俺は超越者(オーバーロード)だった件   作:コヘヘ
<< 前の話

43 / 43
強さを求め過信しない『魔王』はついにこの『世界』の『武』まで飲み込む。
唯一の救いは、それがいくつく先が『平和』であることだ。


閑話 『武技』

 

パンドラズ・アクターから衝撃の事実を聞いた俺は、

 

上位二重の影(グレータードッペルゲンガー)達に完全催眠を施し、

 

俺に変装させて周囲の村々に訓練用スケルトンの存在を伝え、鍛えることを考えた。

 

 

ナザリックでは反対するかと思い、守護者各員にこの件について尋ねたところ反応は上々だった。

 

 

「モモンガ様を崇拝する者達です。寧ろ研鑽を積むことこそ義務にすべきかと」

 

アルベドがこんなことを言い出した。

 

 

「ええ、そうですね。アルベド。ただの『人間』とはいえ、彼らは云わば同志に近い存在。

 

 もちろん、モモンガ様が望まれるのであれば元々異議等ございません。」

 

デミウルゴスはそう言って含み笑いをしている。

 

絶対何か裏があるが、賛成のようだ。

 

ナザリックのためならば問題ないはず。...そうだよな?

 

 

他の守護者も変わりないようだった。

 

 

人間風情とかやや見下したところはあったが、俺のために鍛える姿勢は正しいそうだ。

 

 

コキュートスのみ言いたいことがありそうだったので、

 

尋ねてみたら先に話を進めるよう進言された。

 

 

…本当に皆、成長している。

 

素晴らしい反面、支配者としてやっていけるか不安になってきた。

 

…俺いらなくなってないか?本当に。

 

 

「素晴らしい。それでは計画が固まり次第、

 

 各村には上位二重の影に完全催眠をさせ、地下の存在を周知させるものとする。

 

 とはいえ、私が望むのは、飽くまで自己防衛の訓練の一環としてだ。

 

 …カルネ村への対応は私が行う。既に計画していることがあるので後で報告する。

 

 『魔王国』の民の生活を苦しめてまで求めてはいないことは厳命する。

 

 各村の『賢者の呪帯』持ちのエルダーリッチ達に先んじて報告を行い、

 

 混乱を避けるように思考を誘導するように命じろ。

 

 アルベドには各村の地下空間のPOPアンデッド数の管理を、

 

 シャルティアを始めとした『転移門(ゲート)』を使える者達には定期的に補充を頼む。

 

 今後、この『世界』の強者であるレイナースやフールーダ達には『訓練法』を確立させる。

 

 アルベド、デミウルゴス、コキュートスには、その計画案を私に提出してもらう」

 

パンドラズ・アクターにも頼みたいが、今回はこの三人にお願いする。

 

 

流石にパンドラズ・アクターを頼り過ぎたとこの間のやり取りで自覚した。

 

 

とはいえ、この三人ならば俺が考えるよりも、上手くまとめてくれるだろう。

 

 

カルネ村は、本当に、覚悟ガンギマリなら、エンリに『アレ』をさせる。

 

さらに、カルネ村の村人達に『破滅の竜王』に挑ませる。

 

 

正直、パンドラズ・アクターの思い過ごしであってほしいと願ってしまう。

 

...パンドラズ・アクターが読み違えるとは思えない。

 

カルネ村の住民達は、安全第一で怪我人すらださないつもりだけど。

 

 

「そして、コキュートス。何か報告があるそうだな。

 

 話はとりあえずひと段落した。話してくれ」

 

先ほどから話したそうだったコキュートスに話を振る。

 

つい先ほど、俺はスルメさんと約束している等と嘘ついて報告を後回しにしてしまった。

 

多分、それについてかもしれない。

 

コキュートスには悪いことをしていたと反省する。

 

 

今度、アゼルリシア山脈での探検に付き合って貰うべきかもしれない。

 

竜とかクアゴアを脅…友好的な関係を築くためにコキュートスの圧倒的武力は必要だ。

 

 

そんな『友好国』に行うことではない物騒なことを考えていると、

 

「申シ上ゲマス。

 

 私ガ、モモンガ様に頂イタ能力『戦士Lv+1』ニヨリ『武技』ガ取得デキマシタ。

 

 リザードマン達ノ技ヲ見テ、

 

 私モ出来ナイカ試シニ、鍛錬ニ取リ入レテ試シタトコロデキマシタ。

 

 ナザリックの防衛ノタメ、『武技』ヲ完全ニ知リタイト思ッテイタタメ気ヅケマシタ。

 

 最モ、私ガ至ラヌ身ノタメ、『斬撃』ヤ『要塞』等未ダニ初歩的ナ『武技』シカデキマセンガ。

 

 他ノ、ユグドラシル由来ノ者ハ、ドンナニ鍛錬ヲ重ネテモ不可能ダッタハズ。

 

 モモンガ様。今後、ナザリックノ強化ノタメニ、

 

 デスナイト等ニ『戦士Lv+1』ヲ与エ、鍛錬ヲサセル等スベキト存ジマス」

 

コキュートスからさらっと凄いこと言われた。

 

 

今後の防衛計画を丸ごと変える必要がある。重大な発見だ。

 

 

そういえば、俺は『武技』ができない前提で鍛錬をしていた。

 

 

『普通』の作成したデスナイトに『武技』を訓練させてもできなかったからだ。

 

 

人材確保も遅れていた。八本指の六腕は健在だが、王国支配に回している。

 

 

でも、『漆黒の英雄』モモンとして、

 

冒険者生活で何度も『武技』を何度も見ていただろう、俺。

 

 

いや、『英雄』として演出上、ほぼ一撃で決める必要があったから、

 

『武技』に見せかける必要がなかった。

 

 

完全に見落としていた。ヤバい。

 

本来、俺が一番先に発見していないといけない事案だ。

 

 

幸いコキュートスも防衛のため意識して鍛錬してようやく、

 

『武技』を取得できたことに気づいたようだ。

 

俺が気づかなくてもまだ問題ないといえばない。

 

しかし、それは『威厳』の問題だ。

 

 

ナザリックの『責任者』として想定すべき事案だった。

 

 

ナーベラルが『賢者の呪帯』に即座に異世界の『魔法』に気づいたように、

 

この世界の戦士、『武技』にも有り得るかもしれないと思いつかなかったのは、俺の失態だ。

 

もう少し俺に頭の柔軟さがあれば気づけたはずだ。

 

 

...各村の防衛戦力として数えるなら本来なら至急デスナイトを呼び戻し、

 

『戦士Lv+1』を与えるべきだろう。

 

 

 

でも、与えるだけでは『武技』取得できないみたいだしなぁ…

 

『武技』の訓練させたデスナイトとこっそり入れ替えるしかないか。

 

 

 







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。