「青頭巾」[『雨月物語』より]の続きだよ!
快庵禅師はバールのようなもので殴られちゃうのかな?
※この記事では、霞亭文庫の画像を適宜改変して利用しています。
霞亭文庫書誌詳細
※画像はクリックすると拡大します。
【翻刻】
とりて走り出。外(と)の方を見るに。年紀(としのころ)五旬(いそじ)にちかき老僧の。
頭(かしら)に紺染(あをぞめ)の巾を帔(かづ)き。身に墨衣の破(やれ)たるを穿(き)て。裏(つゝミ)たる
物を背(せ)におひたるが。杖(つゑ)をもてさしまねき。壇越(だんゑつ)なに事にて
かばかり備(そな)へ給ふや。遍参(へんさん)の僧今夜ばかりの宿をかり奉らん
とてこゝに人を待しに。おもひきやかく異(あや)しめられんとハ。痩(やせ)
法師の強盗(がうどう)などすべきにもあらぬを。なあやしミ給ひそと
いふ。荘主(あるじ)枴(おほこ)を捨て手を拍(うつ)て笑ひ。渠等(かれら)が愚(おろか)なる眼より
客僧を驚(おど)しまいらせぬ。一宿(ひとよ)を供養(くやう)して罪(つみ)を贖(あがな)ひたて
まつらんと。禮(いや)まひて奥の方に迎へ。こゝろよく食をもすゝめ
て饗(もてな)しけり。荘主(あるじ)かたりていふ。さきに下等(しづら)が御僧を見て
鬼来りしとおそれしもさるいはれの侍るなり。こゝに希有(けう)
の物がたりの侍る。妖言(およつれごと)ながら人にもつたへ給へかし。此里の
【現代語表記】
取りて走り出、外(と)の方を見るに、年紀(としのころ)五旬(いそじ)に近き老僧の、頭(かしら)に紺染(あをぞめ)の巾を帔(かづ)き、身に墨衣の破(やれ)たるを穿(き)て、裏(つつ)みたる物を背(せ)に負いたるが、杖(つえ)を持て差し招き、
「壇蜜壇越(だんえつ)[僧が一般人を指して言う言葉]何事にてかばかり備(そな)え給うや。
遍参(へんさん)の僧、今夜ばかりの宿を借り奉らんとて、ここに人を待ちしに、思いきや、かく異(あや)しめられんとは。
痩(やせ)法師の強盗(ごうどう)などすべきにもあらぬを、なあやしみ給いそ。」
と言う。
荘主(あるじ)、枴(おほこ)を捨て、手を拍(う)って笑い、
「渠等(かれら)が愚(おろ)かなる眼より、客僧を驚(おど)し参らせぬ。
一宿(ひとよ)を供養(くやう)して、罪(つみ)を贖(あがな)い奉らん。」
と、礼(いや)まいて奥の方に迎え、快く食をも勧めて饗(もてな)しけり。
荘主(あるじ)語りて言う。
「先に下等(しづら)が御僧を見て、鬼来りしと恐れしも、さる謂(いわ)れの侍るなり。ここに希有(けう)の物語の侍る。
妖言(およずれごと)ながら、人にも伝え給えかし。
此(こ)の里の
【さっくり現代語訳】
(この家の主人はバールのようなものを)手に持って走り出て、外の方を見ると、頭に紺染の頭巾を被り、破れてボロボロになった黒色の法衣を着て、布で包んだ少しばかりの荷物を背負った、アラフィフぐらいの年老いた僧がいました。
僧はバールのようなもの杖を持った手で主人を手招きして、
「これこれご主人、どうしてバールのようなものまで持って警戒なさる。
諸国を行脚している坊主が、今夜泊めていただこうと、案内してくださる方が来るのを、ここで待っていただけですぞ。
こんなに危険人物扱いされるとは、思いもしませんでした。
そもそも、こんな痩せた坊主が強盗などできるわけもないではないですか。
どうぞ、警備を解いてくだされ。」
と言いました。
主人はバールのようなものをポイと捨て、「な~んだ」と、手を打って笑い、
「いやいや、使用人たちが勘違いして、お坊様を驚かしてメンゴメンゴ(笑)
一晩、お坊様をお・も・て・な・しするので、許してチョンマゲ(てへぺろ)。」
と、丁寧に奥の部屋に案内して、ご馳走を出してお・も・て・な・ししました。
そして、主人は次のような話を語り始めたのでした。
「先ほど使用人がお坊様を見て、鬼がキタ~~~っ!と言って怖がったのには、ワケがあるのです。
信じられない話かもしれませんが、どうか世間の人々にもこの、世にも奇妙な物語を語り伝えてくだされ。
この里の
【解説】
はい、アラフィフが老人扱いされています!
納得されない方もいらっしゃると思いますが、苦情は私ではなく上田秋成に言って下さいね!(笑)
ふうむ、当時の感覚ではアラフィフはもう老人だったんですねえ。。。
となると、やっぱり前シリーズの『舌切り雀』のジジババも、意外と若かったんでしょうねえ。。。
kihiminhamame.hatenablog.com
さてさて、快庵禅師が一体何に間違えられたか、主人の口から語られるようです。
次回に続く!
次回予告とくずし字クイズ
おや、これはひょっとしてムフフな展開に???
ヒントっ!
三つ目コーナー
ぐーすかぴーzzz
今日はネタがないから寝たんだって。。。
◆北見花芽のほしい物リストです♪ ご支援よろしくお願いします♪
いただいたぺんてる筆のレビューはこちら♪ NEW!
◆オススメ書籍 私もちょっとだけ書いてます♪
西鶴作品が現代語でわかりやすく読めます♪
江戸の男色文学を紹介するエッセーなどが掲載されています♪
◆北見花芽 こと きひみハマめ のホームページ♪
◆下の広告(by 忍者AdMax)をクリックしていただけたら、ありがたいです♪
◆はてなIDをお持ちでない方も、拍手で応援していただけたら嬉しいです♪
(コメントもできます)
◆ランキング参加してます♪ ポチしてね♪
◆よろしければ はてなブックマーク もお願いします。憧れのホットエントリー(笑)