作るのは数字だけじゃない / デジタルハリウッド
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2018.07.21
#41
STUDIO上野 by LIG

Webデザイナー唯一の国家資格「ウェブデザイン技能検定」は本当に役に立つ資格なの?

みっちゃん

こんにちは、Webクリエイタースクール「デジタルハリウッドSTUDIO by LIG」担当のみっちゃんです。

突然ですがみなさん、「ウェブデザイン技能検定」をご存知でしょうか? その名の通り、Webサイトのデザインの技術と知識を問う資格なのですが、今回のブログでは「そもそも『ウェブデザイン技能検定』とは一体どんな資格なのか?」「Webデザイナーとして働くとき本当に役立つのか?」などなど、気になるポイントについてまとめてみました。

「ウェブデザイン技能検定」とは

「ウェブデザイン技能検定」とは、Web業界で唯一の国家資格のこと。試験では、関連国際標準規格等に基づいてWebデザインに関する知識・技能、実務能力などが問われます。

厳密に言うと「ウェブデザイン技能検定」は、厚生労働省に指定されている試験機関である「特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会」が通称として使用しているもので、正式な国家試験の名称ではありません。国家資格としては、「ウェブデザイン技能士」が正式名称です。

試験概要

試験の日程や実施場所は「インターネットスキル認定普及協会」の公式サイトから確認することができます。

試験会場は東京や大阪などの主要都市だけでなく、等級や日程にもよりますが、埼玉や神奈川などの首都圏のほか、北海道、宮城、愛知、福岡、沖縄などの地方でも実施されることがあります(受験を検討される場合は、かならず公式サイトをご確認ください)。

試験は実技だけでなく、学科試験も実施され、関連国際標準規格等に基づいたWebデザインに関する知識や技能、実務能力などが問われます。

筆記試験はマークシート形式です。マークシートということは、暗記がモノを言う試験だと思われるかもしれません。たしかに過去問を繰り返し解くという方法はあらゆる試験において効果的ではありますが、Webデザインの場合は「数年前の知識が今はもう古い」という状況になりますので、3年以上前の過去問は解かなくていいでしょう。

単純な暗記によって反射神経で回答していくよりも、「本質的な理解がきちんとできているかどうか」に重点を置いて勉強する必要があります。

試験時間は等級ごとに違い、以下のようになっています。

1級 学科90分/実技180分/ペーパー実技60分
2級 学科60分/実技120分
3級 学科45分/実技60分

合格基準と合格率

試験は年3〜4回ほど行われており、合格発表は約1カ月後にされます。

合格基準は、学科・実技ともに70点以上(100点満点)で、合格率は実施回にもよるそうですが、だいたい3級が60〜70%、2級が30〜40%、1 級が10〜20%とのことです。

ほかの資格試験でもだいたいそうですが、合格基準は70点以上という絶対評価になりますから、合格率の数字を見て不安に思ったり、「半分は受かるなら余裕だ」とたかをくくるよりも、過去問を繰り返し解いて弱点を潰し、自分が納得するまで勉強しきった方が安心して本番に臨むことができると思います。

「ウェブデザイン技能士」を名乗れるのは、もちろんこの試験の合格者のみです。「ウェブデザイン技能士」の資格名は、一番低い3級の合格者でも名刺やポートフォリオサイトに掲載することができます。2級と3級はインターネットスキル認定普及協会理事長から、1級の合格者には厚生労働大臣から合格証書が交付されます。

資格を表記する際には「1級ウェブデザイン技能士」というように、必ず「等級」をセットで書き記す必要があり、等級を書かなかったり、「ウェブデザイン技能士1級」のように等級の表示が間違っていたり、職種名の省略・別名表示をしてはいけません。また、ウェブデザイン技能士は国家資格であるため、職業能力開発促進法によって、資格取得者ではない人が「ウェブデザイン技能士」を自称することは禁じられています。

取得するメリット

とはいえ、「ウェブデザイン技能士」の資格を持つ人も持たない人も、Webサイトをデザインし、制作する方々は皆さん「Webデザイナー」という職種の人たち。もちろん、「ウェブデザイン技能士」の資格を持っていないWebデザイナーは大勢います。

弁護士などの士業とは異なり、試験に合格しなければ絶対にWebデザイナーとして仕事ができないかと言われるとそんなことはありませんし、正直、「ウェブデザイン技能検定に受かったウェブデザイン技能士です」と言ったところで「おお!それは素晴らしい!ぜひうちに来てください!」と一発で就職が決まるほどの即効性もありません。

