カジノ法案を巡り、参院内閣委員会でギャンブル依存症の対策法案の質疑が始まった。どんな対策を練ろうと賭博が健全であるはずがない。胴元が客に金を貸し付け博打(ばくち)をさせる-。極めて危険だ。
安倍晋三首相は美辞麗句を使う。「クリーンな日本型IR(統合型リゾート施設)をつくり上げる」だとか、「世界最高水準のカジノ規制を導入する」とか。「万全の対策を講じていく」とも語っていた。
そのカジノ規制とは何か。今のところ判明しているのは、入場回数の制限だ。週三回、二十八日間で十回に限られると。その確認方法としてマイナンバーカードを使う。入場には来日外国人を除き六千円を徴収するともいう。
だが、七日間に三日間も入場すれば、それ自体が入り浸っている状態である。仮にカジノが二十四時間営業なら三日間で七十二時間も過ごす。シンガポールは入場回数は月に最大八回だと聞く。入場料も八千円程度。つまり、それだけで「世界最高水準」は看板倒れに終わっていることになる。
「万全の対策」も怪しい。なぜなら、胴元であるカジノの民間事業者は、一定の金額を預け入れた顧客に対しては、資金の貸し付けを行うことが予定されている。
貸金業者の場合は年収の三分の一を超える貸し付けは禁止される。貸金業法の総量規制があるからだ。しかし、カジノ事業者は貸金業者でないので同法は適用されない。つまり、預けた金の何倍かの上限まで貸し放題となる。
このカジノ事業者から借りたカネには利息は付かない。ただし、二カ月間だけ。それを超えると、年14・6%もの遅延損害金が発生する。そんな仕組みだ。
ギャンブルに熱中した客は、「一発逆転」の夢を見て、際限なく賭博にのめり込む。お金が借りられるのでやめるタイミングを失うのだ。こんな状態で三日間で最大七十二時間も賭場にいれば、もはや依存症状態でもあろう。
このようなカジノ事業者に貸金を許す仕組みをつくっていること自体がギャンブル依存症にとっては危険なことではないのか。収入で返済しようと思わず、ギャンブルでお金を返す意思を持ってしまうからだ。
来日外国人をターゲットに経済成長が当初はうたわれたが、本当に成長するか試算がない。外国資本のカジノ事業者のカモになるのは本当は大半が日本人で、食い物になるだけでないのか。
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