俺は超越者(オーバーロード)だった件   作:コヘヘ
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『魔王』に勝てない『化け物』は気づく。
『魔王』の致命的な欠陥に。だからせめて祈った。
『魔王』を救う『勇者』の存在を。


閑話 対策

「今後、さらに行動で示すから、それで察しなさい!!」

 

そう言い放ったラナーの行動は凄まじかった。

 

 

八本指を使い、俺のアンデッド量産計画のために、

 

王国中の墓場から内密に死体を回収し、ナザリックへ送る手筈を整えた。

 

 

八本指を使い、弱みがある貴族等を脅して『財』を吐き出させた。

 

特に、金鉱山とミスリル鉱山を所有する『ブルムラシュー侯』が帝国に情報を売り渡していることを盾に脅した。

 

その結果、『財』を定期的に吐き出させることに成功した。

 

その『財』を用いて王国の改善し、余った財はナザリックのものにした。

 

 

さらに、短期的デメリットや利権の関係から放置されていたラナーの案、

 

俺の知識でいう『輪作』を王国中に強制した。

 

彼女の試算だと六年かかる計算だったが、これには俺も協力して五年に短縮できた。

 

王国の民衆の生活が向上することが確定した。

 

 

エ・ランテルでは理想の『黄金の姫』を演じ切り、民衆の支持を各個たるものにした。

 

ラナーは、俺の事前準備もあり元々薄かった神殿勢の俺への反感を完全になくした。

 

そのお陰でアンデッド忌避する住民はほぼいなくなった。

 

 

 

以上のことは俺が、エ・ランテルを統治する前に行われたことだ。

 

ラナーは、王女としての絶大な影響力を王国に保ったまま、俺に嫁いできた。

 

もはや王国はナザリックに支配されたといっても過言ではない。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

王国以外の動きについて、

 

 

デミウルゴスのお陰で、帝国はナザリックに事実上支配されている。

 

 

法国と評議国は同盟者だ。

 

 

…嬉しいが、新規の『顧客』を手に入れなければならなくなった。

 

 

いずれ、『原作』どおりドワーフやクアゴアと交流すべきだろう。

 

 

俺は別に世界を征服したいわけではない。これは本当だ。

 

 

だが、事実上世界征服になっている。だから友好国を作りたい。何としても。

 

 

…霜の竜(フロスト・ドラゴン)は冷凍宅配便だ。

 

あのプライドの塊の利用法を考えたらそれくらいしか思いつかなかった。

 

 

素材に使用にも、ナザリックにはドラゴンハイド等は腐る程ある。

 

ユグドラシル時代、俺が魔王スクロール販売所の利益を散財したせいだ。

 

毎日のように素材を無駄に買った。もう限りが見えない。

 

 

 

…ただ、原作同様にデミウルゴスにスクロール等の『牧場』を作らせている。

 

 

ナザリックには無限と思われる程あるとはいえ、『財』には限りがある。

 

 

ナザリックを引いては『世界』を永遠に守るためには必要不可欠だった。

 

現地で確認した俺の不快感を察して、『牧場』はかなり配慮されていた。

 

 

そこに送られて来るのは、そうされても文句が言えない屑のみだ。

 

 

王国、帝国、評議国の極悪犯罪者の一部や竜王国のビーストマン等を入れている。

 

評議国の極悪人に関しては、ツアーに許可を取った。

 

 

ツアーは不快感を隠さなかったが、

 

俺の『牧場』の不快感を察してか逆に謝られた。…本当にすまない。

 

 

その結果には、プルチネッラ達も大喜びだった。

 

 

作成されたスクロールは第三位階魔法までしか今現在は込められない。

 

だが、効率重視のほぼ遊びがない日々の研究のお陰か、

 

もう少しで第四位階までのスクロールが完成するという。

 

 

俺の『魔王』のスキルで

 

第一~五位階の魔法が第六位階の魔法と同じ威力・効果になるというものがある。

 

俺は仕事の合間にスクロールに魔法を込めた。

 

