どうも皆さんこんにちは。
書きたい話がどれも時間のかかる物ばかりでちょっと困ってます(~_~;)
篠虫です。
今回は、正に書くのに少し手間がかかった話です。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
前回記事
natuno-wunderkammer.hatenablog.jp
現代アート、中でも「ストリートアート」「グラフィティ・アート」が好きな人には超がつくほど有名な人。
それがバンクシーです。
私が初めてその名前を知ったのは今から5年ほど前ですが、一目で気に入りました。
イギリス・ロンドンを中心に世界中で活動する覆面アーティストで、
本人は公の前には一切姿を現さず、プロフィールもひた隠しにしているため、その正体はいまだ謎に包まれています。
現在有力な説は、イギリスのバンド「マッシヴ・アタック」のメンバー、ロバート・デル・ナジャではないかというもの。
デル・ナジャはマッシブ・アタック結成以前、グラフィティ・アーティストとして活動していたこと、以前からバンクシーと交流があったこと、さらにマッシブ・アタックのツアー日程とバンクシーの出現日と場所を比較すると一致するという有志の調査に拠る物です。
ですが、現在も確実なことはわかっていません。
2000年初頭から本格的にグラフィティ・アーティストとして活動。
最初はスプレーのみで描いていましたが、深夜に短時間で描くことを考え、次第にステンシル(型紙)を用いた方法へとシフトしていきました。
基本、作品にタイトルはつけられず、作品の特徴や描かれている言葉で呼ばれたりします。
モチーフは実に様々ですが、ネズミや猿、銃器や警官などがよく使われています。
グラフィティ以外にも、立体や他作品のパロディもバンクシーの得意分野です。
イギリスのロンドン動物園でペンギンの囲いに上り、'We're bored of fish' (我々は魚にはもう飽き飽きだ)とペイントしたり、ブリストル動物園のゾウの囲いに 'I want out.
This place is too cold. Keeper smells. Boring, boring, boring.'(外に出たい。ここは寒すぎる。飼育係は臭う。退屈・退屈・退屈)とペイントするなど、動物飼育エリアに侵入し作品を描きました。
またルーブル美術館、MoMA、メトロポリタン美術館、ブルックリン美術館、アメリカ自然史博物館、テート・ブリテンといった世界中の有名美術・博物館に、無断で自作品を展示しました。
その方法は、コート付け髭帽子などで変装し、こっそり館内に持ち込んだ自作品を展示スペースの空いた壁に糊で貼り付ける、というもので自前のキャプションまでつけた手の込んだ物でした。
また、大英博物館では『街外れに狩りにいく古代人』という題で古代壁画の一部の発掘品として、自作品をまたしてもキャプションと一緒に館内に設置。8日間そのまま展示されました。
作品には、ショッピングカートを押す古代人とカートに乗せられた槍の刺さった獣が描かれていました。(下図参照)
バンクシーはその後一度、作品を引き取り、自らの個展に出品。そのとき作品横のキャプションに「大英博物館より貸与」の一文をつけました。その後、博物館側はバンクシーの作品として正式なコレクションに追加しました。
この辺りに海外特有のユーモアに寛容な姿勢がうかがえます。
またイングランドのウェストン=スーパー=メアにて、2015年8月22日から9月27日までの5週間限定で、『Dismaland(ディズマランド)』を開催しました。
名前から気づくかも知れませんが、これは「ディズニーランド」をもじったバンクシープロデュースの遊園地で、Dismal(「憂鬱な」「陰気な」)とLand(「世界」)を組み合わせた造語です。
入場料は3ポンド(約570円・1ポンド190円計算)で5歳以下は無料。
公式ホームページのチケットは即完売しました。
そこにはボロボロのシンデレラ城をはじめ、退廃的でダークな雰囲気が漂う展示が多数あり、「DREAMLAND」の「N」の字が地面に落ちた看板の絵や、横転したかぼちゃの馬車の中で死んでいるシンデレラ、その様子を撮影するパパラッチ、ネズミの耳を模したカチューシャを着けた不機嫌そうなスタッフなど、アイロニーに満ちた内容になっている。
またバンクシーを含む58人の現代アーティストによる作品が多数展示され、来場者数は約15万人に上りました。
閉園後の使用木材は難民シェルターに生まれ変わったということから、バンクシーの芸術と社会への考え方が見えてきますね
ここまで見てきてわかる通り、彼の作品は強烈な風刺と個性的なユーモアで構築されています。
私がバンクシーを好きな理由もここにあります。
元々風刺画は好きで、歴史の教科書に必ず出てくるビゴーの風刺画(下図参照)なんかは皆さん見たことあると思います。
そうした風刺画と比較するならば、バンクシーの作品はわかりやすいメッセージ性というより大衆性、庶民性を重視して描いているように感じます。
パロディが多いのもそうしたことからなのかも知れません。
バンクシーの作品には、何かを貶したり卑下するわけではなく、彼なりの皮肉った敬意が全面に出ているんだと思います。
貧困・戦争・虐待・政治…
そして大量消費社会を造り出した資本主義と企業へ。
バンクシーの視線はあらゆる庶民の敵を見ています。
世にはびこる社会問題とそれに無関心な我々に対し、疑問と警告を投げ続けかけています。
パレスチナ自治区の分離壁にも、バンクシーは監視塔から銃口を向けられながらグラフィティを何個も完成させました。
その一方で、街をかっこよく”見せる”ためにも彼は作品を描いているのです。
その2つこそが「グラフィティ・アーティスト」の使命なのだから・・・
その多くは、町中の建物の外壁などイリーガルな場所と方法で大胆に描かれます。
その為、落書きとされ清掃されてしまったり、行政により消されてしまうことが大半で、現存している屋外作品は少ないです。
一般的に、日本でも世界でもグラフィティはあまり地位の高い物ではなく、治安の悪化や秩序の乱れの原因とまで言う人もいます。
しかし、バンクシーはいっこうに気にしません。
彼はここ言います。
「グラフィティをやばいと思っているのは、政治屋と広告会社のお偉いさんとグラフィティ・ライター、この3タイプの人間だけさ。」
「街をマジに汚しているのは、(中略)企業のほうだ。やつらはところ構わず平気で僕らにメッセージを浴びせるくせに、僕らが反論することは決して許さない。やつらがけんかを売ってきたから、反撃の武器に壁を選んだのさ。」
「世の中をもっとよくしたくて警察官になるやつもいれば、世の中をもっとかっこよく見せたくて破壊者になるやつもいるんだ」
『Banksy Wall and Piece』2014年 本文より抜粋
そんな彼の作品をいつかは生で見てみたい物です。
日本で作品を描いたこともあるらしいのですが、もっとたくさん描いて欲しいです(笑)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
さて、いかがだったでしょうか?
なるべく多くの作品を載せたかったので、文章は少なめで以降と思ったらそこそこありました(^_^;)
作品画像の真偽確認に時間がかかってしまって描くのが遅れてしまいました...
またこうした好きなアーティスト、画家なんかの話は書いていきたいです!
それではまた!
(。・_・)ノ