与野党の中堅・若手議員の間で国会論戦の在り方を見直すべきだとの声が高まっている。疑惑追及は必要であり、本来の政策論議も置き去りにはできない。そのためにも「国会改革」は急務だ。
森友、加計学園問題をはじめ次々噴出する疑惑を追及する野党側を、紋切り型答弁でかわす安倍晋三首相ら政府側。予算委員会を中心に、今国会では何度こんな光景が繰り返されたことか。
国会の役割とは言うまでもなく法案審議だ。できるだけ多くの政府提出法案を成立させたい与党に対し、野党は自らの主張にそぐわない法案については廃案を狙う。
与党の事前審査をへて提出される法案に修正の余地はほとんどなく、いきおい国会は与野党の日程闘争に陥る。政権絡みの不祥事は野党には最優先の攻撃材料となり、審議拒否の口実にもなる。与党は多数をもって採決を目指す。政策論議は滞り、疑惑究明も中途半端となりがちだ。
状況打開のため「テーマごとに論戦の“車線”を振り分けよ」と提言したのが、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長ら党内若手有志の勉強会だ。
安全保障、社会保障の展望など国家ビジョンは党首討論、個別の法案や政策は常任・特別委員会、そして疑惑の解明は特別調査会を設置し委ねる。
調査会は、参考人・証人招致、関係機関からの資料提出などによって事実を徹底究明し、報告書を作成すると位置付けた。
党首討論は二週に一回、国民が視聴しやすい夜間開催を提案している。
目玉の調査会は着眼すべきところだ。国政調査権という憲法の保障する強力な権能は、今度の疑惑解明にどれほどの役に立ったか。国民はあきれもした。
党首討論の改革も当然だ。小泉氏らの呼び掛けで発足した超党派の議員連盟「『平成のうちに』衆院改革実現会議」も十二日、党首討論を含む改革案を発表した。
議連内では、採決の際の党議拘束をなくすべきだとの意見も出ているという。与党による法案事前審査の変革にもつながる。十分に検討してほしい。
国会改革はどの国でも繰り返される議論だ。高まる政治不信は国会運営も一因と自認し、与野党を挙げて取り組みを急ぐときだ。若手らの動きをパフォーマンスと呼ぶのはたやすいが、国民は国会に対しその熱意と実行を見ている。
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