関西・九州地区で店舗展開をしている焼肉食べ放題の「ワンカルビ」が4月に関東1号店を東京・花小金井にオープンした。同店は株式会社ワン・ダイニング(大阪・西区、社長/高橋淳)の主力業態で、これまで関西66店舗、九州10店舗(2018年7月1日現在、以下同)と展開。標準店舗は110坪、31テーブル、180席で、これを社員2~3人、アルバイト登録50人で運営している。
同社のミッションは「幸せな団らんを、社会に。」。ワンカルビの他に豚肉、鶏肉の食べ放題を展開し総店舗数は117店舗、2018年3月期の売上高は257億5805万円(前期比109.9%)。社員の平均年齢は28歳となっている。
精肉の小売業(ダイリキ株式会社)を発祥とする同社。外食事業である焼肉店の1号店は1993年3月オープンの「炙屋曽根崎店」で、現在の業態は2006年6月からスタート。2008年10月に会社を分割し、2016年11月より株式会社1&Dホールディングスのもとで小売業のダイリキ株式会社とグループ経営をしている。
話題だった「大阪にすごい焼肉食べ放題の店がある」
筆者は「大阪に焼肉食べ放題のすごい店がある」と常々聞いていたが、その展開場所が郊外ロードサイドということで、出張のついでのリサーチでは赴く時間的余裕がなく同チェーンを訪ねる機会を逸していた。しかしながら、関東圏進出第1号となる花小金井店(東京・小平市)が4月17日にオープンしたことで早速その日に訪ねた。筆者が訪ねた18時にはほとんどがファミリーで全テーブルを埋め尽くし店内は活気に満ちていた。
まず、感動したことは従業員の表情であった。恐らく高校生・大学生であろう従業員の言葉遣いは丁寧で、皆の満面の笑顔に、教育・研修が非常に充実していることとそこで培われたホスピタリティの発露を感じた。
年齢別の価格設定、シルバー世代の料金は3段階
営業の特徴は、営業時間は17時からでそれ以外の営業をしていない。店舗テーマは「ひとつ上の焼肉食べ放題 2時間の幸せを」で、2時間制で95品3580円(税込、3866円/以下同)と48品3080円(3326円)の2つのコースがあるが、年齢別に価格設定がなされている。
48品のコースでは、3歳以下無料、4~6歳430円(464円)、小学生1540円(1663円)と低年齢の価格を低くするのは他チェーンでも見られるが、50歳代2770円(2991円)、60歳代2460円(2656円)、70歳代以上2150円(2322円)と、シルバー世代の料金を3段階で低くしている点が特徴で、70歳代以上は一般の30%オフに相当。シルバー世代にとって入店しやすい料金設定であるとともに、子供夫婦、孫と三世代で利用する光景が容易に想定される。
従業員がテーブル横に膝をつき、オーダーを聞く
焼肉食べ放題の提供方法はテーブルオーダーバイキングで、従業員はテーブルの横で膝をついてオーダーを伺う。そして、オーダーされたメニューをクイックに提供して広いテーブル上に置いていく(肉のクオリティは高度に安定している)。このようにお客さまは食べ放題の食材を取るためにテーブルを離れる必要がないことから、「団らん」やコミュケーションを十分に楽しむことができる。
筆者はこれらワンカルビの仕組みの一つ一つに強烈な「業態力」を感じた。東京圏の郊外立地でワンカルビと同類の業態にとって大いなる刺激をもたらすことであろう。
そして、同社の社長、髙橋淳氏にインタビューをする機会を得た。以下は筆者と高橋氏との一問一答である。