのがわかる。

つまり「戦争中でも、ほんわかして、ずっこけていた女性がいた」ということを描いた漫画だったのだ。それに気が付いたとき、突き刺さるような感動を覚えた。

漫画の中で彼女は昭和15年に15歳で、昭和18年には18歳で、たまたま舞台は戦争中だけれども、おおらかな十代の少女の生活が描かれていたのだ。

いつの時代でも18歳の少女には18歳の世界と物語がある。

戦争をやっていようといまいと、好景気だろうと不景気だろうと、十代の少女の世界は、世情とは関係なく展開している。

戦争中であっても、人は戦争のことだけ考えて生きてきたわけではない。いつの時代にも生活があった、ということを教えてくれる物語であった(いま調べ直していて気づいたが、原作では昭和18年に18歳という設定だったが、どうやらドラマでは1つ下のようである)。

ただ、昭和19年、20年となるにつれ、その生活は過酷で厳しいものとなっていく。それでも若い女性のふだんの生活が描かれる。