松坂大輔に見た「敗者の美学」、球宴で5失点

ストレート通用せず、勝負球の模索始まる

2018年7月21日(土)

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オールスターゲームに先発した松坂大輔投手。気持ちの良い打たれっぷりを見せた(写真:共同通信)

 京セラドーム大阪で行われたプロ野球「マイナビオールスターゲーム2018」の第1戦(7月13日)。セ・リーグ先発投手の松坂大輔(中日ドラゴンズ)が、いきなり先頭バッターの秋山翔吾(埼玉西武ライオンズ)にホームランを打たれ、1回に5失点を喫したが、見ていて実に気持ちのいいゲームだった。

 こんな感想を何の説明もなく書くと、松坂が打たれることを喜んでいるように思われてしまうかもしれないが、ある意味ではそういう感情もあるのかもしれない。

 松坂に感じたのは、敗者の美学だ。それは、松坂にとって予想もしない厳しすぎるマウンドだったと思う。

 1回の先頭バッター秋山にライトスタンドに運ばれたものの、続く2番の柳田悠岐(福岡ソフトバンクホークス)を高めのボールで三振に仕留めた時点で、まだまだ余裕があったはずだ。球速こそ時速130キロ台のボールばかりだが、それでも「平成の怪物」と呼ばれたピッチャーは、醸し出すオーラと勝負度胸が違う。柳田が気おされたわけではないが、真っ向勝負の迫力に柳田のバットは空を切った。

 しかし、ホッとしたのも束の間、ここからパ・リーグの怒涛の攻撃が始まる。北海道日本ハムファイターズの近藤健介がセンター前ヒットで出塁すると、同じくファイターズの中田翔に死球を与えてしまう。

 1アウト1塁2塁。ここで5番の吉田正尚(オリックス・バファローズ)がセンター前に弾き返し2点目が入る。

 なおも1アウト、ランナー1塁3塁。続く6番浅村栄斗(埼玉西武)がライトフライに倒れたものの、ここで迎えたのは同じくライオンズの後輩、森友哉だった。投げたのは真ん中高め球速137キロの球。それは打った瞬間にホームランと分かる弾丸ライナーの3ランになった。

 これで合計5失点。8番今江年昌(東北楽天ゴールデンイーグルス)をなんとか内野ゴロに打ち取ってチェンジにしたものの、8人の打者に4安打(2ホームラン)、1死球と散々な内容だった。

 しかし、私が松坂に心打たれたのは、後輩たちに打たれても打たれても直球系のボールで怯むことなく勝負し続けていたからだ。

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「松坂大輔に見た「敗者の美学」、球宴で5失点」の著者

青島 健太

青島 健太(あおしま・けんた)

スポーツライター

5年間のプロ野球生活の後、オーストラリアで日本語教師となる。帰国後、スポーツライター、テレビキャスターとして活躍。現在は、鹿屋体育大学、流通経済大学、日本医療科学大学の客員教授として教鞭をふるう。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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