ただ、Web業界で唯一の国家資格なので、履歴書に堂々と記載できるという点はメリットになるでしょう(IT業界では「基本情報技術者試験」という国家資格も有名ですが、こちらはおもにプログラマー向けの試験です)。美大や専門学校でデザインを学んだわけではない場合、履歴書を書こうとするとデザインについて書けるようなことが何もなくなってしまうので、資格という形で履歴書に記載できるのは「ウェブデザイン技能士」ならではです。まったくの未経験だった人が、学習意欲のアピールや頑張ってきた証拠として提示するにはちょうどいい資格かもしれません。

ただし、1級は受験資格の段階で7年以上の実務経験が必要であり、2級でも3級の合格か2年以上の実務経験が問われます。

英検1級などとは違って、未経験者がどんなに頑張っても最上位である1級を簡単にアピールできる資格ではないのが残念ですが、しかし、先述の通り資格を持たないWebデザイナーも世の中にはたくさんいます。

実際、資格は必要?

Webデザイナーとして仕事をするにあたって「ウェブデザイン技能士」の資格は不要と言っていいと思います。

就職活動や転職活動、またフリーランスがクライアントに自分のデザイン能力をアピールするには、自分の作品集(ポートフォリオ)を見せる場合がほとんど。「ウェブデザイン技能検定に受かっていることが条件だ」と言われることは、ほぼないと言っていいでしょう。

「ウェブデザイン技能士」という資格名は履歴書には書けますが、Webデザイナーは学歴や資格に左右される職種ではありません。ポートフォリオやプレゼンでいかに実力を見せるかが勝負となります。

資格とは、しかるべき機関からのお墨付きがもらえるものですから、資格を取得する人にとっても仕事を依頼する人にとっても資格の名前が安心材料のひとつになるのは事実。しかし、Webデザイナーを志す人にとっては、「誰かのお墨付きを得て安心したい」という気持ちよりも、「より良いものを作ろう」とする気持ちを持って、それを表現した作品を用意することが、仕事を得る一番の近道になります。

資格にとらわれず、生きた力を身につけるために

Webデザイナーとして働くために必要なのは、結局、資格ではなくポートフォリオなど実力を見せられるものであるというお話をしました。マークシートのテストができればWebデザイナーになれる、わけではないとしたら、Webデザインの勉強はどのようにすればいいのでしょうか?

Webデザインの勉強には、テキストを読み込むだけのインプット一辺倒な勉強方法だけではなく、アウトプットも必要です。

良いデザインをたくさん見る

たとえばPinterestで「素敵だな」と思うウェブサイトの画像をたくさん見ます。ここで、ただ眺めるだけではなく「ここはどうしてこういうデザインにしたんだろう?」という視点を持ってデザインを見つめることで、デザイン思考が鍛えられます。

また、画像を保存してそっくり同じデザインをトレースして作ってみることで、IllustratorやPhotoshopの技術も上がります。

Webサイトのトレースについては、LIGのデザイナー藤田さんの殿堂入り記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。

何はともあれ作ってみる

HTMLやCSSはコードがたくさん登場します。「リンクを貼りたければ『a href=”https://XXXX”』と書く」などなど、暗記のような一面もありますが、英単語帳のようにコードを暗記しても仕方ありません。

シンプルなデザインでいいので、とにかく自分で作りたいものをイメージして、イメージ通りに要素を配置できるかどうか、実際にコードを打ってみて試行錯誤しましょう。

実際に打ってうまくいかないときこそが、学びと成長のチャンスです。どうしたら思ったとおりに画像や文字を配置したり装飾したりできるか、とことん向き合って、ひとつひとつのコードをペンやハサミのように自在に使えるようになることを目指しましょう。

そうは言っても独学には限界がある……そんなときは

「参考書を買っただけでもサイトをすいすい作れるようになった」そんな人は、その調子でどんどん作品を作ってポートフォリオとしてまとめていきましょう。でも、「なかなかひとりでは難しい……」という人もいますよね。

そういうときは、やっぱり人に聞くのが一番早くて確かです。身近に頼れる人がいない場合は、プロのWebデザイナーが在籍しているスクールに通うという手があります。LIGでも、未経験からプロのWebクリエイターを目指せる「デジタルハリウッドSTUDIO上野byLIG」「デジタルハリウッドSTUDIO池袋 by LIG」という二つのスクールを運営しております。

「デジタルハリウッドSTUDIO上野/池袋 by LIG」には、LIGのWebクリエイターや、フリーランスとして活躍されている講師がたくさん在籍しています。現役のWebデザイナーに勉強方法や仕事のことなど、何でも質問できるのは独学では決して得られない経験です。

Webデザインの独学に自信がない方、資格だけでは通用しないと知って、ますますWebデザイナーがどんな仕事なのかわからなくなってしまった……という方は、ぜひ個別相談会にお越しください。Web制作のこと、Webデザイナーという職業のこと、Web業界のこと、何でもお答えいたしますよ!

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