もちろん取得してない現地魔法等は『賢者の呪帯』エルダーリッチに任せているし、

 

他のNPCにしか所有していない魔法。情報系魔法等は任せている。

 

 

『素材』を思い出し、心労が限界に来た時は、

 

 

スクロールに魔法を込めるのはパンドラズ・アクターに任せている。

 

 

パンドラズ・アクターは、威力は落ちるが『魔王』スキルが使える。

 

超越者(オーバーロード)化前の俺のスキルだから。

 

 

パンドラズ・アクターには世話をかけているが、

 

本当に俺を『父』と呼ぶことが褒美で良かったのだろうか?

 

それで十分であり、他には何もいらないと断言されてしまったため褒美を与えにくい。

 

 

 

『カタストロフ・サンドバック』へのストレス発散もとい、

 

毎日の超希少薬草の採取のお陰で、

 

この『世界』の技術だけで第六位階魔法相当の青のポーションの作成に成功した。

 

 

ンフィーレアが開発した。

 

ンフィーレアは、さらに開発済みの紫のポーション、

 

引いては赤いポーションにして見せると意気込んでいた。

 

 

青のポーションのため、保存(プリザベイション)をかける必要等があるが、

 

俺には紫色のポーションよりも成果だと思う。

 

 

ナザリックの『財』を『完全に使わない』高位のポーションだからだ。

 

 

もちろんンフィーレアにはそのことは伝えない。

 

ンフィーレアには、この第六位階魔法相当の青のポーションの量産を頼んだ。

 

ナザリックの技術を漏らさず、かつ再現できないポーションならば流通しても問題ない。

 

ンフィーレアにはせめて『名声』を与えたかった。

 

 

 

ナザリックに頼らない現地での『世界』対策のためにもあの『策』も考慮すべきだろう。

 

 

…これもツアーに反対されかねないのが懸念か。

 

 

『カタストロフ・サンドバック計画』から既に薄々勘付いているはずだが、

 

今のところ反対はない。

 

恐らく消極的賛成なんだろう。しかし、今までの軋轢もある。

 

 

俺がツアーの立場なら賛成できない。

 

俺が話し合いの場を設けるべきか。スルメさんでは少し難しいだろう。

 

 

どんなに『世界』のため奮闘したとはいえ、五百年近くこの世にいなかったのだから。

 

 

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ラナーについて話を戻す

 

 

俺が前の怒らせた件での謝罪を含めて、ナザリックに招待した。

 

喜ぶであろう最高の持て成しと前に考えていたプレゼントを送ったらラナーは喜んだ。

 

 

だが、途中、ラナーは激怒した。

 

 

…どうやら本気でクライムを吹っ切ったらしい。

 

俺には『執着』をなくすことが理解できなかった。

 

 

なので、謝った。そこまでの覚悟を踏みにじったことを。

 

 

…俺はラナーを『友』としか見ていないし、

 

俺がラナーを愛しているかは微妙だった。

 

 

その気持ちをはっきり伝えた。

 

俺なりの誠意として、関係が壊れると知っていても。恩知らずと罵られようとも。

 

 

…何故か、ラナーに哀れまれた。

 

いや、そうじゃないかもしれない。

 

俺はそんなラナーの表情は知らない。見たことがない。

 

 

「あなたは…壊れていますね。

 

 誰かが…いいえ、それで構いません。

 

 私をあなたの側に置きなさい」

 

俺が愛してなくても構わない。

 

そう断言したラナーは俺の側室になった。

 

…本当に良かったのか、未だに俺は疑問である。

 

 

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元々、エ・ランテル前から法国に襲撃された廃村は修復してあった。

 

手の空いているNPC達やシモベを動員すれば造作もなかった。

 

バレないように低位の隠蔽も含め行っていた。

 

エ・ランテルを支配した俺は、この村々を解放した。

 

 

エ・ランテルのスラムにいた住民を、家族持ちを中心にガンガン送り込んだ。

 

 

 

俺は、転移当初から救ったカルネ村に畑を使うことを『お願い』していた。

 

その他にも色々行っていた。

 

 

廃村を修復する。そして畑等での実験。他にもカルネ村地下でのとある実験。

 

 

これらは、俺がおかしかった頃、『原作』に即した経済支配案の下に行っていた行為だった。

 

 

エ・ランテルを支配できた結果、無駄ではなくなった。

 

 

おかしかった頃の『俺』の全力で、

 

畑等を利用したデスナイトやスケルトン、

 

魂喰らい(ソウルイーター)を用いた耕作等のマニュアルは既に完成していた。

 

 

俺が転移前に用意していた『農業』の本のお陰でもあった。

 

著作権が切れた物とはいえ『未来』の農業知識・方法が載っていた。

 

 

ジャンク部屋の空間を埋めるための本が役に立った。

 

 

カルネ村の農民からの情報と、魔法を使った即席栽培等の実験のお陰で、

 

一年で自給自足が可能という試算はでている。

 

 

人員となるアンデッドは俺とパンドラズ・アクターが用意した。

 

 

パンドラズ・アクターの作ったアンデッドは俺以外に変身すると案山子化してしまう。

 

 

その問題を解決したのは、何と『死の宝珠』だった。

 

 

エ・ランテル最初のズーラーノーンの事件で存在を忘れていた俺が、

 

道端で本当にたまたま拾って忠誠を誓われたインテリジェンスアイテム。

 

雑魚アイテムだったので、ハムスケに投げた。

 

 

 

『死の宝珠』は40レベル程度のアイテムだったのだが、

 

パンドラズ・アクター作成の『中位アンデッド』までなら操ることができた。

 

 

この『世界』では、ギリギリLv40までしか、

 

アンデッドを定着させることしかできなかった。

 

『死の宝珠』はおおよそLv40。その辺が関わっていると思われる。

 

 

パンドラズ・アクター作成アンデッド案山子化問題が解決された。

 

 

重要アイテムとなったのでハムスケから『死の宝珠』を取り上げた。

 

 

その代わりにワールドアイテムの効果を付与したら凄まじく喜んでいた。

 

 

『死の宝珠』曰く、人化してもなお俺の死の気配は凄まじいらしかった。

 

 

俺は、『死の宝珠』に「人間ではない」と断言された。

 

断言されたのが気になって調べたが、どういう意味かは断定できなかった。

 

 

 

エ・ランテルのスラムの住民にはこれらの知識を元に指導。

 

デスナイトやスケルトン、魂喰らい(ソウルイーター)等アンデッドを送った。

 

勿論、きちんと配慮して送っている。多少怖がられるのも考慮済みだ。

 

 

さらに、各村には俺が作成した『賢者の呪帯』持ちのエルダーリッチを派遣している。

 

第六位階魔法『大治癒(ヒール)』

第五位階魔法『死者復活(レイズデッド)』

第三位階魔法『重傷治癒(ヘビーリカバー)』

 

『賢者の呪帯』の初期設定三つを使い覚えさせた。

 

 

『賢者の呪帯』の研究の結果、

 

この『世界』では魔法を使ったりすると経験値が溜まることが判明していた。

 

 

そのため、エルダーリッチ達には、取得可能魔法枠が増えたら報告を義務付けている。

 

 

メッセージのスクロールを緊急連絡用も含めて何枚か持たせた。

 

村での治癒師がいると、ナザリックに感謝してくれるだろうという考えだった。

 

このエルダーリッチ達は、怖がられないように聖者を思わせるような恰好をさせた結果、

 

 

俺は神格化された。

 

 

『御伽噺』の『魔王』何だからわからなくもないが、もう本気で崇拝された。

 

 

現地の神殿勢力が塗り替わる勢いで。

 

 

カルネ村状態がどんどん広がっている。

 

 

 

 

この惨状に、精神がおかしくなりそうになった俺は一時逃げ出した。

 

もちろん、きちんと仕事は片づけて、代わりも用意しておいたが。

 

 








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